このように、幅広い案件を取り扱う同事務所。どのようにキャリアを積んでいけるのか、佐藤弁護士は次のように説明する。
「入所3年目くらいまでは一般民事、刑事、企業法務を“くるもの拒まず”で、まんべんなく経験してもらいます。その先は、各自、興味ある分野・テーマに沿った案件に注力してもらう。当事務所では、個人の受任事件を制限することもまったくありません。事務所への納入金も1割にとどめています。また、支店長になりたい、出身地で仕事がしたいという弁護士についても、積極的に支援しています。入所4年目あたりから、支店長というポジションを意識して仕事に臨んでもらうことは、ひとつの理想です」
実際、どのような弁護士が所属しているのか。柴﨑弁護士は、「個人事業主マインド――自分で稼ぎ、売り上げて成長していきたいという意識の高い弁護士が集まった事務所だと思います」と言う。
そもそも柴﨑弁護士の入所理由も、「法律の知識・経験の向上だけが目的ではなく、ここであれば自分の“独立志向”が満たされそうと考えた」から。
「私が入所したのは当事務所が設立されて間もない頃で、弁護士は佐藤・寺垣両弁護士のみでした。二人は採用面接の際に、『支店を10は出したい』と。事実、設立5年でその目標数を超えました。両弁護士の、明確なビジョンを持って突き進む行動力・実行力、経営者としての視点を学んできたように思います。今は、支店の管理や教育、実務まで、仕事を任せてもらえている実感も強いですね。最初はしっかり指導してもらいましたが、一定のレベルに達すれば、無用な管理はせず、信頼して仕事を任せてもらえる――それは一弁護士として、幸せなことだと思っています」(柴﨑弁護士)
とはいえ“ガツガツした一匹オオカミ”が集っているのではない。“自立心を持った弁護士”が対等な立場で切磋琢磨し合い、チームワークを重んじて活動しているのだ。佐藤弁護士は言う。
「私たちは、依頼者に対してはもちろん、所内の仲間に対してのコミュニケーションも重視しています。支店が全国にあるため、横の連携も欠かせません。物理的な距離を縮めるために、例えば、ビジネスチャットツールを活用して弁護士間の連携を密にしています。支店単位とは別に、債務整理チームや交通事故チームなどといったチーム制単位も設けており、何か疑問がある場合は、ほかの弁護士に質問を投げかける仕組みとなっています。回答を知っている弁護士がいればチャット上で即座に答えますし、誰も答えられない場合は、チーム長や副チーム長が調べて回答します。上下関係なく、誰でも気軽に質問できる環境が、メンバーに好評のようです」
コミュニケーション手段の一つとして、オフライン・オンラインミーティングの開催を頻繁に行うのも、同事務所の特徴だ。
「今はオンラインミーティングが主ですが、新型コロナ禍前は2カ月に一度、全支店のメンバーが集結して、法改正や、破産、家事、その他一般民事などをテーマとした講義形式の勉強会を実施していました。現在は、良い解決ができた案件や、難しかった案件などを各自が発表する“案件報告会”をオンラインで行っています。お互いの仕事内容を共有することで多角的な視点で解決法を検討、そのノウハウを積み上げています」(佐藤弁護士)