チームワークについて、ルナ氏は「我々は一つのコミュニティ。昨今のIT企業が直面する課題は分野も多岐にわたり、技術進化も早く、一人ですべてを解決するのは難しい。だからこそ力を合わせて、やり遂げるのです」と語る。
それを実感したのが、IBMが戦略的に「マネージド・インフラストラクチャー・サービス事業」を分社化した案件。それは2020年から約14カ月に及んだ。
「同事業部門にはグローバルで9万人以上、日本法人で数千人の社員が所属。関連する契約数は数千を超えました。グローバル規模の分社化の複雑性などもあり、毎日何かしらの課題(チャレンジ)が発生。タイトすぎる日程のため、最初は『非常に困難だ』と思ったが、すぐに『このチームならできる』と頭を切り替え、分社した先に移った法務メンバーや外部法律事務所も含めた“ワンチーム”で連携し、なんとか多くの難題を乗り越えることができました」(ルナ氏)
この案件を通じて、メンバーは「法務がプロジェクトの重要な箇所をリードしたこと」「難易度が高い案件に取り組み、企業の成長に法務として貢献できたこと」「結束力が強まり、仲間意識がさらに高まったこと」といった成長実感を得た。日系大手金融機関法務部の勤務経験を持つ村田慧氏に、やりがいを聞いた。
「当社法務は経営サイドの信頼が厚く、経営陣とじかに意見交換できることが醍醐味。そんな経営陣との距離の近さと、意思決定のスピードの速さが特徴です。それはひとえに、歴代の法務メンバーが、経営にしっかり貢献してきた証。その厚い信頼関係のなかで、責任ある仕事を任せてもらえることに、大きなやりがいを感じます」
21年12月に外資系金融機関から転職してきた三保友賀氏は、コンプライアンスも兼務する。
「IBMの製品・サービスについて学べば学ぶほど、社会的インフラを支えている会社であることを実感します。なおかつそれらが、法務がかかわった契約やアドバイスを通してかたちになったものであることは、やはり嬉しい。働き方においても、トップダウンではなく、『こういうことを考えているんだけど、どうか』と気軽に相談でき、しかもイニシアチブを取ることを非常にポジティブに受け止めてくれる風土です。自分が主体的に取り組みたいと思った仕事について、背中を押してくれるメンバーが多く、様々な案件に積極的に挑戦できる楽しみもあります」
巻田氏は、「プロジェクトで感じられる一体感・スピード感がやりがいの源泉」と話す。
「一つのプロジェクトの成功が、さらに大きな仕事を任せてもらえるチャンスにつながります。社内の期待値が高まるごとに、その思いに応えて自分自身のレベルを上げていこうとも思える。自ら望めば成長できる職場、そして、成長を加速してくれる環境です」
ルナ氏は、メンバー全員に「将来的に自分がゼネラルカウンセル(GC)になることを想定して物事を考えるように」と伝え、その意識づけを行うという。
「そのおかげでGCの立場で考えるなら、どう判断すべきかと意識して仕事に臨むようになりました。また自分自身が歩んでいきたい未来のキャリアの多様性、選択肢の広がりも実感しています」(村田氏)