Vol.78
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前列右より、粟澤方智弁護士(54期)、山本 昇弁護士(61期)、飛田貴弘弁護士(70期)、高津花衣弁護士(69期)、町田紳一郎弁護士(63期)、丸一浩貴弁護士(67期)

前列右より、粟澤方智弁護士(54期)、山本 昇弁護士(61期)、飛田貴弘弁護士(70期)、高津花衣弁護士(69期)、町田紳一郎弁護士(63期)、丸一浩貴弁護士(67期)

STYLE OF WORK

#152

粟澤・山本法律事務所

フラットな組織が成長実感をもたらす。“チーム”で仕事をする強みを最大限に!

新たな組織の在り方を追求

2019年4月に設立された粟澤・山本法律事務所。法律事務所として新しい組織をつくることを志す弁護士・スタッフが集まり、設立された。目指している“新しい組織”とは、全員がフラットな立場で、クライアントと直接つながりながら、チームとして仕事ができる事務所である。

「私たちの事務所では、パートナー、アソシエイトといった肩書を使用していません。一人ひとりが事務所の仕事に“主役”としてかかわる大切な一員であるとの考えに基づきます」(粟澤方智弁護士)

事務所の運営にあたっては、所員はいくつかのルールに従う。このルールは、設立に際して事務所のメンバー全員で合意した内容だという。例えば、「弁護士だから、先輩だから、という理由で他の人を説得してはならない」といったものだ。パートナーなど一部の弁護士が、事務所の運営や案件の処理について決定権を持つというスタイルではなく、各自が主体的に自己決定することを大切にする。

「所員全員が、経理に関する情報、案件に関する情報などにアクセスでき、事務所の情報すべてを共有しています。そのうえで、各自が事務所の経営者の一員として、何をすべきかを考えるのです」(山本 昇弁護士)

実際、仕事をどのように進めているのか教えてもらった。

「クライアントから一次的な連絡を受けた弁護士が自らチームアップを行い、仕事を進めます。先輩・後輩は関係ありません。誰が最初に書面を起案するか、その順序も決まりはありません。最終的にはチームの全員が書面をレビューしますが、チーム内で最初に着手できる人から順番に仕事を進めていき、全員が見終わったところでクライアントに提出する。そうすることで、最短時間で精度の高い成果物をクライアントに提出できます。情報共有や相談は活発に行いますが、決裁や承認といった仕組みはありません。ですから、メンバーは仕事の時間のほぼすべてをクライアントのために使えます」(山本弁護士)

「仕事を受けた弁護士がよりよい仕事をできるよう、チームメンバーが上下の区別なくサポートします。これにより、チームのバックアップを受けているという安心感を持って仕事に取り組むことができるのです。よりよいサービスを提供するためには、所内で弁護士同士が競争し合う関係よりも、安心して協働できる関係こそが、望ましいと考えています」(粟澤弁護士)

山本弁護士も「“安心感”は、一人ひとりが自分の能力を十全に発揮するのに必要な要素。そうした環境だからこそ、クライアントに最善のサービスが提供できるし、喜んでいただければ個々のモチベーションアップにつながる。それが成長意欲となり、さらによいサービスを提供する――私たちは、そんな好循環が生まれる事務所でありたいのです」と語る。

粟澤・山本法律事務所
大机は、事務所のレイアウトに合わせて、最大限のサイズでつくってもらった特注品だ

クライアントもチームの一員

同事務所が取り扱う分野は幅広いが、なかでもファイナンス、M&A、事業再生分野を得意とする。資金の出し手である金融機関やスポンサーの立場と、借り手である債務者の立場、両方に精通していることが強みだ。最近の仕事について粟澤弁護士は、こう語る。

「例えば、再生案件におけるスポンサー企業は、M&Aの局面では再生企業や債権者との間でスポンサー交渉を行いますが、再生企業の株主となった瞬間、再生計画を遂行する債務者側の当事者として、既存債務の返済に責任を負う立場となる。最近は、ファンドなどが再生企業のスポンサーに就任したあとの事業運営にあたり、アドバイスを求められることが増えています。ファンドの出資者の資金を毀損させないよう、金融機関とも交渉しながら、投資先企業の再生を促進し、同時に従業員の雇用・福祉も守る、といった複雑な利害調整が求められます」

また、クライアントには政府系の金融機関も複数存在する。

「新型コロナウイルス禍による緊急融資など、緊急の資金供給にまつわる仕事も増えています。こうした状況下では、金融機関も多数の案件に迅速な対応を求められます。私たちも、顧問弁護士という立場を超え、クライアントである金融機関の一員という意識で、共に難局を乗り切ろうという心構えを持って臨んでいます」

同事務所がクライアントとの関係性で大切にしていることとは?

「クライアントもチームの一員、共に仕事をする大切な仲間であると考えています。ですから、スポット的に専門的な情報を提供するだけではなく、クライアントが守ろうとしている哲学や理念までをも視野に入れたサポートをしていきたい。例えば政府系の金融機関であれば、融資金の回収ももちろん大切ですが、“誠実さ”や“公正さ”も重要な経営上の価値です。私たちは、個々の法律問題への対応にあたって、単なるリスク分析や選択肢の提示ではなく、そういった哲学・理念をより尊重できるような解決策を、クライアントと一緒に模索していきたいと思っています」(粟澤弁護士)

事務所のロゴマークである“Cl ear Book”は、様々な悩みを持つクライアントとの仕事を通じて、気持ちが晴れていく様をグラデーションで表現したもの。所員全員でデザイン会社に思いを伝え、具現化してもらったという。

自己実現の場としてのオフィス

フラットな組織づくりの思想は、オフィスのデザインやレイアウトの細部にも表れている。

「風通しの良さや活発な議論ができる環境――というコンセプトを、言葉だけでなく、現実のオフィスづくりに落とし込んで実践したいと考え、全員で内装の意見を出し合いました」(粟澤弁護士)

その結果、弁護士・スタッフ全員が一つの大机を囲んで仕事をするというスタイルになった。

「例えば、壁際にブースをつくって弁護士それぞれの執務スペースを並べた場合、メンバー同士は背中合わせで仕事をすることになってしまう。チームとして仕事をするために、全員がお互いの顔を見ながら活発に話し合えるスタイルを追求した結果、このようなかたちになりました。席次にも決まりはなく、フリーアドレス制。必要最低限のものを除き、紙の書類を個人が保管することはなく、データ化してクラウド上で共有しています」(粟澤・山本両弁護士)

なおオフィスの内装は、木の質感を大切に、ぬくもりと居心地の良さを感じさせるものとし、床もこだわってフローリングとした。「フローリングは声をよく響かせてくれます。私たちは所内での会話を大切にしたいので、この内装が最適なのです」と、粟澤弁護士。特に、若手弁護士にはここで働くことで、“成長実感と自己実現”を得てもらいたいと願っている。

「弁護士を志す人は、世の中のために自分の力を尽くしたいという思いが強い。“事務所”とか“先輩弁護士”のために仕事をするというのでは、その感覚は得にくい。自分が“クライアント”のために仕事をしている、役に立っているという実感を、顧客と直接やりとりするなかで、また、事務所のチームメンバーに守られているという安心感のなかで体感してもらいたいと思うのです。そうすることで、人は自分の能力をフルに発揮し、のびのびと成長できる。それが何よりもクライアントのためによい結果をもたらすのです」(粟澤弁護士)

最後に、今後の展望について、粟澤・山本両弁護士に聞いた。

「組織づくりは軌道に乗り、おかげさまでクライアントも順調に増えています。今後はクライアントのためによりよい仕事を追求しながら、公益活動など各人がやってみたいと思うことに取り組める機会も増やしていきたい。各人が望む豊かさや幸せが、ここで仕事をするからこそ得られる――そんな場でありたいですし、そういう場であれば、私たちのサービスは日々成長していくと確信しています。共に成長したいと願う方々が、新たな仲間として加わってくれるとうれしいです」(両弁護士)

※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。

粟澤・山本法律事務所
カフェのような執務スペースには法律書と共にメンバーの愛読書が並ぶ。事務所づくりにあたって参考にしたという『ジョイ・インク―役職も部署もない全員主役のマネジメント』(リチャード・シェリダン著、翔泳社)も数冊常備

Editor's Focus!

壁面に、「公益活動の一環としての教育事業への着手」といった、チームで実現していきたいこと(趣旨、ファーストステップ、着手時期の目安)が複数張り出されていた。「社会の人々全体も私たちのチームメイト」と考え、よりよい社会づくりをみんなで実現していこうという強い意欲を感じた

粟澤・山本法律事務所