法務最前線:2018年11月号 Vol.66

法務最前線

アトーニーズマガジン 法務最前線

経営そのものに深くかかわる企業法務部。現場からの相談に瞬時にかつ的確に判断することが求められる組織に必要なファクターとは、その精鋭が弁護士に期待することとは何か?各社の法務部長へ伺いました。

世界中で展開するプラント建設プロジェクトを、
法務部の2つのチームが徹底的にサポート!

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東洋エンジニアリング株式会社 経営管理本部 法務部

海外案件が8割近くを占める

 世界を舞台にエネルギー・石油精製・石油化学プラント、各種産業設備などの社会基盤を構築する東洋エンジニアリング。同社法務部は、プロジェクト契約チームと、ライセンス・特許管理室で構成される。法務部部長の本田哲也氏に、仕事の詳細を聞いた。
「プロジェクト契約チームの主な業務は、プラント建設にかかわる受注契約交渉および契約書の取りまとめとなりますが、受注後に発生する紛争などに対する法的サポートも行います。部員一人ひとりの知見の幅を広げるため、担当は、国や客先、プラントの種類などの要件で区別せず、ランダムに決定しています。一方、ライセンス・特許管理室は、当社が保有するプロセス技術や特許の管理を行います。ただし、他社保有のプロセス技術をプロジェクトに組み入れる場合もあり、その際には当該技術の内容や条件を徹底的に洗い出します。そのうえで、お客さまとの契約上齟齬がないよう、プロジェクト契約チームが契約書に落とし込んでいく。そのように法務部内で連携し、多くのプロジェクトを遂行しています」
 同社が扱うプロジェクトは、圧倒的に海外案件が多い。
「業務全体の7〜8割が海外の案件です。プロジェクト契約チームのメンバーは、基本的に1案件1名専任で、設計、工事、調達、営業など様々な部署のメンバーとチームを編成し、現地で契約交渉に臨みます。いわば当社の法務代表として送り出されるわけですので、専門知識、コミュニケーションスキル、英語力が必須で、それらの技量が仕事を通じて自然と高まっていく。背負う責任も大きいですが、自分自身の成長を実感できる、やりがいのある仕事だと思っています」

複雑で大規模な案件に関与

 プロジェクト契約チーム所属で英・露・日・韓の4カ国語を操るべロゴロフ・アンドレイ氏は、営業から法務を希望して異動、法務部員となった。
 ライセンス・特許管理室でライセンスチームリーダーを務める堺直人氏も、研究開発職を経て現在の仕事に就いている。
「私の仕事は、プラント建設の際に必要となるプロセス技術をライセンサーから買い付けること。プロセス技術、いわゆる〝レシピ〞は、A4用紙で20㎝もの厚さになりますが、それを徹底的に精査し、購入の是非を決断します。ライセンサーの多くは欧米の企業ですから、まずは現地で担当者と面談し、メールなどでの交渉を続け、プロジェクト契約チームのメンバーや技術者の意見を聞きながら、契約書に落とし込むことになります。たとえば、海外のある国でガスや石油が湧き、それを原料とした製品をつくるためにプラント建設が進められるとします。プラント運営によって産業が生まれ、雇用が増え、国の発展につながっていく――私たちの仕事には、そんな夢があると思っています。世界の誰かの笑顔をつくるために、必要となる〝レシピ〞を最適な条件で買い付ける、あるいは当社の〝レシピ〞を買っていただく。重要なミッションだと考え、仕事に臨んでいます」
 ライセンス・特許管理室室長の村上菜穂子氏は、この仕事の面白さをこう説明してくれた。
「発明一つで10カ国に特許申請を出すこともあります。ただし、それぞれの国の法制度が異なるため、様々な調整が必要です。詳しく調べれば調べるほど、日本と他国の法律や特許制度の違いが見えてくる。日々の業務のなかで、各国の知財政策を発見していくような面白さを感じることができる仕事です」
 本田氏に、法務部が求めている人材について聞いた。
「法務部員がまとめ上げた契約条件が事業リスクに直結します。そういった意味でも組織上、非常に重要な部であることは間違いないのですが、現状では正直ベテラン層が厚く、若手人材が手薄。若手人材の確保と育成が急務だと感じています。当社法務部の仕事は、建設工事分野での英米法の知識が必要となりますが、それは仕事を通じて学んでいただければ大丈夫。海外との交渉ごとに関心があり、バイタリティをもって、チームメンバーとの協働ができる、そのような人材を求めています」

■企業概要

  • 東洋エンジニアリング株式会社
  • 創業/1961年5月1日
  • 代表者/取締役社長 永松治夫
  • 従業員数/4085名(連結:2018年3月末現在)
  • 所在地/〒275-0024 千葉県習志野市茜浜2-8-1
  • URL/https://www.toyo-eng.com/