「ビジネスや社会情勢の変化の早さに対し、前向きに踏み込み、柔軟に対応し、常に学び続ける姿勢を重視する」と、竹田氏。〝変化の速度〟に対応すべく、クライアント各社に向けた生成AI活用による支援が一段と進んでいる。営業法務部部長の中宮庸輔氏に、近年増加している案件について聞いた。「これまではクライアントとのJVやカーブアウトなどの案件が多くありましたが、最近では生成AIを軸とした〝AI-ledトランスフォーメーション〟の案件が増えています。グローバルCEOがAIを全社戦略の中心に据えていることもあり、当社もこの領域への注力を強めています。25年に発表された明治安田生命様との包括パートナーシップが代表例で、生成AIを用いて既存業務を再構築するプロジェクトを、業務改革、システム開発、DX支援、人材育成まで含めて、クライアントと一体となって進めています。今後も生成AI活用を糸口として、複数のクライアントの経営アジェンダに対応しながら全社変革を支援する案件は増加していくでしょう」
セブン&アイ・ホールディングスとのDXに関するパートナーシップ業務委託契約締結や、デジタルサービスの企画開発に強みを持つ「ゆめみ」、システム構築やソフトウェア開発を主事業とするSler「SI&C」、AI/DX人材育成支援を手掛ける「アイデミー」の買収も話題となった。
「当社では〝クライアント・セントリック・コントラクティング(顧客価値の最大化を中心に見据えた契約構築)〟を掲げており、明治安田生命様やセブン&アイ・ホールディングス様とのプロジェクトは、まさにそれを象徴する仕事だったと思います。我々のチームでは、全ての大型・複雑な案件に初期段階から入り、スキーム設計、契約構成、ファイナンスモデルなど全体のディールシェイピングの構築・推進を行い、クライアントとの交渉においても、クライアントの当社に対する期待に寄り添って契約を作り上げます。一方、自社による買収案件のなかでも、特にSI&Cの買収では、非常に短期間で、デューディリジェンス、許認可、SPA交渉からクロージングまでをリーガル主導で進めました。このような大型プロジェクトを、集中的かつスピーディに、複数同時並行で進めることになるので、非常にダイナミックな経験が積めると思います」(中宮氏)
コントラクト・マネジメント部マネジング・ディレクターの巻田隆正氏は、部の役割を、こう語る。「契約締結後の契約管理が主な業務ですが、中宮が述べたような大型プロジェクトの場合には、我々も初期段階から関与します。また、ベンチャー投資・買収案件では、当社の契約ポリシーや管理プロセスに適合させるため、買収先が保有する既存契約を精査し、整えていく作業が必要となりますが、これこそ法務の醍醐味だと思います。買収案件では、コンプライアンスの周知徹底も必要となるため、コンプライアンス・コーポレート法務部との連携も不可欠といえます」
続いて、コンプライアンス・コーポレート法務部部長の小林貴氏は、「成長を続ける組織運営の難しさ」について、次のように話す。
「当社は16年頃から、デジタルマーケティング企業、ITテクノロジー企業、データサイエンス企業など、複数の買収を進めてきました。買収先も含めた組織拡大に伴い、全員が納得できるかたちでコンプライアンス意識を浸透させることは容易ではありませんが、非常にやりがいのある業務です。また、生成AIを活用した変革支援の増加に伴い、各種AIツールに関する社内からの相談も増えています。当社には個人情報やプライバシーに関して厳格なグローバル基準がありますが、単に『リスクがあるから使えない』と判断してしまうと、変革の推進力を損なう恐れがある。安易にNOと言うのではなく、我々が丁寧に確認し、問題がなければ活用を後押しし、クライアント支援および自社の変革につなげていく、我々自身の姿勢が大切だと考えます」