同社グループが近年注力しているM&Aは、特に法務部の力が発揮できる領域だ。園田氏は言う。
「当グループでは、23年1月以降、8件の買収・事業譲受(M&A)を実施しています。これらのM&Aにおいては、独占交渉権を取得した段階から法務部の関与が本格化します。法務デューディリジェンスについては外部アドバイザーにも依頼しますが、全面的に委ねるのではなく、当社の事業特性やリスク認識を踏まえながら、外部の専門家と協働で進めます。また、株式譲渡契約書(SPA)の作成においても、当社特有の事情やグループとして重視する観点を反映させるため、主体的に関与し、柔軟な解決策を提示しています。さらに、クロージング後のPMIにも関与。M&Aは買収して終わりではなく、グループシナジーの創出やガバナンス体制の整備が極めて重要です。私たちも、買収先企業のガバナンス強化やコンプライアンス体制の構築に向けて、グループ全体としての統制機能の向上を目指し、プロアクティブに活動しています」
東京拠点に所属する西島真璃恵氏に、仕事のやりがいを聞いた。
「スキームが固まっていない構想段階から事業部門の企画検討に加わり、既存サービスの拡張や新金融サービスの立ち上げに必要なビジネスモデルや契約構造、規制対応の観点で意見を述べ、かつ法的リスクの指摘に留まらない実現可能なスキームをともに検討していきます。このように、一つの事業をつくり上げるプロセスに、当事者としてかかわれる点が、私が思う仕事の醍醐味です」
同じく東京拠点所属の中村安利氏は、「〝総合金融企業〟を名乗るとおり、商品が多様で、関連する法律の幅も非常に広い。弁護士15年目だが、初めて開く法律書もある」と話す。中村氏は続けて言う。
「前勤務先はマンション開発を手がける不動産デベロッパーで、扱う法律は限定的でした。しかし現在は、貸金業法はもちろん、割賦販売法や資金決済法を調べたり、民法(保証契約)に金融庁の監督指針や消費者保護法制を絡めて法的整理をしたりと、新鮮な刺激が得られる毎日です」
さらに中村氏は「クレジット事業における加盟店契約や広告宣伝の事前チェックといった日常業務に加え、各事業部門からの法律相談対応が業務の多くを占める」と具体的な業務内容も話してくれた。
「なかにはイレギュラーな対応が必要なケースも。その際、杓子定規に事業を止めず、代替案を提示するようにしています。私たちの仕事は、直接的に収益に結びつく業務ではないかもしれませんが、そうした対応ができた時は、事業推進を支える役割を果たせていることが実感できます」
法務部長の山本敬志氏は、法務部の業務について、こう語る。
「既存継続事業、新規事業、M&Aであっても、当部の場合は案件の初期段階からかかわるため、『特別なプロジェクト名がないまま、いつのまにかプロジェクト化していた』ということがよくあります。その場合は、案件の内容を見ながら、インハウスローヤーが必要な案件であれば、中村さんや西島さんに個別に声をかけてアサインするといったスタイルが多いです。また、法務部担当の常務執行役員から、週次で開催される経営会議での方針が速やかに我々に共有され、『次の打ち手や改善すべきこと、今後こういうことをやりたいから検討着手しよう』といった〝報連相〟も役員を交えながら頻繁に行います。〝経営との距離が近い法務部〟と言えるでしょう」