経営判断の適切性をサポートする基盤として、的確かつタイムリーなリーガルリスクの把握・分析・軽減策の提案などが求められる同ユニット。日本の企業経営および意思決定の仕組みに精通し、ユニットの法務体制構築に尽力してきたウィルソン氏は、組織のあり方について次のように語る。
「40~50名規模の法務部員が所属する日本の商社に比べると、当ユニットは20名と少数精鋭ですが、意思疎通がスムーズでフラットな組織といえます。弁護士としての豊富な経験を有するメンバーが揃っているため、自立力も十分。ほとんどの案件を各自の裁量に任せ、進めている状況です。各人が自発的に、再生エネルギーなど興味のある分野の勉強会・研修に参加して知見を高めています。とはいえ、皆全体の仕事をしっかり把握しており、何かあればすぐに協力し合う――“ワンチーム”“ワンリーガル”といった共通意識がユニット全体に浸透しているんですね。一人ひとりの力に期待し、より多くの裁量を与え、実践的な取り組みのなかでさらなる自己成長を目指してもらいたい。そうやって生まれた全メンバーの力を集約しながら、経営に資する法務となっていく。それが私たちの組織マネジメントスタイルです」
こうして醸成されてきた組織力が昨年、「ALB」で高い評価を受けた。再生可能エネルギー事業案件などにおける同ユニットの成果・貢献が認められ、企業内法務の最優秀賞を受賞したのだ。受賞の背景には、同ユニットが掲げる“ビッグルール”の浸透も大きい。
「常に事業目的を把握して、法的に安全な解決策を見いだす。イエスかノーか、違法かそうでないかといった単純な答えで終わらず、相手が納得する最適解を見いだすため力を尽くす。我々は“ディールブロッカー”ではなく、事業部などに対して“サービスを提供する役割”です。ゆえに事業を推進しつつ会社の利益を守るコマーシャルマインドセットを重視します。攻めと守りを担う“パートナーとガーディアン”という言葉がありますが、そのバランスを取ることも大切にしています」(加藤氏)
最後に加藤氏から、同ユニットの展望についてうかがった。
「我々は、ユニット立ち上げ時から即戦力となる弁護士経験10~15年のメンバーを集めてきました。しかし今後は、よりオーガニックな成長を目指していきたい。日本法・外国法に限らず、若手、中堅の弁護士層も増やし、持続可能な法務組織として、経営層や事業部担当者はもとより、社外にも当ユニットのプレゼンスを発揮させていく。さらなる進化を遂げるために、やるべきことはまだまだあるということです」
※「ALB Japan Law Awards 2022」で、「Japan In-House Team of the Year」を受賞
※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。