NHN comicoは、スマートフォンに特化したコミック&ノベルサービスを主軸とする。2015年10月、会社分割によりNHN PlayArt、NHNハンゲームなどを傘下に持つ事業持株会社へと移行した。組織再編の背景と法務のミッションを、法務室長の小坂裕氏に聞いた。
「一つの会社で行っていた性質の異なるビジネスを分割することで、迅速な意思決定と事業展開の加速を促し、成長と成果の最大化を目指す。これが組織再編のテーマです。そして、我々法務の使命は、企業価値のプロテクトとその向上に貢献すること。そのために個々がスペシャリストとしてのスキルをさらに高め、複雑な案件はチーム一丸となって成果を出していくことを目標としています」
現在、スマホ向けゲーム事業、データセンター・ネットワーク関連事業、オンラインゲーム事業を行う子会社3社を含めた法務を、同室ですべてカバーしている。マネージャーの鴨井美奈子氏は、法務室の体制を次のように語る。
「メンバーのほとんどが即戦力の中途採用者。各々の事業経験が異なるので、事業(会社)ごとの縦割りの担当分けはせず、大まかな役割のみを決めています。法務への相談は、社内システム上の窓口にいったん集約し、その都度メンバーに案件を振り分けます。商事法務業務、契約書立案および審査、知財業務、景品表示確認、セキュリティ、コンプライアンス等、法務の仕事の幅はかなり広いと思います」
組織再編を機に、戦略法務の強化も課せられた。
「今年1月に弁理士を採用し、知的財産権に関する専任者とするなど強化を図っています。例えば、特許についても事業部に法務がどんどん入って保有技術を掘り起こし、権利化してビジネスにつなげる……そんな能動的な動きができる体制を整えました」とは小坂氏の談。