「業界や経験などを考慮し、通常出席者を5~7つのグループに分けます。一方的に講師の講義を聞くだけでなく、ケーススタディを用いたグループディスカッション、その発表を行うなど、会員が積極的に自主参加・発言できる運営方針です」
研究会は参加自由で、自主的に月1回程度集まって運営されている。目下、独禁法や労働法などの研究会を増設することも検討されている。
さて、INCAは会員にとってどのようなメリットがあるのか。岡田氏は次のように言う。
「まず、法務部員に必要とされる幅広い知識を得ることができます。また、法務部員が少人数もしくは一人という会社も多く、ある問題について社内に適切な相談相手がいないという場合も。そんな時、当該問題に詳しいINCAの会員に直接相談することもできます。そのように、必要な情報の収集と活用に関する知見や人脈を得ることができる。また、同じ法律でも業種によって受け止め方が違うなど、法律問題を多角的に捉え、個々の引き出しを増やせる機会になっていると思います」
2006年に新会社法が施行され、日本の企業法務も大きな転換点を迎えた。一言で言えば、「対処法務から戦略法務への転換」である。そして、企業戦略に法律問題が大きな影響を及ぼすようになった。
「企業として意思決定をする際、トップが必ず『法的な問題はないか?』と聞くようになりました。法務部員の仕事の難易度はぐっと高くなりましたが、それだけやりがいも高くなったと思っています」
今後もさまざまな法改正が行われ、また法律の解釈も時代とともに変化する。そんな時代を生きる法務部員は、常に自己成長を続ける必要がある。
「今後も、会員にとってINCAが得難い研鑽の場であり続けられるよう、我が国の企業法務全体のボトムアップができるよう、協会のオリジナリティを損なうことなく、運営を継続していきます」
トライアルの参加も受け付けているという。自社以外の法務部の働き方を参考にしたい、幅広い法律問題に触れる機会を持ちたい、人脈を広げたい、そんな思いがあるのなら、INCAの活動に一度参加してみることをお勧めしたい。