創立90年のミツウロコ。2011年に持株会社制へ移行し、ホールディングスとして新たな歴史を刻み始めている。同社の法務機能は、法務審査担当として経営監理部内に置かれる。グループCLO(最高法務責任者)の竹内亜起弁護士に、体制について伺った。
「現在4名が所属し、うち法務専任は私を含めて2名です。業務内容の割合としては、契約書等の作成・チェック5割、対外的な広告や文書の内容審査2割、各社からの業務相談3割といったところ。グループ各社に独立した組織としての法務部を置いていないので、全社の法務的な相談・問題がすべて集まってくる形です」
竹内弁護士は13年に、同社初の法務系の有資格者として採用された。弁護士が社内にいることで及ぼした効果とは一体何だろうか。
「顧問弁護士やコンサルタントへの相談を、まず社内で検討するようになり、時間とコストが短縮できました。また、社内で事案の蓄積を行うようになったことも良かった点だと思います」と竹内弁護士。法務審査兼務、経営監理課主任・藤田洋希氏も「竹内が入社した頃は、経営側にも社員にも、コンプライアンスへの理解が定着してきていた。『これで本当に問題ないか』と不安になったときは、必ず法務に相談する風土が醸成されるようになった」と語る。
躊躇なく相談できることは〝事業スピード〞を落とさないことにもつながる。例えば、同社では14年末にアメリカ大手ハンバーガーチェーン・カールスジュニアと業務提携をし、日本国内の出店独占権を取得。ちなみに発表時の東証一部値上がり率は、第6位。向こう10年間で国内150店舗展開を目指す新規事業だ。この業務提携では、もちろん顧問先の協力を得たものの、竹内弁護士が契約書のチェックを担当した。〝社内で進められることは、まず社内で〞によって、素早くプロジェクトを成功に導いた一例である。