Vol.69
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東京本社法務部メンバー(東京法務第一グループ、東京法務第二グループ、法務統括グループ)

東京本社法務部メンバー(東京法務第一グループ、東京法務第二グループ、法務統括グループ)

THE LEGAL DEPARTMENT

#96

豊田通商株式会社 法務部

「商人」のマインドセットを持って、グローバルマーケットを舞台に活躍

多様な人材の経験と知識を融合

豊田通商は、トヨタグループの総合商社である。自動車関連事業を主軸に成長してきたが、東南アジア貿易に強い輸入商社の加商、総合商社のトーメンを合併し、インフラ分野、化学品分野、食料分野などへ事業領域を拡大した。近年は、クロマグロの完全養殖や海外での病院運営といったユニークな事業領域への投資も行う。グループ企業約1000社、120カ国以上におよぶネットワークを有する同社の法的支援の統括的役割を担う法務部部長の近藤祐子氏に、体制や業務についてうかがった。

「法務部は、①名古屋本社法務部、②東京法務第一グループ、③東京法務第二グループ、④法務統括グループの4グループ構成です。担当事業ユニット(商品ごと)に分け、①が自動車生産関連事業を中心に本社事業に関する法務全般、②が海外法務を中心にエネルギー、インフラ・プロジェクト、自動車、アフリカ事業など、③が海外法務と国内法務半々で、化学品・エレクトロニクス、食料・生活産業など、④が予防法務のための施策構築や研修検討、人材育成などにあたっています」

メンバーの約半数が日本法、米国法、英国法の弁護士資格を持つ。

「商社、メーカー、金融などで企業法務を経験してきた人、法律事務所で渉外案件や企業法務、一般民事事件などを経験してきた人、企業の法務部と法律事務所の両方を経験してきた人など、前職にこだわらず採用してきたので、中途入社者のバックグラウンドは多種多様です。その理由は、当社が〝総合商社〞だから。商社の事業領域は多岐にわたるため、構成メンバーの多様なスキル・経験が、法務部の力に直結します」

同社の基本理念は、「人・社会・地球との共存共栄を図り、豊かな社会づくりに貢献する価値創造企業を目指す」だ。

「価値創造のためには、思考を固定化させない新しい視点が必要。そのために現在も多様なバックグラウンドをもつ人材を積極的に採用しています。メーカーや金融でのビジネスの考え方、法務の仕事の進め方、あるいは法律事務所の考え方など、持てる知識や経験をオープンにして共有し合うことで、各自が日々新たな発見や学びを得ることができ、組織力がますます強固になってきています」

豊田通商株式会社 法務部
名古屋本社法務部メンバー。日本法弁護士は全14名(取材時点)、米国法複数名、英国法1名。公認会計士資格も併せてもつメンバーもいる。海外勤務中のメンバーは6名(ニューヨーク、シンガポール、ロンドン、サンパウロなど)。「全員が受け身ではなく、自分発信で物事を進めようとする気概がある。メンバー各自、同じ方向(目標)に向かっていれば、その向かい方は本人次第。180度違う方向からたどり着くのでない限りは、自由さを大事にしています」(近藤部長)

法務部メンバーはビジネスの当事者

総合商社ならでは、大型プロジェクトファイナンス案件、TOB、M&Aなどのダイナミックな案件も多い。近藤氏が携わった、2012年のCFAО(セファオ/以下セ社)への資本参画もその一つ。

「セ社は、アフリカ北・西部地域で広く自動車や医薬品を取り扱うフランスの商社で、過去最大規模の事業投資案件でした。私は専任として約1年半、フランスと日本を行き来する日々。また金融規制法や独占禁止法に絡み、決定の手前までを自力で組み立てて上司に提案しなければならないなど、自分の判断が成否を左右するかもしれないというプレッシャーは相当なものでした。ですが、それだけやりがいがあり、案件がクローズした時の喜びはひとしおでした」

現在は法務部の人員も増え、事業ごとに担当グループが編成できており、近藤氏が奮闘した時のようにたった一人で業務にあたることは稀だ。各メンバーが年に2〜3回は営業部の出張に同行する機会と時間も確保できている。14年以降は〝事業軸〞でグループ分けをし、営業はもちろん、財務、経理、与信、戦略といった部署とも連携、部門および地域横断型でチームワーク力を強化している。東京法務第二グループ グループリーダーの板垣修司氏に、仕事のやりがいをうかがった。

「事業軸での担当制により、第三国輸出入や海外投資などの際にも国内・国際の垣根を気にすることなく、担当事業に関して〝隣の庭先まで掃く〞ごとく法律の専門家として意見を述べ、提案していける仕事がしやすい環境です。最近は着実に利益を上げていくために、法律的な知識をどう活用し、いかにして営業と共に担当ビジネスを育て、最大化させていくかということばかりを考えています。様々なリスクを検討した結果、損失回避のためにブレーキをかけることもありますが、これも利益最大化のために法務ができる支援の一つと考えます。そうして自分もビジネスの当事者として十分な営業支援を行うことにこそ、法務の仕事の醍醐味があると思っています」

豊田通商株式会社 法務部
2018年、各国主要20社の法務担当を集めて初開催した「グローバル会議」(東京)。直に顔を合わせたことの効果は大きく、日常の業務進行がスムーズになり、国際連携の土台固めができ始めた

働き方も休み方もフレキシブル

同部には20代の若手から50代のベテランまでが顔を揃える。

「年齢や資格の有無、入社年次にまったく関係なく、活発に意見交換できる風通しの良い風土です」と、板垣氏。

また働く環境としては、ダイバーシティ&インクルージョンの推進下で、フレックス制度や在宅勤務制度の活用、育児休暇やリフレッシュ休暇の取得を奨励。6カ月以上の育児休暇を取得した男性社員もいるそうだ。

「あるグループで一時的に人員が足りなくなった場合は別のグループがサポートし、仕事は進めやすく、休暇は気持ちよく取得しやすい状態にすることをグループリーダーが心がけています」(板垣氏)

実は同部が、部として独立したのは09年のこと。大手総合商社の法務部としては比較的若い組織だ。板垣氏は「しかし、だからこそみんなで法務部の在り方を自由に模索し、アイデアを出し合い、議論して組織をつくり上げていく楽しみがある。マネジメントの立場としてはそれも面白みの一つ。法律分野のエクスパティーズを高めたいという志向の方はもちろんですが、マネジメント志向の方も活躍できるチャンスがある部だと思います」と語る。

最後に、近藤氏に今後の展望をうかがった。

「世界中のグループ企業の法務統括、法務人材交流、各国情報収集、法務リスク予防のための教育機関的役割などを今後果たしていくにあたり、より多様な法務人材が必要です。当社のビジョンに『現地・現物・チームパワー・商魂』があり、『法務部員も商人(あきんど)であれ』とメンバーに伝えています。つまり、目の前のビジネスに共感できるマインドセットを持った、経験豊かな方と共に成長を目指したいということです」

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