道下弁護士は、「当事務所では、新しい挑戦を阻まず、積極的に勧める」と続ける。
「例えば、砂川祐基弁護士は、eスポーツを趣味としています。それを聞いた時、『ただのゲーマーで終わらずに、eスポーツを得意分野とする弁護士になれ』と。すぐ、記事執筆や講演会の開催を出版社などにかけ合いました。砂川弁護士にとってゲームはライフワークであり趣味の領域だったので、『本当に事務所の仕事にしていいんですか!』と驚いていましたね。講演会などはまだまだプロボノの一環ですが、それも『どんどんやってください』というスタンスです」
商社などの企業法務部で約20年勤務した後、環境法科目1位で司法試験に合格した船戸久史弁護士も、同事務所に入所した一人だ。
「船戸弁護士には、所内で環境法に関する勉強会をやってほしいと伝えました。私の最先端法務、砂川弁護士のeスポーツ法務、脱炭素や排ガス規制問題など船戸弁護士の環境法関連、少なくともこの3分野については、常に最新かつ一歩先を行く知見を所内勉強会で共有できています。意見交換も活発で、新たに入所した弁護士も各自、“新たなプラクティス”に自発的に取り組み始めています。好奇心旺盛な弁護士が集っているのだと思います」
本人がやりたいと思ったことは、リスクを取って挑戦させる。「頭のなかで終わらせるな」が、道下弁護士のポリシーだ。
「とはいえ、先人が築いてきた弁護士業界の伝統を疎かにするつもりはまったくありません。先人の偉大な先生方に尊敬の念を持って、伝統を重んじながら新しいことに挑戦する。そんな伝統と創造のバランス感を、当事務所では大切にし、仕事に臨んでいます」
グレーゾーンもある新分野への挑戦が多いなか、道下弁護士が心がけていることをうかがった。
「従来のルール(適用される法律)の“外縁”をしっかり捉えつつ、クライアントのビジネス成功のために『ここまでならやっていいです』と、背中を押してあげられる弁護士でありたいですね。『ルールが見えない(わからない)からやめておいたほうがいい』ではなく、従来の法律に鑑み、野球に例えれば“ど真ん中でなく、ストライクが取れる外縁”を示し、クライアントがその範囲内に安心して球を投げ込めるようサポートする――常に挑戦を心がけていますし、挑戦こそが新分野での仕事の醍醐味だと思うのです」