企業経営の問題点を探り出し、改革のためのITシステムを開発する。言うは易しで、かなりリスクの高い仕事なのだという。
「システム開発契約の契約形態は、一般的には請負契約となります。請負契約は、本来はある程度きちんとした方向性(設計図)があって、そのとおりにできたかを問われることになる。しかし、当社は構想段階からクライアントとともにプロジェクトを進めることもあり、問題点を突き詰めていったら、満足のいくソリューションを提供できないことがわかった、というケースもあり得る。だから、そうしたリスクをある程度織り込んだ契約を結ぶ必要があるのです」
しかし、すべてが「理解のある顧客」ばかりとは限らない。
「問題が起こりそうになったらすぐに飛んでいって、誠心誠意交渉することを心がけています。何も自分たちに有利な契約を結ぼうというのではありません。”WinWin”のビジネスを実現するためにも、リスクをきちんと理解してもらわなければならないのです」
とはいえ、ブレーキをかけるのが法務の仕事だとは考えていない。「何よりもスピード感が大事」だと、渡辺氏は強調する。「コンサルタントは仕事を取ったら速やかに契約して、すぐに仕事に移りたいもの。そのニーズに応えられなければ、まず自社のメンバーから信頼を得ることができません」
法的リスクの軽減とスピード感を両立させるために、メンバーには「そのプロジェクトでコンサルタントが何をやりたいのか正確につかむこと、そしてリスクがあるからNGではなく、常に代替案を考えておくこと」この2つを徹底して伝えているそうだ。