Vol.9
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THE LEGAL DEPARTMENT

#1

ヤフー株式会社 法務本部

日本を代表するインターネット会社で、新しいルールづくりを推進し、経営の意思決定にも寄与するプロ集団

今までに無いサービスを創造し続ける企業が必要とした法務本部のあり方

インターネットサービスのパイオニアであるヤフー株式会社は、10チーム60名体制の法務本部を擁している。なぜこれほどまでの人員と細分化が必要なのか。その理由を別所直哉CCO・法務本部長に伺った。

「業務が多岐にわたっているため。そしてより機能的に仕事をするためです。法務本部が所管している仕事は、一般的な法務・コンプライアンス・知財ですが、さらに細かく見るとガバナンスやコーポレートデベロップメント担当、契約業務の担当が必要でした。関連会社・子会社の担当も別チームにしていますが、これは各社それぞれのやり方を尊重するためです」

法務本部設立のため入社した別所氏はその歴史すべてを知っている。ヤフー法務本部が体制を強化し、社内における役割を高めていった過程をこう振り返る。

「当社は1996年設立の新しい企業ですが、当初から法務の必要性を強く認識していました。99年、法務専任部署を設置。会社が必要とする法務サービスすべてを提供し、体制が整ってからは経営の意思決定にも参与するようになっています。現在の法律が想定していないインターネットの新サービス提供を行うためさまざまな規制に対応するのも大きな特徴で、現在も行政担当窓口は法務本部です」

法務本部が行う行政対応の内容、省庁とのかかわりについて

特徴としてあげられた行政との頻繁な折衝には、以下のようなものがある。

「古物営業法改正の際、インターネットオークションを対象にするべきかという議論がありました。そこから行政とのやりとりが始まりました。今は実に多くの省庁対応があります。主務官庁は総務省、サービス一般は経済産業省、サービスの悪用については警察庁という具合です」

ときにインターネットの匿名性による社会的な問題も発生する。その場面でも法務本部にはプロとして的確な対応が求められている。

「掲示板の書き込みに企業批判などがあると、消してほしい人が現われます。その一方で、書いた人の表現の自由も保護しなければいけない。細心の配慮が必要な案件です。また警察の照会対応という社会的な取り組みもあります。自殺をほのめかすメールや事件性のある書き込みは要請に応じて情報提供をしますが、高度な判断を要するためコンプライアンスチームに専用窓口を設けています。このように新しいサービスに伴うルールや体制づくりをしてきたことが当社の特徴でしょう」

ヤフー株式会社 法務本部

これからの法務本部に求められること。応えるために、なすべきこと

業務枠が拡大する法務本部に61期生の弁護士が3人入社、社内弁護士は4人になった。彼らビジネスロイヤーに期待することは何だろうか。また法務本部の今後に、どんなヴィジョンを描いているのだろうか。

「あらゆる契約書が法務本部を通過します。多くの企業で管理部門や総務などが担当している職務権限規程と稟議規程の所管も、当社では私たち法務本部に委ねられています。コンプライアンス、ガバナンスを支える重い責任を受け止め〈法〉で社内を導かなくてはいけないと考えます。それが実務的にできるレベルを目指し、内部のクオリティーを高めたい。また社会から信頼される会社をつくっていく責務もあります。そういう背景もあって資格を持つインハウスロイヤーを拡充しました。弁護士資格を持っている方は間違いなく素地がしっかりしています。早いスタートアップに期待することはもちろん、専門性を積み上げて事業の新規開拓に伴うルールづくりや、立法の過程に関与することを目指してほしいと思います」

新人ビジネスロイヤーの今を紹介

平野竜広
事業部法務1チームに所属し契約書作成や法務相談を行っています。実際に業務を担当して当社法務の大きな役割に驚いているところです。新人の私も「法律のプロ」として頼りにされ多数の相談が持ち込まれます。社内連絡にメッセンジャーを活用していますが、気がつくと事業部からの相談が複数ポップアップになっています。

植家彰彦
コーポレート法務チームに所属して、契約書作成と総務省対応の一部を担当しています。プロジェクトの進行にかかわり、経営判断も垣間見ることができるビジネスロイヤーを志望しました。事業部から相談を受け、それに応じて業務が着々と進む。その様子を目の当たりにして、仕事の面白さとやりがいを感じています。