実際に〝現場と並走〞しているリーガルチェック担当の辰巳華子氏にやりがいを聞いた。
「例えば、市場部門でヘッジファンドやプライベートエクイティといったファンドへの投資案件が持ち上がれば、契約書を詰め始める段階から加わります。投資タイミングとの関係で期限がタイトな場合も多いため、連携を密にして協働する必要があるのです。私の場合、法務部の執務室で仕事をするだけでなく、より積極的にコミュニケーションをとるようにしています。現場のメンバーとの協働により、事業ダイナミズムを感じられることが、この仕事の魅力です」
訴訟・債権担当の西浴啓太氏も、現場とのかかわりは深いと語る。
「訴訟では、法務部が統括管理しながら、支社機能を担うエリア本部と協力し、社内外の弁護士やエリア本部のメンバーと共に訴訟対応を進めています。債権回収業務も同じくエリア本部と協力して行っています。私自身、エリア本部に籍を置き、法務部と協力しながら訴訟対応・債権回収業務を行っていたこともあり、訴訟の相手方や債務者に直接交渉する、ある種泥臭い仕事も多く体験しています」
「そもそも当行では貸付を行っていなかったので、全社的に与信管理のDNAがありませんでした。そこで法務部が前面に立ち、専任ラインを置き債権回収を主導する流れをつくり、彼にはその先導役を任せました。自発的にエリア本部で勉強会を開くなどしてくれたお陰もあり、法務への関心が深まりました」と五十畑氏。西浴氏は「私はいわば法務の伝道師役。〝草の根的な啓蒙活動〞の一翼を担っています」と笑う。
五十畑氏に、法務部の将来像を伺った。
「一言でいえば〝社内法律事務所〞です。クライアントとなる現場の専門性の高い事案に積極的に関与していけるスキル・気合・自覚・志向を備えたプロフェッショナル集団でありたい。今後も現場の要望を受け止め、どんどんアイデアを提案できる法務コンサルタントのような専門性を蓄積していきます。そのうえで法的にサポートできる機会を貪欲に見つけ、自らの活躍の機会とする人材が集まる専門部署として、法務部の存在感を一層増していきたいと思います」