同事務所は、福岡市と東京圏の国家戦略特区事業に参画し、その一事業である「雇用労働相談センター」で、創業間もない企業や日本進出を考えるグローバル企業の法律の無償相談にもあたっている。設立者の一人、倉持麟太郎弁護士は言う。
「ベンチャー支援は、事後の駆け込み寺的対応ではなく、船でいえば“どんなエンジンを載せるか、どんなマストをつけるか、定めた進路に向かってどれだけいいスピードで走らせるか”といったような、船の建設から操舵に至るまで、法的側面から共にかかわることができる面白い仕事。私たち自身も法律事務所としては“ベンチャーマインド”が高いと思うので、その支援に熱が入るのです」
ベンチャーマインドが高いとは、どういうことだろうか。
「事務所の取り組みの一つとしてベンチャー支援を掲げてはいますが、各々好き勝手に(笑)やりたいと思う分野にまい進しています。報酬が高いとか仕事につながるからといった理由ではなく、究めたい、貫きたい、正義を通したいと思う分野を持って、それを磨いている感じです。そもそも事務所をつくったのも、支店をどんどん出そうとか大きくしようといった思いではなく、『ダメならあっさり解散して各自で食っていけばいい。でも相乗効果があるならばやってみよう』という点で3人の気が合ったから」と、倉持弁護士。多田弁護士も、「同じ理念を持ち、幅広い案件にバランスよく対応することを旨に事務所を運営しながらも、各々が独立性を尊重し合う。そこが強みとなっています」と同意する。