2008年4月、渡邊顯弁護士を代表とする成和共同法律事務所と、土岐敦司弁護士を代表とする明哲綜合法律事務所に、ホワイト&ケース法律事務所のパートナー・渡辺昭典弁護士ら3名が加わって誕生した、成和明哲法律事務所。弁護士数19名のうち、パートナーが15名。会社法を中心に、M&A、金融取引、事業再生、知的財産権など、企業法務分野における一騎当千のつわものたちが集結した。
渡邊氏といえば、第一東京弁護士会の会社法部会初代部会長を務め、目黒雅叙園や浅草花やしきの更生管財人としても知られる。土岐氏も、トスコやカントリークラブザ・ファーストの更生管財人として手腕を発揮した人物。渡邊氏に、この事務所統合の背景と意義を聞いた。
「私が会社法部会の部会長だった時、副部会長を務めたのが土岐弁護士です。以来、様々な研究を共にし、私の倒産事件を手伝ってもらうなど、関係が続きました。そして、互いの事務所が会社法・倒産法という専門分野でオーバーラップする面が多かったこともあって、経営統合に至ったというわけです。私と土岐がいることで、当事務所が会社法部会の〝実動部隊の両輪〞になれたと自負しています」
昨年は統合効果を確信する案件が2つ続いたと渡邊氏は語る。「1つめは、負債総額約4300億円超となった、私が管財人を務める安愚楽牧場の案件。倒産法に練達したパートナー弁護士が所内に大勢おり、彼らに全面的に手伝ってもらえて大変助かっています。2つめは、オリンパス事件です。監査役等責任調査委員会が立ち上がった時、私が委員長で、土岐弁護士には委員の一人に加わってもらいました。損失隠し問題で、海外ファンドへの〝飛ばし〞もあったので、調査段階から入ってもらった渉外事務所出身の田代桂子弁護士が大変な活躍をしてくれました。今年に入ってからも相互協力して進める案件が一層増え、事務所統合は正しかったことを改めて確信しております」