Vol.83
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弁護士数は、大阪と東京を合わせて約50名。パートナー21名、アソシエイト18名、ほかに客員弁護士6名が参画する

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STYLE OF WORK

#167

弁護士法人 三宅法律事務所 大阪事務所

「依頼者利益の最大化」を第一義とし、2拠点体制のシナジーを永続的に生み出す

伝統を引き継ぎ次世代につなぐ

弁護士法人三宅法律事務所は、三宅一夫弁護士が1938年に大阪で設立した事務所を前身とする。かつては大阪の“御三家”とも称された、歴史と伝統を誇る法律事務所の一つで、企業法務を中心に、保険法務、銀行・信託などの金融法務、コンプライアンス・リスクマネジメント、事業再生・倒産手続関連法務、知的財産法務、労働法務、租税・行政法務、独占禁止法・表示規制法務、渉外法務などを取り扱う。創業から85年、代々引き継がれてきた顧客との関係性を維持していくことは、並大抵のことではない。加えて設立時より、完全収支共同型を採用。弁護士法人制度が施行される遥か以前から“組織の一体性”も重視してきた。

「この歴史ある“プラットフォーム”を大切にしながら、新規の業務分野に積極的に取り組んでいきたい」と語るのは、事務所の代表を務める磯田光男弁護士。

「組織の一体性を重視していますが、やはり弁護士は個々に独立したプロフェッショナルだと考えます。ですから、その自立力とそれぞれの得意を集結させることにより、シナジーを生み出せる事務所、新たな分野を切り拓ける事務所であり続けたい。その実現の源泉は、個々のスキルアップに尽きると思っています」

挑戦したい仕事に自由に取り組める

個々のスキルアップのため、その機会の提供を惜しまないことが同事務所の特徴だ。例えば竹田千穂弁護士は非常勤裁判官(民事調停官)として任期中の4年間、週に1回、裁判所で勤務した経験がある。

「当事務所には私のほかにも民事調停官を経験して、弁護士任官で名古屋高裁の裁判官になった女性弁護士がいます。先に民事調停官を務めた彼女に話を聞き、挑戦してみたいと思って願い出ました。結果、私は弁護士を続けるという選択をして、弁護士業務に戻りました。弁護士17年目での経験だったので、“キャリアステップ”を考えるという点では時期的に遅かったのですが、それでも民事調停官の経験は間違いなく、弁護士としてのスキルアップにつながっています」

そして現在、竹田弁護士は複数の社外役員も務めている。磯田弁護士は、「弁護士約50名の規模だからできること。大規模事務所では利益相反といった点からも、社外役員を引き受けるのは難易度が高いところもあるでしょう。しかし、当事務所の規模であれば、調整が可能。むしろ『社外役員として様々な経験を積んできてください』と、本人の意欲を尊重しています」と語る。

一方、入所8年目となるアソシエイトの平山照弁護士は、現在2度目の出向業務中だ。

「1度目は、当事務所の顧問先の大手メーカー法務部で2年ほど、パートタイムのかたちで出向経験をさせてもらいました。2度目となる今は、金融系のスタートアップ企業に、フルタイムで出向させてもらっています。このスタートアップ企業は、事務所のつながりではなく、知人の紹介を受けて、自分で開拓してきたものです。フィンテック関連の法務に強くなって、事務所にその知見を持ち帰りたいと考えています」

こうしたアソシエイトの教育方針について、猿木秀和弁護士は次のように語る。

「私は日頃の案件処理において、協働する若手弁護士に対しては、指示を与えるのではなく、裁量を持たせて自分で考え、判断できる場面を増やすよう心がけています。そのために、訴訟案件なら一からかかわれるよう、新しい案件を新人に割り当てる。顧問先対応も、窓口対応を任せるようにしています。また当事務所のアソシエイトは全員、国選の刑事事件や民事法律扶助(法テラス)など、何らかのプロボノ活動・個人事件を取り扱っています。事務所事件では必ずパートナーがつきますが、プロボノ活動や個人事件は自分で考え、自分で回すことになるので、各自の成長にとって大きな意味がある。ですから、事務所事件の処理を第一に、できる範囲でプロボノ活動・個人事件も後押ししているのです」

ちなみに同事務所では留学も支援する。60期代以降の弁護士を中心に、複数名がアメリカ、中国、オーストラリアに留学している。

「勉強も大切ですが、仕事に直結しなくても、留学先で人脈を広げ、人としての幅を広げてくることはもっと大切。ですから行きたいと手を挙げた弁護士は、なるべく応援しています。アソシエイト時代は、たくさんの選択肢を持てる時期。留学や出向を含めて世の中の事象にアンテナを張り、自らが進む道を、自ら選んでいく訓練を重ねてほしい」(磯田弁護士)

弁護士法人 三宅法律事務所 大阪事務所
「積極性、責任感、コミュニケーション力を備え、何事にも主体的に取り組む意欲がある弁護士と働きたいですね」(福田泰親弁護士)

2拠点体制の強化を図る

同事務所は、大阪と東京の2拠点体制を敷く。大阪の顧客層は、大手企業から中堅中小企業、個人事業主まで幅広い。業務分野も前述の企業法務などに加えて、相続・遺言関連などの家事事件にも比較的多く対応している。大阪の場合は、所内弁護士を2つのグループに分けているが、案件の規模や内容により、グループを横断して合同チームを組成することも多い。専門性の異なるパートナーと組むことで、多様な経験を積むことができるわけだ。

「近年は労働問題、なかでもハラスメントに関する相談や不祥事対応が増えている」と、猿木弁護士。そうした労働関連や不正調査、事業承継に伴うM&Aなど、案件によって2拠点共同で進めるケースもあり、アソシエイトは多様な顧客・業務分野で、拠点の垣根も越えて、パートナーと協働しながら、徐々に自分の得意分野を見つけていく。なお、所内勉強会についても、オンラインを活用して、2拠点合同で行うことが多いそうだ。磯田弁護士は言う。

「当事務所の理念は、1つ目が法の理念の重視、2つ目が依頼者とのパートナーシップ、3つ目が専門的解決能力・創造力の重視です。先人が打ち立てた理念を我々なりに解釈すれば、依頼者に親身に寄り添いつつ、長期的な視点で事業継続・発展を見据え、真に必要な課題解決方法や最適解を全員で議論を重ねて提案する――目先の事件処理に没入したり、依頼者におもねることなく、『本当にこの解決でいいか』『依頼者利益の最大化になるか』を自分自身に問いながら、仕事に向き合っていくことと理解しています。所属弁護士全員が、この理念をベースに、各自の専門性を持って、組織力につなげてくれることを期待しています」

最後に、事務所運営に関する今後の課題をうかがった。

「私や期が上のパートナー世代は、大阪と東京の人事交流を頻繁に行っていました。2拠点の顧客・市場環境、所属弁護士の特性などについて双方がよく理解し、それぞれのよさを生かしながら事務所を機能させてきたと、現在を評価しています。通常、複数の拠点を持つと“遠心力”が働きがちですが、我々は“求心力”を大切にしてきました。この先も同様の相乗効果を上げ続けるために、それぞれが“タコつぼ状態”にならず、“両輪体制”を進化させていくこと。それが目下の課題と考えています」(磯田弁護士)

※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。

  • 弁護士法人 三宅法律事務所 大阪事務所
    大阪と東京は、原則独立して採用活動を実施。拠点間の人事交流もあるので、本人が希望すれば双方の事務所で経験を積める
  • 弁護士法人 三宅法律事務所 大阪事務所
    2拠点の弁護士は、業務以外でも頻繁に交流がある。写真は、新型コロナ禍前の所内旅行で鎌倉へ出かけた時の一枚

Editor's Focus!

大会議室の壁に掲げられるのは、1969年から同事務所に参画し、のちに相談役を務め、後進育成に尽力した入江正信弁護士による揮毫の額。漢籍や仏教の用語でもある「洗心」は、偏見やこだわりなどによる“とらわれ”を洗い流すこと。仕事に向き合う姿勢を教えてくれるかのようだ

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