同社のEC事業は毎週商品が入れ替わる。Webサイト、チラシ、カタログなどの広告媒体のチェック、商品供給の契約先との契約推進なども通常業務である。この1~2年は新型コロナ禍の影響もあって、各事業の会員数が増加。また、「コロナ下において、どのような商品・サービスをお客さまに提供していくべきか」という観点の新商品・新規事業の開発も活発に行われ、プロジェクト型の案件が増えているという。
「また当社は、『食に関する社会課題をビジネスで解決する』を掲げ、従前よりアップサイクル、フードロス削減に注力しています。たとえば、らでぃっしゅぼーやブランドでは、“見た目はふぞろい。中身はごちそう”というコンセプトで、規格に満たない野菜や海産物などを販売。Oisixでは、捨てられてしまうブロッコリーの茎をチップスにして販売する(Upcycle by Oisix)など、捨てられていたものに付加価値をつけ、アップグレードさせることで、食品ロスを減らす取り組みにつなげています。そうした商品開発の際に法務部も、商標や知的財産、権利化の観点から検討をします。そもそもアップサイクルという言葉自体、日本ではまだまだなじみが薄いもの。その言葉自体を当社としてどう定義するかなども、事業部と一緒に考えるのが法務部の役目です」
21年9月には、米国のフードテック分野で挑戦するスタートアップ企業への投資も実行した。
「フードテックは、法的にも新しい分野です。どの法律が適用され、どんな法的根拠でまとめていかねばならないかなどの検討は、非常にエキサイティング。専門家のアドバイスを求めてこの領域に詳しい弁護士を探していますが、まだまだ継続中です。その一方で、買い物弱者のサポートや高齢者見守り機能を兼ねた移動販売事業(対面型販売)、カタログを見ながら紙の注文書を書き、それを配送員に手渡して注文してもらうといったスタイルの販売事業も、ご年配のお客さまを中心に今も根強く支持されています。フードロス削減やフードテックなど食の最先端事業およびEC事業、対面販売などのレガシー的な事業――その両方の事業に携われること。それも当社法務部の面白さといえます」
法務部がかかわる仕事は、このように守備範囲が広く、お客さまの属性も多様だ。法務相談の際も、担当者の先にいるお客さまの姿を想像しながら対応することを心がける。21年7月に入社した山本祐介氏は、「法務相談は、入社間もない自分が当社事業を知るうえで欠かせない機会であり、大切なコミュニケーションの場」と言う。
「法務相談の種類は多様かつ件数も多い。その分、いろいろな事業部と接点ができます。法務相談に来た社員とは、何度も対話を重ね、その先にいるお客さまのことを思い、どうしたら喜んでいただけるサービスが提供できるか考え、ビジネスを前に進めるための提案をします。仲間と一緒に知恵を絞れる機会は本当に楽しいですね」