プロジェクト契約チーム所属で英・露・日・韓の4カ国語を操るべロゴロフ・アンドレイ氏は、営業から法務を希望して異動、法務部員となった。
「当社の事業は複数国が協業する、複雑かつ大規模な案件が多く、出向く国も建設するプラントの種類も様々。そうやってプロジェクトごとに新たな仕事を一からつくっていくわけです。営業とともにフロントで粘り、直接交渉で契約をまとめ上げる。営業もダイナミックな仕事でしたが、事業活動を集約させる契約書は、プロジェクト成功を支える最後の砦。プラント建設の土台・仕組みづくりの部分を深く考え、かたちにすることがこの仕事の醍醐味です」
ライセンス・特許管理室でライセンスチームリーダーを務める堺直人氏も、研究開発職を経て現在の仕事に就いている。
「私の仕事は、プラント建設の際に必要となるプロセス技術をライセンサーから買い付けること。プロセス技術、いわゆる〝レシピ〞は、A4用紙で20㎝もの厚さになりますが、それを徹底的に精査し、購入の是非を決断します。ライセンサーの多くは欧米の企業ですから、まずは現地で担当者と面談し、メールなどでの交渉を続け、プロジェクト契約チームのメンバーや技術者の意見を聞きながら、契約書に落とし込むことになります。たとえば、海外のある国でガスや石油が湧き、それを原料とした製品をつくるためにプラント建設が進められるとします。プラント運営によって産業が生まれ、雇用が増え、国の発展につながっていく――私たちの仕事には、そんな夢があると思っています。世界の誰かの笑顔をつくるために、必要となる〝レシピ〞を最適な条件で買い付ける、あるいは当社の〝レシピ〞を買っていただく。重要なミッションだと考え、仕事に臨んでいます」
ライセンス・特許管理室室長の村上菜穂子氏は、この仕事の面白さをこう説明してくれた。
「発明一つで10カ国に特許申請を出すこともあります。ただし、それぞれの国の法制度が異なるため、様々な調整が必要です。詳しく調べれば調べるほど、日本と他国の法律や特許制度の違いが見えてくる。日々の業務のなかで、各国の知財政策を発見していくような面白さを感じることができる仕事です」
本田氏に、法務部が求めている人材について聞いた。
「法務部員がまとめ上げた契約条件が事業リスクに直結します。そういった意味でも組織上、非常に重要な部であることは間違いないのですが、現状では正直ベテラン層が厚く、若手人材が手薄。若手人材の確保と育成が急務だと感じています。当社法務部の仕事は、建設工事分野での英米法の知識が必要となりますが、それは仕事を通じて学んでいただければ大丈夫。海外との交渉ごとに関心があり、バイタリティをもって、チームメンバーとの協働ができる、そのような人材を求めています」