「私自身、先輩たちの〝おおいに、自由に、やりやすいようにやれ〞という教えの下で仕事をさせてもらいました。できるだけ制約しないという気風があり、それは今、若手弁護士が仕事をする環境にも引き継がれています。事務所運営面も同様で、実質、若手を中心に検討・実行してもらっています」と、中杉弁護士。若手弁護士の中心的役割を担っている河津良亮弁護士は、同事務所での働き方、やりがいを次のように語ってくれた。
「期は違っても〝共同経営者〞という対等な立場に置いてもらい、加えて経験豊富な先輩弁護士の意見やアドバイスを伺えるのは、大変ありがたい環境です。そうした働き方ができることが当事務所で働く最大のメリットでしょう。最終的には自己責任で、勤務弁護士のような〝安定〞は得られませんが、その分、自由があります。実際、近年入所した若手弁護士は、環境法分野に邁進する者、租税法分野から企業法務へアプローチする者、自治体や行政機関の顧問として励む者など様々です。また、日野、安田、中杉弁護士からは『一緒にやらないか』とよく声をかけていただくので、そうした場を通じて多くの勉強をさせていただき、かつ一人でやっていては出会えない人たちとのつながりもいただいています」
自主独立で、各々の強みを諸方面で発揮する一方、渋谷法律事務所として、まさに〝協力し合って〞取り組んできた得意分野もある。それが、交通事故事件だ。
「保険会社側での交通事故事件への関与が、我々の仕事の7〜8割を占めた時期もありました。東京地裁に民事第27部(交通部)ができて間もなくで、交通事故を専門とする弁護士が少なかった早期に取り組み始めたことも大きかったでしょう。うちが関与した事件が、判例百選に載ったこともありますよ」と、日野弁護士。「日野さんは交通法系の先駆者といわれる裁判官と、丁々発止とやり合うので、ハラハラしながら見ていたものです(笑)。交通事故に限りませんが、それだけ全身全霊で取り組んでいたということですね」と、安田弁護士も振り返る。同事務所では現在もその流れを汲み、交通事故および保険会社の案件などが多いそうだ。