Vol.73-74
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左より、原英彰弁護士(60期)、津木陽一郎弁護士(60期)、新藤勇介弁護士(60期)。ほか有簾和茂弁護士(70期)、右田圭吾弁護士(72期)、事務スタッフ3名の陣容

左より、原英彰弁護士(60期)、津木陽一郎弁護士(60期)、新藤勇介弁護士(60期)。ほか有簾和茂弁護士(70期)、右田圭吾弁護士(72期)、事務スタッフ3名の陣容

STYLE OF WORK

#138

JPS総合法律事務所

「他者がやりたがらないこと」には勝機あり!労働問題対応のトップファームを目指す

困難で泥臭い案件ほど充実した仕事ができる

大阪市のビジネスの中心地・北浜に本拠を構えるJPS総合法律事務所。顧問先の人事労務に関する相談や労働審判、訴訟など、企業の労働問題対応を得意とする事務所だ。使用者側の労働問題に対応する法律事務所は全国に多数ある。同事務所もその一つだが、特筆すべきは「団体交渉・労働組合対策において、比類のない団交出席数、団交対応実績を誇る」点だ。ちなみに、団交出席数は年間70回超。近畿エリアに限らず、日本全国からのオーダーに対応している。

「従前、団交案件に積極的にかかわろうという弁護士は少なかった」と語るのは、設立パートナーの一人、原英彰弁護士。原弁護士は勤務弁護士時代、誰もが引き受けることを嫌った団交案件に「骨は拾ってやるから行ってこい」とボス弁に送り出されて初めて出席。「それが意外と肌に合い、その後も『団交・労組対策なら自分が』と手を挙げ、経験を積ませてもらいました」と語る。

「労働事件を多く扱う法律事務所でも、労組との団交対応についてはあまり積極的に関与したくないのが本音ではないでしょうか。団交に出席するということは、労働事件の最前線で労使交渉にあたるわけですが、弁護士にとって当たり前の理屈・論理が通じないこともありますし、ありていに言えば“かなり泥臭い仕事”ですから。加えて、弁護士が労使交渉に積極的に介入すべきではないといった風潮も弁護士業界内に根強くありました。しかし、多くの企業経営者は『団交の席に着き、一緒に交渉してほしい』と考える。ニーズがあって、他者がやりたがらない仕事に価値を見いだしたのです」

2016年、「団体交渉・労働組合対策に強い事務所」を掲げ、同期の津木陽一郎弁護士と同事務所を設立。団交の魅力を、津木・原両弁護士にうかがった。

「例えば、訴訟の際には準備書面を用意周到に揃え、それをもとに証人尋問などに臨みます。団交も、経営者と交渉内容についてシミュレーションしたり、アドバイスをしたりと事前準備は重要ですが、団交の場での当意即妙、臨機応変、迅速果敢な対応を迫られます。それまで培った知識と経験を総動員しても、次々と予想もし得ないことを労組側から提示される。そんな時、不当労働行為のそしりを受けない対応を即座にしなければなりません。まさに、スリリング。それが、やりがいであり魅力です」

同事務所で扱った案件例として、次のようなものがある。「勤務態度の悪い従業員を解雇したところ、外部合同労組の執行委員を名乗る人物が来社し、当該従業員が労組に加入したので団交に応じよと言ってきた」という事案。その企業は団交経験がなく交渉に自信がなかったため、原弁護士に対応および代理人として団交への出席を依頼。解雇理由を整理し、団交時の説明準備を経営者と共に行った。議論はかみ合わなかったものの、団交以外の場でも協議を重ね、一定の解決金を支払うことで円満解決できた。「解決のポイントはいくつかあるが、団交の流れをシミュレーションし、経営者としっかり共有できていたこと」と原弁護士。

「まず、経営者にとって弁護士の同席は“精神安定”につながります。また、経営者に団交前の事前レクチャーを行い、『おそらく労組はこう言ってくる。次はこういう展開になる』と予測可能性を持っていただく。実際に団交時、そのとおりの流れとなれば、経営者は『ああ、原弁護士の言っていたとおりの展開になった』と安心できる。それが喜ばれているようです」

労働者側の権利意識の高まりもあり、当事者以外の親や配偶者が組合に加入し、団交の場に参加することもあるそうだ。“人の人生・生活”に深くかかわることになる労働問題。仕事の心構えを原弁護士に聞いてみた。

「勤務弁護士時代の大ボスの教えに、『一にハッタリ、二に度胸、三四がなくて、五にしょせん他人事』という五か条があります。最後の“しょせん他人事”は、責任感を持たないという意味ではなく、弁護士が“当事者化”してはいけないという意味です。人と人とのぶつかり合い、話し合いなので、弁護士も頭にくることがある。しかし当事者化せず、客観的に冷静に。かつ企業側の立場できちんと主張しつつも相手方に嫌われないような采配をする。常にそれを忘れることなく、仕事に臨んでいます」

JPS総合法律事務所
新藤弁護士は長年、柔道で心身を鍛えてきた猛者で、高校総体では準優勝の経験もある。「体育会系ですよ」と笑いながら、厳しさと優しさをもって、アソシエイトの指導を担当

気心の知れた同期で堅固な土台づくり

同事務所の顧問契約先の業種は、建設業、製造業、情報通信業、運送・運輸業などと幅広く、中堅・中小企業が中心だ。労使間トラブルの相談から、顧問契約を結んだ先も多い。津木弁護士は言う。

「団交・労組対策を入り口にして顧問契約を結んだ企業が7~8割です。また契約締結後、予防法務や戦略法務の観点から経営者の判断および事業推進をサポートするケースも増えています。団交・労組対策のご相談は絶え間なく届いていますが、紛争を未然に防ぐ会社の体制構築の提案、自社にとって契約を有利に進めるための契約書作成・リーガルチェックなどの業務も重要度が高くなっています」

そんな同事務所には、有簾和茂弁護士、右田圭吾弁護士、2名のアソシエイトが所属している。

「有簾弁護士は事務所設立後、初めて採用した弁護士。当時から業務量が多く、教育体制が構築できず、目の前の業務をこなしてもらうことで精いっぱい。ОJTもままならなかったと反省しきりです。教育体制や教育環境の整備については現在も試行錯誤する日々ですが、彼らには事務所を共に支える屋台骨的人材に育ってほしいと願っています」と、津木弁護士。

そして、津木・原両弁護士と同期の、新藤勇介弁護士が今年の1月にパートナーとして参画した。新藤弁護士は大阪市内の法律事務所で経験を積んだ人物だ。

「新藤弁護士が入所してくれたことで、若手の指導方法や教育体制について、ようやくしっかりと前進させることができ始めたと感じます。パートナー3名がよいバランスで、事務所運営できるようになりました」(津木弁護士)

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津木弁護士は、「私は“バランス”を重んじる性格」と自己分析。デスク周りはきちんと整理され、無駄なものが一切なく、几帳面さがうかがえる

10年後を目途に二十数名体制を目指す

同事務所は、規模の拡大を図るべく、「10年後までに二十数名体制を目指す」という。昨年12月にはオフィスを移転し、増員のための準備を着々と進めている。

「私たちは一般民事・家事事件も取り扱いますが、やはり多いのは企業法務。ゆえに中堅・中小企業の経営者の信頼を得ることが大事です。顧客企業の経営者が同世代なら、面白いビジネスを一緒に生み出すチャンスもあるはず。そのためには、自分自身が魅力的でなければいけません。弁護士以外の人たちとの交流も積極的に増やし、交友範囲を広げ、世の中の様々な動き・情報にアンテナを張り、法的なアドバイスだけではなく、ビジネスのアドバイスもできる能力を身につけておきたい。そうやって自分に言い聞かせると同時に、当事務所に魅力的な弁護士を集め、より強靭な“組織”を構築していきたいと思います」(津木弁護士)

「第一はクライアントが笑顔になってくれること。第二は所内のメンバーが幸せになれること。これが私たちの目標です。発展途上ではありますが、突き抜けた魅力で依頼者をひきつける組織にしていきたいとも考えます」(原弁護士)。

最後に、新たにパートナーとなった新藤弁護士から、若き弁護士へのメッセージをいただいた。

「『何年後にどうなりたいか。どういう仕事をしていくのか』。明確な目標を設定してほしいと思います。私は弁護士になって数年間、目の前の仕事に忙殺され、目標設定があいまいだったことを後悔しています。この先、テクノロジーが進化し、契約書作成やレビューをAIが肩代わりするようになるでしょう。目の前の仕事をしっかりやること、弁護士としての知識を深める勉強に励むことも大事ですが、10年後、20年後を見据え、世の中の出来事にアンテナを張り、次は何が来るかをイメージし、そのうえで、『どうなっていたいか』を自分自身に問い続けることが、これからの時代には、重要だと思っています。その道しるべとなる目標を言語化し、期限を定め、実現を信じて突き進んでゆく。その姿勢を崩さなければ、明るい未来が自然と近づいてくるのではないでしょうか」

Editor's Focus!

原弁護士はアイドルグループ「ももいろクローバーZ」の大ファン。グッズをデスク周りに飾り、気分を高める。また、弁護士のみで構成される「劇団ななころび」の専属俳優でもある。遺言・相続などをテーマにした寸劇で、弁護士の活動を広くPRしている

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