日常業務を行う上で、法務部が指針とするのは、どんな点だろうか。
「経営と現場をよく知ることを部の指針として、常に部員に意識づけています。また3年に1度の社内アンケート(法務部顧客満足度調査)で、指針が仕事に反映されているか検証しています。法務部は、処理した案件をコンピューターの『相談記録システム』で管理していますが、そのなかから400人程度のクライアントを抽出して、アンケートを行います。『みなさんのご要望をよく聞いていたか、アドバイスは適切かつ建設的だったか』などの設問に答えてもらいます。内容を分析した私のコメントを添付し、フィードバック。アンケートは15年以上前から実施しています。また相談記録自体も、部員の知識の共有、サービスのレベルアップに活用されています。そのほか1年間の仕事を振り返り、ベストパーソンを表彰する仕組みもあり、各種の方法で業務の質とモチベーションを向上させ、会社に貢献できるよう努めています」
そんな花王法務部で働く魅力はどんなところにあるのだろうか。
「私たちは一般的なメーカーより、広範な仕事をカバーしていると感じています。M&Aなどでも中心的な役割を担いますから、重要案件をはじめいろいろな仕事を経験できる面白みがあります。また今でも成長期にある企業の勢いも魅力だと思います。会社はBRICs※2など新興国への進出を急いでおり、法務組織もさらに大きなグローバルワンリーガル体制になるでしょう。責任のあるポジションを担える法務人材を国内外に育てることが急務です。当然ながら全体のさらなるボトムアップも必要で、国内外の体制整備を急いで進め、グローバルかつ円滑に法務を果たしていきたいと考えています」
※1 事業 SCM(サプライチェーンマネジメント)
※2 BRICs Brazil、Russia、India、Chinaの頭文字。経済発展が著しいブラジル・ロシア・インド・中国の4カ国