Vol.70
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法務系のメンバーは全社で28名。うち法務部所属は19名。日本法の弁護士有資格者は7名で全員60期台。海外駐在は、現在2名。海外留学経験者も多数

法務系のメンバーは全社で28名。うち法務部所属は19名。日本法の弁護士有資格者は7名で全員60期台。海外駐在は、現在2名。海外留学経験者も多数

THE LEGAL DEPARTMENT

#98

コマツ 法務部

先進的技術で「未来の現場」を提案する建機の先駆。「正解がない案件」に取り組めるのが醍醐味

全社から頼られる法務人材を輩出

建設機械・車両、産業機械のリーディングカンパニーであるコマツ。国内のものづくりを支えてきたことはもちろん、国内外の建設機械・車両部門の生産拠点は84カ所、販売拠点は57カ所を数え、海外売上シェアは8割を超えている(2019年3月時点)。こうしたグローバルビジネスを、事業部門とともに現場で支えてきたのが法務部だ。法務部長の村上敏和氏に、メンバー構成をうかがった。

「〝法務系〞のメンバーは全社で28名おり、そのうち約半数が経験者採用です。法律事務所、メーカーや金融機関などの他社法務部経験者のほか、元裁判官や省庁出身者など多様なメンバーが活躍しています」

法務部内は、広義での会社法関係業務を担当する第一グループ、訴訟・コンプライアンス・製品安全・鉱山機械事業案件を担当する第二グループ、M&Aなど各種プロジェクトや社内教育などを担当する第三グループの3つに分けられる。そこに所属する19名に他部門に在籍する9名を足して、村上氏があえて〝法務系〞と称したのには理由がある。

「当部ではジョブローテーションを積極的に行っています。先の9名は法務部に戻る前提で、コンプライアンス室と直下の輸出管理グループ、М&Aを専門とする経営管理部ビジネス・ディベロップメントグループ、株式関係を扱う総務部文書課などの他部門に籍を置き、そこで法務にかかわる業務を行っています。また、ICTを活用して建設現場のあらゆるデータをつなぐ『スマートコンストラクション』などの急速に事業拡大中であるプロジェクトにおいては、法務部に籍を置きながら、実質的には専従でプロジェクトに従事するメンバーもいます。ビジネスの現場で知識・経験を深め、柔軟な発想力や提案力、課題解決力、協働性を磨いてほしいという思いがあります」

同部のモットーは、「法務部はサービス部門である。各事業および事業部門の目的達成のため、事業目的をよく理解し、現場で一緒に知恵を出し、汗を流していこう!」だ。副部長の深栖武氏も、次のように語る。

「当社法務部はそもそも、ビジネスディベロップメントにおけるリーガルサポートの必要性が高まったことで創部されたと聞いています。つまり、事業成長を〝サービス部門〞として支えるということ。その思考が脈々と続いていると感じます。今後、経営企画や人事などでも『法務メンバーが欲しい』という要望が出てくる可能性があるので、法務系人材の存在価値を積極的に示していきたい。とはいえ正直なところ、今はまだ足元の法務部の人材の充実が急務です」

ICTや海外展開、新プロジェクト続々

法務部では、各グループの担当業務に加えて、「検討依頼」と呼んでいる法律相談や契約書検討などが数千件も寄せられる。「頼まれた相談は全部受ける」が信条で、駐車場の契約など小さなものまで対応しているそうだ。この担当割り振りを行う深栖氏に、特徴的な検討依頼をうかがった。

「先に述べたとおり、当社では2015年より『スマートコンストラクション』というソリューションを提供しています。これは、ICT建機やドローンなど新たな技術を活用し、建設現場のあらゆるモノをデータでつなぎ施工を見える化することでお客さまの現場の安全性や生産性の向上を実現するソリューションであり、スピーディなビジネス展開のため、オープンイノベーションの手法を採用。そのため、本件にかかわる他社との契約がかなり増加しています」

また近年、コマツの名前がメディアを賑わせたのは米国鉱山機械メーカー「ジョイ・グローバル社(現コマツマイニング㈱)」の買収だ。PMIは順調で、ビジネス補完やシナジー効果の期待が高まっている。

「旧ジョイ・グローバル社は売上高3300億円(当時)と企業規模が大きく、全世界でオペレーションを展開する企業でした。この会社の買収プロジェクトでは法務部の多くのメンバーが奔走しました。関連する国々での独占禁止法上の届出などの諸手続きを迅速に行うため、関連する法律事務所、全世界のローカルの弁護士などと毎日やりとりをしながらクロージングにこぎつけた案件です。法務部内外での〝チームワーク〞の高まりを実感するプロジェクトでした」と、村上氏。

この時、独禁法上の届出などにかかわったのが第三グループ・グループマネジャーの高橋香緒梨氏。高橋氏は、グローバル案件へ関与する機会も多い。

「海外のプロジェクトなどでは、事業部門と力を合わせて交渉も行うわけですが、法務部としては法的な問題点を交渉により合意に持ち込むことはもとより、案件をまとめるために経営陣が意思決定をするために必要な問題を整理することも要求されます。この仕事のなかで、法務の枠を超えたアドバイスを要求される場面も多くあり、非常に貴重な経験になっています」(高橋氏)

「毎月、誰かが必ず海外に出張している」と村上氏。こうしたグローバル案件への対応強化も見据えて、留学も積極的に支援している。「入社後一定の期間を経て、コマツの事業や法務の業務を理解した後、本人意向も踏まえ、留学を支援。現地の大学院修了後は、現地法律事務所や当社現地法人で実務研修も可能。中国、ブラジル、チリやオーストラリアなどで研修したメンバーもいます。留学中にニューヨーク州司法試験に合格した者も5名います」と、高橋氏が説明してくれた。

先進技術に法的に切り込む醍醐味

同部の業務は多忙を極めるが、ワークライフバランスは充実しているようだ。

「部では、年休に関する目標を定めていて、毎年全員が達成。通常の年休のほかにライフサポート休暇という介護や子育て支援のための休暇もあり、ほとんどのメンバーが活用していますね。また、フレックスタイム制や時短勤務、在宅勤務などを活用しながら、全員が家庭と仕事の両立を上手に行っていると思います」(村上氏)。こうしたワークライフバランスを「当たり前に享受できる環境です」と、三氏は声を揃える。

最後に、同部での仕事のやりがいについてうかがった。

「当社は、研究開発、生産、販売、サービス、ファイナンスなど、建設・鉱山機械にかかわる事業を一気通貫で行っています。また、その進化形としてのICTやIоTを活用したソリューションの構築、先進的な取り組みにもチャレンジ。ですから、『ビジネスのすべてにかかわる』『先進的なテクノロジーの事業化にかかわる』ことに関心がある方にとっては、非常にやりがいがあり、面白味がある職場です」(村上氏)

「それに関連して言うと、『〝正解がないこと〞について、自ら知恵を絞り、考えて決断を下す』という醍醐味もあると思います。当社はもはやメーカーの枠にとどまりません。スマートコンストラクションなどを通じて、ビッグデータをいかに活用していくかなども事業の一つ。一方で、データ関連規制の動きは日進月歩ですから、適法にビジネス目的を達成していくには、何がベストか、あるいはベターな解決策・選択肢か、常に考えなくてはなりません。どこにも正解がない案件提示に対して、自ら考え、弁護士に相談するなどして決めていく。責任の大きな仕事ですが、やりがいはそれ以上に大きいと思います」(深栖氏)

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    「遠隔操作POD」デモ機(「CEATEC JAPAN2018」で展示)。5Gを用いた建設・鉱山機械の「遠隔施工・管理システム」の実証実験を実施している
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    「無人ダンプトラック運行システム」により、完全無人稼働を可能にした。建設機械・車両、産業機械などの商品・サービスの提供はもちろん、次世代型ソリューションの提供を積極的に推進