Vol.95
HOME法務最前線アクセンチュア株式会社
  • ▼弁護士のブランディング支援サービス

    Business Lawyer's Marketing Service
  • ▼弁護士向け求人検索サービス

    想いを仕事にかえていく 弁護士転職.JP
  • ▼弁護士のキャリア形成支援サービス

    弁護士キャリアコンシェルジュ
  • 当社サービス・ビジネス全般に関するお問い合わせ

法務本部には約150名が所属。うち日本法弁護士は約30名、外国法弁護士は約10名。コントラクト・マネジメント部に新卒が5名配属されているが、ほぼ全員が即戦力採用だ(後列左から4人目/本文中に登場する、営業法務部部長の中宮庸輔氏)

法務本部には約150名が所属。うち日本法弁護士は約30名、外国法弁護士は約10名。コントラクト・マネジメント部に新卒が5名配属されているが、ほぼ全員が即戦力採用だ(後列左から4人目/本文中に登場する、営業法務部部長の中宮庸輔氏)

THE LEGAL DEPARTMENT

#170

アクセンチュア株式会社 法務本部

グローバルの知見と生成AIを活用し、クライアントと自社変革のために奔走する

重視されるリーガルのプレゼンス

アクセンチュア株式会社は、世界52カ国・200都市以上に拠点を置く世界最大級の総合コンサルティングファーム、アクセンチュアの日本法人。生成AIといった先端テクノロジーを活用しながら、企業・行政機関などの業務改革をサポートする。この変革支援の現場を法的側面から支えるのが、約150名の陣容を誇る法務本部だ。取締役執行役員法務本部長の竹田絵美氏に、同本部の特徴について聞いた。

「2015年、江川昌史社長の就任以降、当社は売上高約6倍、従業員数約5倍へと拡大しています。この急成長の軸となっているのは、大手企業とのJV拡大や、ケイパビリティ補完を目的としたM&Aの推進です。こうした自社の取り組みや全社ビジネスの最前線に伴走し、〝法務の働きで貢献する〟という意識を強く共有するメンバーが、法務本部に集結しています」

また、社内における〝リーガルプレゼンス〟が高いこと、社内にそれを認める風土が醸成されていることも、もう一つの特徴だ。

「当社グローバルCEOのジュリー・スウィートは弁護士で、約16年前にアクセンチュア・リーガル全体のジェネラルカウンセルとして入社した後、北米社長も経験した人物です。ビジネス部門以外の出身者がCEOに就任するのは、アクセンチュア初。グローバルで、リーガル機能を経営資源として重視している証しだと考えます」

竹田氏は、日本法弁護士(54期)、ニューヨーク州弁護士で、法務本部所属の役員として、日本法人の経営にも参画。加えて、アジアパシフィック共同統括本部長兼日本本部長も務めている。

「私はグローバル法務の経営会議体のメンバーでもあるので、グローバルのジェネラルカウンセルが直属の上司です。ゆえに〝日本の声〟をとおしやすいし、仕事が進めやすい。この体制も、効率化の一助になっていますね」

同本部は大別して、①営業法務部、②コントラクト・マネジメント部、③コンプライアンス・オペレーションズ・レギュラトリー・エシックスチームの3部門。①は、クライアント向けのセールス案件を中心に対応。契約交渉をはじめとする法務サポート全般に加え、訴訟対応などビジネスリーガルマター全体を担う。②は主として、契約締結後、継続的なサービス提供において生じる課題や紛争対応、契約の実行モニタリングなど契約マネジメントを担当。③の中には、コンプライアンス・コーポレート法務部、労働法務部および社内調査部があり、コンプライアンス関連の助言や会社法務、労働法務、社内調査を担当する。この3部門が密接に連携し、ビジネスに伴走することも、強みの一つだ。

生成AIを活用し、企業変革を支援

「ビジネスや社会情勢の変化の早さに対し、前向きに踏み込み、柔軟に対応し、常に学び続ける姿勢を重視する」と、竹田氏。〝変化の速度〟に対応すべく、クライアント各社に向けた生成AI活用による支援が一段と進んでいる。営業法務部部長の中宮庸輔氏に、近年増加している案件について聞いた。「これまではクライアントとのJVやカーブアウトなどの案件が多くありましたが、最近では生成AIを軸とした〝AI-ledトランスフォーメーション〟の案件が増えています。グローバルCEOがAIを全社戦略の中心に据えていることもあり、当社もこの領域への注力を強めています。25年に発表された明治安田生命様との包括パートナーシップが代表例で、生成AIを用いて既存業務を再構築するプロジェクトを、業務改革、システム開発、DX支援、人材育成まで含めて、クライアントと一体となって進めています。今後も生成AI活用を糸口として、複数のクライアントの経営アジェンダに対応しながら全社変革を支援する案件は増加していくでしょう」

セブン&アイ・ホールディングスとのDXに関するパートナーシップ業務委託契約締結や、デジタルサービスの企画開発に強みを持つ「ゆめみ」、システム構築やソフトウェア開発を主事業とするSler「SI&C」、AI/DX人材育成支援を手掛ける「アイデミー」の買収も話題となった。

「当社では〝クライアント・セントリック・コントラクティング(顧客価値の最大化を中心に見据えた契約構築)〟を掲げており、明治安田生命様やセブン&アイ・ホールディングス様とのプロジェクトは、まさにそれを象徴する仕事だったと思います。我々のチームでは、全ての大型・複雑な案件に初期段階から入り、スキーム設計、契約構成、ファイナンスモデルなど全体のディールシェイピングの構築・推進を行い、クライアントとの交渉においても、クライアントの当社に対する期待に寄り添って契約を作り上げます。一方、自社による買収案件のなかでも、特にSI&Cの買収では、非常に短期間で、デューディリジェンス、許認可、SPA交渉からクロージングまでをリーガル主導で進めました。このような大型プロジェクトを、集中的かつスピーディに、複数同時並行で進めることになるので、非常にダイナミックな経験が積めると思います」(中宮氏)

コントラクト・マネジメント部マネジング・ディレクターの巻田隆正氏は、部の役割を、こう語る。「契約締結後の契約管理が主な業務ですが、中宮が述べたような大型プロジェクトの場合には、我々も初期段階から関与します。また、ベンチャー投資・買収案件では、当社の契約ポリシーや管理プロセスに適合させるため、買収先が保有する既存契約を精査し、整えていく作業が必要となりますが、これこそ法務の醍醐味だと思います。買収案件では、コンプライアンスの周知徹底も必要となるため、コンプライアンス・コーポレート法務部との連携も不可欠といえます」

続いて、コンプライアンス・コーポレート法務部部長の小林貴氏は、「成長を続ける組織運営の難しさ」について、次のように話す。

「当社は16年頃から、デジタルマーケティング企業、ITテクノロジー企業、データサイエンス企業など、複数の買収を進めてきました。買収先も含めた組織拡大に伴い、全員が納得できるかたちでコンプライアンス意識を浸透させることは容易ではありませんが、非常にやりがいのある業務です。また、生成AIを活用した変革支援の増加に伴い、各種AIツールに関する社内からの相談も増えています。当社には個人情報やプライバシーに関して厳格なグローバル基準がありますが、単に『リスクがあるから使えない』と判断してしまうと、変革の推進力を損なう恐れがある。安易にNOと言うのではなく、我々が丁寧に確認し、問題がなければ活用を後押しし、クライアント支援および自社の変革につなげていく、我々自身の姿勢が大切だと考えます」

同社には、「ロケーションフレキシビリティ制」という、場所を問わず働ける制度がある。法務本部内でも、約1割弱が、同制度を利用している

オープンな環境で自ら成長機会をつかむ

巻田氏は即戦力として入社した際、「圧倒的なスピード感と、コンサルティング企業ならではの用語・略語に正直戸惑った」と笑う。

「しかし、単純な用語の疑問はチャットボットで即座に解決可能。また、当社グローバルが展開する先端テクノロジーなど多様なテーマのeラーニングも充実しているので、学びの機会はとても多いです。フラットな組織で、〝縦・横の連携〟も強いので、〝遠慮せず周りに聞き、学ぶ人〟ほど、早く成長できると感じました」(巻田氏)

「〝成長の機会〟でいうと、法務本部内の部門横断でトレーニングチームを結成し、様々なトレーニングを企画・実施しています。昨年度は、各種規制法の基礎を当社ビジネスの実態に即しながら学ぶトレーニングを実施。ユニークな企画としては、巻田のチームにいる元航空管制官を講師に〝ヒューマンエラー〟に関するセミナーを開催したこともあります」(小林氏) 

最後に、竹田氏に、同本部の今後の取り組みについて尋ねた。

「右肩上がりで組織が拡大しているため、業務量はもちろんのこと、高度で複雑な仕事も増しています。我々自身、AIを活用した効率化を図りつつ、部全体の〝知見の最大化〟を促進していきます。また、組織の成長という変化に対応していくため、柔軟性やオープンであること、互いに学び高め合うことを重視し、実践してきました。グローバルとの連携も頻繁で、これも含めた成長機会を今後も存分に提供していきます。こうした環境を上手に利用しながら、自ら変化していける人――受け身ではなく、周りに働きかけ自立的に動ける仲間とともに、クライアントと当社自身の成長を支援していきます」