村尾弁護士が意気投合した“創業者”が、あい湖を率いる飛渡貴之弁護士と、A.I.グローバルグループを率いる上野興一司法書士と本多正克司法書士・土地家屋調査士だ。これによりキャストグローバルGは、国内21拠点、海外8拠点(台北、上海、蘇州、広州、北京、香港、ホーチミン、ヤンゴン)、士業・スタッフ合わせて総勢400名規模の組織となる。COOを務める上野司法書士は、期待を次のように語る。
「私たちは登記業務の件数・品質で業界トップクラスを自負していますが、今後もお客さまに“選ばれ続けていくため”に進化を続けねばなりません。品質保持(大量案件への関与)はもちろん、アウトバウンド案件などのシェア獲得、さらなる業容の拡大とブランド力の強化を加速するため、アジア市場に強みを持つキャストグループと、国内業務に強みを持つあい湖との協働を決めました。従前、私たちが強みとしてきた国内“ローカル”マーケットにおいては、相続や事業承継などの業務で弁護士・税理士と協働することで、さらに質の高いワンストップサービスを提供できることは間違いないでしょう。また、そうした利便性のみならず、お客さまの新たな困り事の解決、ご要望の掘り起こしもできると考えます」
続けて本多司法書士が、昨今の士業を取り巻く状況などについて説明してくれた。
「士業はそれぞれ独占業務を有していますが、例えば相続関連、商業登記の分野では司法書士のみならず行政書士も活躍し始めています。弁護士と司法書士の業務分野においても垣根があるものの、改正入管法など、取り扱い分野によっては、将来的にその垣根が曖昧になることも予想されます。そもそも“資格の垣根”とは資格者側の都合・論理でしかなく、お客さまからすれば『要望をどう解決してくれるのか』がすべて。私たちの理念『For Customer〜お客様のために〜』を追求し続けるために、今回の“士業共栄”という選択をしました」
飛渡弁護士にも、合併を決めた理由をうかがった。
「もはや戸口を開けていれば弁護士のもとに仕事(お客さま)が来る時代ではありません。常に自己研鑽し、“挑戦と成長”し続けることが必要です。私たちはこれまで、主に国内の個人案件を取り扱ってきましたが、企業法務や国際法務などを強化することで、新たなブランド力を確立したいと考えていました。村尾弁護士はじめ、キャストの先輩弁護士の渉外業務やアジア展開などのノウハウ・知見を学びとることができれば、私たち自身の成長スピードを加速させられる――そう確信したことが、今回の合併を決断した理由です」