クライアントへの基本的なアプローチは、「まずは、ビジネスモデルのリーガルチェックです」と、淵邊弁護士は語る。
「例えば、個人情報保護法や資金決済法、知的財産権関連法などの観点から問題がないかを確認するなど、ビジネスモデルの構想段階で適用法令や規制との関連・リスクを丁寧に検討します。ベンチャー企業は、既存の法制度が想定していないニッチな領域――いわゆるグレーゾーンに挑むことが多いため、あらゆる側面から法的課題を洗い出し、より強いビジネスモデルを構築できるようサポートします。さらに事業が成長すれば、資金調達、VCや大企業との契約交渉、経営者間の紛争、労務対応など、様々な課題が生じます。そうした局面も含め、企業の成長フェーズ全体に伴走しながら支援を続けることが、私たちの役割です」
同事務所では、IT・AI関連の開発・サービスを提供する企業や、これと他分野を掛け合わせた新規ビジネスを推進する企業を数多く支援している。
「例えば、飲食店向けにモバイルオーダー、POS系サービス、キャッシュレス決済などのソリューションを提供する企業を、事業立ち上げ当初からサポートしています。ここは、同社設立から6年後の24年、海外VCを中心に70億円超の資金調達を実施するまでに成長しました。また、自動車部品メーカーの技術者が、自社工場のIT化で培ったノウハウを生かして、保育園児の見守りシステムを開発。この“保育DXベンチャー”で、自動車部品メーカーからのスピンオフとして立ち上がった企業についても、当事務所設立当初から支援しています」
ほかにも、測量会社の計測技術を応用し、スポーツ選手の動きや心拍数、コンディションなどをデータ化して、トレーニングや健康管理に活用する大手企業発のベンチャーなどもクライアントだ。「技術やデータの応用によって新たな社会的価値を生み出し、社会課題を解決するクライアントをサポートできることに、わくわくしますし、今の仕事が心から楽しいのです」と、淵邊弁護士は笑顔を見せる。
こうした企業を支援する際、“スピードと柔軟性”が重要となる。「経営者にご相談いただいた際は、その場である程度の方向性を示すことを心がけています。なおかつ、グレーな領域であっても“NО”とは言わず、必ず代替案を提示します。ですからベンチャー・スタートアップ支援の場合は、特定の法分野の知識よりも、“広い視野(浅くてもよいので幅広い知識)”を持ち、“ビジネスがわかる弁護士”が適していると思っています」
専門的知見や踏み込んだアドバイスが必要な場合は、所内外の弁護士仲間や、事務所と連携する経営コンサルタント、税理士や弁理士などの“知恵と手”も借りる。「ベンチャー・スタートアップや中小企業が、わくわくする未来を描き、その未来に向かってビジネスをつくり上げていく挑戦を、質の高いリーガルサービスの提供によって応援していきたい。そのために、弁護士だけでなく多様なスペシャリストが集まって、どうしたら企業が成長できるかを考え、みんなで挑戦していく――そうやって、かかわる人たち全員が切磋琢磨するトライアルの場(ラボラトリー)になっていきたいという思いを事務所名に込めています」