Vol.86
HOME事務所探訪梅田セントラル法律事務所
  • ▼弁護士のブランディング支援サービス

    Business Lawyer's Marketing Service
  • ▼弁護士向け求人検索サービス

    想いを仕事にかえていく 弁護士転職.JP
  • ▼弁護士のキャリア形成支援サービス

    弁護士キャリアコンシェルジュ
  • 当社サービス・ビジネス全般に関するお問い合わせ

前列左から、舟木一弘弁護士(60期)、牧 隆之弁護士(58期)。後列左から、石橋駿一弁護士(70期)、中島央貴弁護士(68期)、朝日俊雅弁護士(68期)

前列左から、舟木一弘弁護士(60期)、牧 隆之弁護士(58期)。後列左から、石橋駿一弁護士(70期)、中島央貴弁護士(68期)、朝日俊雅弁護士(68期)

STYLE OF WORK

#176

梅田セントラル法律事務所

人と人とのつながりを起点とし、常に顧客利益の最大化を目指す

ご縁をつないで顧客を拡大

梅田セントラル法律事務所は2013年設立で、企業法務を軸に、離婚、相続、不動産などの一般民事事件も幅広く取り扱う。現在の創業メンバーは、牧隆之弁護士と舟木一弘弁護士。舟木弁護士に、事務所設立の背景をうかがった。

「牧弁護士は前勤務先の“兄弁”で、気の合う先輩。私自身が独立する際、先に独立していた牧弁護士らにお声がけして、一緒にこの事務所を設立しました。私は“弁護士競争時代”の入り口世代といわれる60期です。独立するなら、 優秀な弁護士と顧客が集まる事務所をつくりたかった。直截に言えば、集客力があり、顧客となってくれた方が誰かに紹介したくなり、顧客が増えても完璧に対応できる事務所をつくるということ。それができなければ、これからの時代、生き残れないと思っていました」

実は、設立時の舟木弁護士の顧問先は、前勤務先時代にご縁のあった1社だけだった。ところが現在、同事務所が抱える顧問先は100社を超えている。それらは、紹介でつながっていったものだ。

「設立当初はとにかく事務所の外に出て、食事会や異業種交流会、士業の集まりなどに積極的に参加。多くの人と出会い、人の輪を広げていきました。やがて信頼関係ができて友人となった相手が、『困ったことがある』と相談してくれた時に、初めて弁護士の顔を見せる――といった具合です。仕事以外でも、友人が心底困ったり悩んだりしている時に助けとなる存在でありたいですし、法律的に解決できることなら弁護士として手を尽くす。そんなふうに仕事とプライベートの区別なく行動してきた結果、友人が友人を紹介してくれるなどして、クライアントや顧問先が増えていきました」(舟木弁護士)

この営業スタイルは舟木・牧両弁護士が構築し、今では事務所全体に浸透している。23年1月にパートナーになった中島央貴弁護士は「顧問先との打ち合わせや、仕事以外の話で盛り上がる様子を見てきたので、私も確実に影響を受けています。また、『どうしたら顧客を増やせるか』といった営業手法について率直に両弁護士に尋ねますし、お二人も丁寧に指導してくれます。この事務所にいるおかげで、“自分の顧客を自らの力で増やしていく”経営者感覚が養えていると思います」と語る。

企業法務全般を取扱分野とし、一般民事、家事事件も取り扱う。「昔は専門性のない弁護士は弱いと言われたが、今は幅広いニーズへの対応力が求められる。時代に合った顧客対応・サービスを提供したい」(牧・舟木・中島弁護士)

経営者の参謀としてあらゆる事案に対応

こうした背景ゆえに、顧問先の業種や規模、相談内容は多種多様だ。比較的多いのは中堅どころの不動産やIT系企業だが、特定の業種や取扱分野に限らないため、弁護士としての守備範囲は自然と広くなる。守備範囲の広さを示す例を、牧弁護士が教えてくれた。

「デッドコピーを扱ったとして不正競争防止法違反で複数の会社が訴訟提起された事件があり、うち1社から訴訟対応の依頼を受けました。当時、知的財産関連の訴訟の経験は少なかったものの、関係者の協力を得ながら、多数の写真や映像を入手するなどして『デッドコピーではない』と主張できる証拠を集めるなど、徹底的に調査を行いました。結果、請求棄却の判決を勝ち取りました」

労務関係の案件も多いという。

「始業時刻前のタイムカードの打刻時刻をもって労働時間と認定できるかが争われた訴訟で被告会社側の代理人として対応し、タイムカードの打刻時間には指揮命令下に置かれていたとは認められないとして請求棄却の判決を得ています。顧問先の作業場に足を運び、タイムカード打刻機の設置場所、作業場所、休憩場所などを描き込んだ詳細な図面を作成し、裁判に勝つための証拠を収集しました」

分野を問わず、挑戦していくことが同事務所の特徴。「できないこと・経験がないことは、必要な知識を外から借りるなどしてでも、粘り強く最善の結果を目指す。弁護士全員が“顧問先を死ぬ気で守る”という気概で挑むことが我々のモットーです」と、舟木弁護士。同弁護士は続けて、顧問先とのかかわり方を教えてくれた。

「顧問先が問題社員とのトラブルに遭遇し、難しい対応を迫られた際、社長に代わって当該社員と交渉しました。労務紛争は、最初の対応を間違えると使用者側の勝算が低いので、会社のリスクを最小化し、紛争を未然に防ぐ必要がある。ゆえにアドバイスだけでなく、私自身が本人の話を聞くわけです。弁護士が前に出ることは従業員の心情を逆なでするリスクがありますし、膨大な時間と労力を要します。しかし、それで社長の悩みやストレスが早く解消され、トラブルが避けられるなら本望です」

実際、過去に舟木弁護士が担当した同様の案件は、すべて紛争に発展せずスムーズに解決。経営者からは「そこまでやってくれるのか」と喜ばれているという。

「大阪という土地柄、中小企業が多く、独立した法務組織を持つ顧問先は少ないため“相談者が社長”というケースがかなりあります。ですから我々は社長のパートナーとして、法務はもちろん経営面での相談に乗ることも多いです。弁護士の仕事の多くは“ディフェンス型”ですが、利益をどう生み出していくかなど経営に直結する“オフェンス型”のアドバイスをする機会も多々あり、そこにやりがいを感じています」(舟木弁護士)

  • 「非常に風通しが良く、気軽に相談できる環境」と、中島弁護士
  • 「若い世代が見えていること、感じていること、意見などを、我々はもっと知りたいと思っています。逆に、我々の世代が提供できる弁護士としての知見や営業方法は、どんどん共有しています。年齢や修習期に関係なく、チームとして活発に議論できる風土を維持し続けたいですね」(牧・舟木両弁護士)

一歩先を見て、変化をいとわず進む

事件処理ではパートナーが伴走するが、同時に、個人案件(顧客)を増やすこと、事件全体を一人で処理する力をつけることを勧める。

「事件処理だけでなく、受任のポイントやクロージングで気をつけること、顧客との交渉の仕方・話し方なども指導してもらえます。事件全体を任せてもらえるチャンスもあるので、ほかの同期よりも早く弁護士業務の基礎が身につくと思います」(中島弁護士)

牧弁護士は言う。

「舟木弁護士は、『我々は“アベンジャーズ”のような存在でありたい』と言います。固有のスキル・個性を有し、一人で戦っても勝てる、強い弁護士が集ったチームでありたいということです。事務所は、全員が次の戦いに挑むために必要な知見を蓄え、結束力を強化するためのプラットフォームという位置づけです」

牧弁護士は「プラットフォームは柔軟であるべき」と続ける。

「私は弁護士になる前は、大手通信会社で営業職をしていました。その頃から、情報通信技術の革命により世の中や社会の仕組みが大きく変化することを確信していました。この数年の不確実性を社会が受け止めてきたのと同様、我々も従来の法律事務所の当たり前にとらわれず、弁護士の働き方や仕事について、変えるべき部分はどんどん変えられる組織でありたい。もっとも、裁判の仕組みなど、当面変わらないものもある。その変わらない部分にしっかり対応できる“強い力(弁護士のスキル)”も蓄えたい。変えていこうとする意識と、変わらないものに対応する強さの両輪で走っていきたい」

最後に、事務所をどのように発展させていきたいかうかがった。

「まだ司法修習生だった中島弁護士に、『10年後の弁護士業界はどうなっているか?』と尋ねました。彼は知的財産法に注力していて、『これからは新たなタイプのクリエイターが登場する。ゼロから1を生み出す個人をサポートしていく機会が増えると思う』と答えました。その後、インターネット上の動画共有サービスなどで、個人が自分の得意を発信し、ビジネスにつながるケースが一気に増えました。国も副業・兼業を促進していますし、これからも個人事業主が増えていくのではないでしょうか。“個人が旗を振って生きていく時代”に、彼らの権利を守る最後の砦となり、必要とされるのが弁護士だと思っています。中島弁護士のように、我々全員が時代の一歩先を読み、誰よりも早く新しい市場にリーチしてノウハウを蓄積し、潜在的な顧客を掘り起こす――そうして、多くの顧客に役立つサービスを開発・提供していく。そして、これからも変わらず、新たな分野の依頼についても、弁護士の役割を全うしていきたいと思います」(牧弁護士)

Editor's Focus!

梅田セントラル法律事務所は、その名のとおり、JR大阪駅の目の前、ビジネス街の中心部のビルに入居。契約書関連、法律相談、戦略・予防法務など、顧問先の企業法務案件を中心に取り扱う。顧問先の業種は多様だが、近年は最先端のIT法務、インターネット上でビジネスを行う事業主の対応なども増えている