Vol.80
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前列左より、柴田英典弁護士(66期)、小林裕輔弁護士(61期)、北村導人弁護士(53期)、我妻由佳子弁護士(40期)、望月賢弁護士(71期)。後列左より、長谷川皓一弁護士(69期)、蓮輪真紀子弁護士(71期)、黒松昂蔵弁護士(63期)。PwC弁護士法人の弁護士数は、全20名

前列左より、柴田英典弁護士(66期)、小林裕輔弁護士(61期)、北村導人弁護士(53期)、我妻由佳子弁護士(40期)、望月賢弁護士(71期)。後列左より、長谷川皓一弁護士(69期)、蓮輪真紀子弁護士(71期)、黒松昂蔵弁護士(63期)。PwC弁護士法人の弁護士数は、全20名

STYLE OF WORK

#156

PwC弁護士法人

国内外の法的知見を結集し複合的な経営課題を解きほぐす

リーガルコンサルタントとして経営課題に挑む

会計監査、コンサルティング、法務、税務など世界156カ国にまたがるPwCグローバルネットワークのメンバーファーム、PwC弁護士法人。設立は2014年と、比較的新しい組織だ。弁護士法人として独立性を保ち、グループの各組織と協働して企業法務・M&A、金融、税務分野など幅広い分野で法務サービスを提供する。

「法律専門家およびリーガルコンサルタントとして、クライアントが真に抱える課題に向き合い、解決に全力を注ぐことにより、継続的・発展的に信頼と価値を創造し、ひいては社会の発展に貢献する――これが私たちのビジョンです。

法律専門家としての知見のみならず、多様なプロフェッショナルとの連携およびグローバルネットワークを駆使して、既存および新たな領域の総合的なリーガルサービスを提供していきます」と語る、パートナー代表の北村導人弁護士。“リーガルコンサルタント”について北村弁護士は、こう説明する。

「PwC弁護士法人では法的課題が顕在化してから依頼を受けるのではなく、もっと柔らかい段階、つまりクライアントが抱える複合的な経営課題を解きほぐすことからかかわります。例えばESGやサステナビリティに関する課題には環境・社会・ガバナンスの観点に加え、ビジネス上の課題や炭素税・法規制など税務・法務上の課題もあるため、クライアントがそれらを自身で切り分けることは難しい。そこでクライアントの課題を発見し、それを明確化したうえで、その解決に必要なアプローチをコンサルタント、ディールアドバイザリー、税理士などグループ内の多様な専門家と一緒に見出し、解決の支援をしていく。これが“リーガルコンサルタント”の仕事です」

その魅力は、経営課題を把握し、意思決定権を持つ経営層に直接リーチできること。柴田英典弁護士に、その醍醐味をうかがった。

「一例ですが、私はブロックチェーンを活用したデジタルアセットに関する法的課題にも取り組んでおり、コンサルタントとの共同調査案件などを通じて、先端的知識を習得しています。また、PwC税理士法人向けのNFTに関する法律の勉強会がきっかけとなって、税理士から『NFT分野の潜在的クライアントとの会議に一緒に出てほしい』と声をかけてもらい、結果、法務・税務の双方の領域で新規サービスの提案ができました。このように、グループ内の各専門家と知識や経験を共有し、弁護士だけでは提供できない付加価値をクライアントに届けられることが大きなやりがいです。年次を問わず自分自身をアピールできる機会があること、また潜在的クライアントへのアクセスチャネルが複数あることも非常に魅力的です」

PwC弁護士法人
PwC Japanグループメンバーのための交流スペース「X-LoS Café(クロスロスカフェ)」。カジュアルな場からも日々、ビジネスコラボレーションが生まれる

アソシエイトも事務所運営に参加

柴田弁護士の例のように、「新規分野やビジネスチャンスを自ら探索していこう。そこにアンテナを張っていこう」という意識が若手弁護士の中にもある。クライアントの潜在的な課題発見のためには、常に複数のアンテナを張る必要がある。そうでなければ、切り分けられた法的課題しか拾えず、法律事務所の典型的なビジネスモデルから脱却することは難しい。しかしながら、そのようなマインドセットをどう醸成しているのか。

「例えば、毎月末に法改正などのホット・トピックや世界各国のハード・ローおよびソフト・ローに関する専門的知見、およびESG・サステナビリティ関連法務のナレッジなどをニュースレターで発信していますが、そこに若手弁護士の積極的な提案を取り入れるということも一つの方法です」と北村弁護士。

蓮輪真紀子弁護士はニュースレター発信について次のように語る。

「パートナーから指示されるわけではありません。『私はこの分野に関心があるので書いてみたい』と自ら提案し、対外的に発信する機会を得ることができます。また、関心を持った分野で、すでに動き出している弁護士がいる場合、手を挙げて意思表示をすれば、すぐにチームの一員として受け入れてもらえるうえ、マーケティングの段階から実際の案件対応まで任せてもらえます。積極性がきちんと受け入れられ、かつ自分自身のキャリアアップにつながる機会が得られる素晴らしい風土だと思います」

事務所では、アソシエイト一人ひとりにコーチと呼ばれるパートナーが付き、随時キャリアの相談に乗る。加えて、北村弁護士と3カ月に一度面談し、希望分野・関心のある分野などを話し合う。その情報をパートナー間で共有し、機会を提供するという流れだ。

「ビジョンの共有と、ビジョンに紐づくカルチャーの醸成は今後もしっかりやっていきたい。そのために、頻繁にパートナー間でディスカッションを行っています。また、『オール・ローヤーズ・ミーティング』という全弁護士による会議を半期に一度開催。事前に『5年後どんな事務所にしたいか』『この事務所の強みは』『どんな貢献をしていきたいか』『取り組むべき課題は』など、全員からアンケートを取り、そこから見えた課題をもとにスモールグループに分かれてディスカッションします。パートナーはもちろん、将来、この事務所を担っていくアソシエイトにも、改善策や解決策を考える機会を提供する。ミーティングで挙がった案で、今からできることはすぐにやる。『あなたたちの5年後、10年後のためにとことん話そう』という姿勢で、会議を開催しています」(北村弁護士)

このようにアソシエイトも事務所運営に参加できることが特徴。若手弁護士の要望も踏まえた新たな留学制度を施行予定で、より精緻な人事評価制度の導入にも取り組みはじめたところだ。

「ほかにも整備していきたい制度が多々あり、メンバーの声を聞きながら優先順位をつけて徐々に整えていきます。また、グループ内には様々な研修や人材開発制度が用意されています。蓮輪弁護士が参加したPwC Japanグループの各法人の、同世代間の交流を深めることのできる『若手女性リーダー育成プログラム』もその一つです。各法人はあくまでも独立しており、当事務所は、PwCのすべての人事制度や人材開発制度に則っているわけではありませんが、今後も必要と思うプログラムを活用しながら、独自の環境・制度整備を進めていく計画です」(北村弁護士)

PwC弁護士法人
PwCグローバルネットワークには、約100カ国に3700名強の弁護士が所属。海外の弁護士との交流機会もある

新興勢力らしさや独自性を追求していく

同事務所の注力分野は、クライアントの課題を見極めつつ、変容している。現在は、ESG・サステナビリティ関連法務、リストラクチャリング、ウェルスマネジメントなどである。

「ESGに関しては、EUを筆頭にサーキュラーエコノミーの推進が叫ばれていますが、日本企業としても循環型経済のビジネスモデルをつくらなければグローバル競争に勝てないということで、コンサルタントにご相談いただく機会が増えました。その際に私たちも環境関連規制の観点から、EU、米国、中国などの規制を確認し、法的アドバイスを行います。コンサルティング・弁護士法人・税理士法人などがスクラムを組んで、新たなビジネスモデル構築に関するアドバイスができることが醍醐味であり、大きな強みになっています。私たちは、いわば新興勢力。だからこそ伝統的な法律事務所や大手法律事務所とは異なる道を歩んでいかねばなりません」と、北村弁護士。

「PwC弁護士法人が目指すのは、複合的な課題解決に重きを置いた“リーガルコンサルティングファーム”。国内外で、コンサルティング要素が求められる業務に強い事務所として認知されるようになっていきたい。そのためには、クライアントの課題解決に全力を注ぐことで信頼と価値創造を継続的かつ発展的に積み重ねていくことが非常に大切です。これからも一人ひとりの弁護士の個性を尊重しつつ、自由闊達に仕事に打ち込める環境を整えていきたいですし、5年後には約2倍の規模にしたいと考えています。こうした“これから”の事務所で活躍したいと思う弁護士と、この事務所を発展させていきたいと思います」(北村弁護士)

※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。

Editor's Focus!

先進テクノロジーによる多様な働き方を推進するPwC弁護士法人。働く場所も時間も、各人のライフスタイルに合わせて選択できる(写真左は、茂木 諭弁護士(53期))

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