法務最前線:2016年3月号 Vol.50

法務最前線

アトーニーズマガジン 法務最前線

経営そのものに深くかかわる企業法務部。現場からの相談に瞬時にかつ的確に判断することが求められる組織に必要なファクターとは、その精鋭が弁護士に期待することとは何か?各社の法務部長へ伺いました。

新時代のWork Front

法務最前線

NHN comico株式会社 法務室

組織再編を機に戦略法務強化も

NHN comicoは、スマートフォンに特化したコミック&ノベルサービスを主軸とする。2015年10月、会社分割によりNHN PlayArt、NHN ハンゲームなどを傘下に持つ事業持株会社へと移行した。組織再編の背景と法務のミッションを、法務室長の小坂裕氏に聞いた。「一つの会社で行っていた性質の異なるビジネスを分割することで、迅速な意思決定と事業展開の加速を促し、成長と成果の最大化を目指す。これが組織再編のテーマです。そして、我々法務の使命は、企業価値のプロテクトとその向上に貢献すること。そのために個々がスペシャリストとしてのスキルをさらに高め、複雑な案件はチーム一丸となって成果を出していくことを目標としています」現在、スマホ向けゲーム事業、データセンター・ネットワーク関連事業、オンラインゲーム事業を行う子会社3社を含めた法務を、同室ですべてカバーしている。マネージャーの鴨井美奈子氏は、法務室の体制を次のように語る。「メンバーのほとんどが即戦力の中途採用者。各々の事業経験が異なるので、事業(会社)ごとの縦割りの担当分けはせず、大まかな役割のみを決めています。法務への相談は、社内システム上の窓口にいったん集約し、その都度メンバーに案件を振り分けます。商事法務業務、契約書立案および審査、知財業務、景品表示確認、セキュリティ、コンプライアンス等、法務の仕事の幅はかなり広いと思います」組織再編を機に、戦略法務の強化も課せられた。「今年1月に弁理士を採用し、知的財産権に関する専任者とするなど強化を図っています。例えば、特許についても事業部に法務がどんどん入って保有技術を掘り起こし、権利化してビジネスにつなげる……そんな能動的な動きができる体制を整えました」とは小坂氏の談。

求められる想像力とフレキシビリティ

今後、米国、台湾、中国などでのビジネスも拡大させていく計画だ。それに伴い特にアジア圏の法的知識を持つ人材が必要とされる可能性は高い。また情報セキュリティ分野でも即戦力採用で強化を狙う。どちらの人材もコミュニケーション能力の高いことが、採用の条件だと鴨井氏は言う。「この業界は動きが早く、当社でも新ビジネスが次々と立ち上がっていますが、どこに法的リスクが生じるか我々がチェックせねばなりません。そのために必要な情報は事業部の技術者などから聞き出すのが一番。そうした際に必要になるのがコミュニケーション能力なのです」「昨日まであったプロジェクトが、突然なくなることは当たり前。その際、すぐに頭と気持ちと行動を切り替えられるフレキシビリティの高さも必要です。また、プロジェクトにおいて将来どんなことが起こり得るかを考え、先手を打てる想像力も。うちの法務の仕事は前例がない案件がほとんど。参考にするものがないなかで、想像力を使って自分の頭で解決する力があることも条件です」と小坂氏。同社法務の魅力を小坂氏と鴨井氏は、「手を挙げればチャンスが得られる風土。そしてコンテンツが生まれ、世の中に出ていくまでの過程を整理・支援できること」だと語ってくれた。熱意と活気に溢れた仲間とともに、法的側面から〝ものづくり〞に携われる仕事がここにある。

■企業概要

  • 設立:2013年4月1日
  • 代表者:代表取締役社長 泉 忠宏
  • 資本金:31億円
  • 従業員数:170名(2016年1月末現在)
  • 本社所在地:〒105-6322 東京都港区虎ノ門1-23-1
  • 虎ノ門ヒルズ森タワー22階

  • ■プロフィール

  • 小坂 裕(こさか・ひろし)
  • NHN comico株式会社
  • 法務室 室長
  • 大学卒業後、パラリーガルとして法律事務所に勤務。その後、東芝、旧NHN Japanなどで法務業務に従事。2013年、NHN PlayArt法務室マネージャーを経て、現在に至る。

  • 鴨井 美奈子(かもい・みなこ)
  • 法務室 法務チーム マネージャー
  • 銀行で事務関連業務に携わった後、大手ゲームソフトメーカー、外資系医療機器会社、SAP(ソーシャルアプリケーションプロバイダ)などで法務業務、コンプライアンス関連などに従事。2015年にNHN PlayArtに入社し、現在に至る。