Vol.95
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右から、佐橋文平弁護士(67期)、淵邊善彦弁護士、栗山明久弁護士(72期)、パラリーガルの齊藤早江子氏

右から、佐橋文平弁護士(67期)、淵邊善彦弁護士、栗山明久弁護士(72期)、パラリーガルの齊藤早江子氏

STYLE OF WORK

#199

ベンチャーラボ法律事務所

未来の日本を支える企業とともに、“可能性の最大化”を法的に支援

企業の成長を〝現場〟で実感する

企業を取り巻くビジネス環境は、資金調達手法の多様化、データ・AIをめぐる法制度の整備、海外企業・投資家との取引増加などにより、日々複雑さを増している。こうしたなか、2019年に設立されたベンチャーラボ法律事務所は、ベンチャー・スタートアップ企業や中小・地方企業を中心に、ビジネスモデル構築や資本戦略、知財戦略、M&A、ガバナンス、上場支援・出口戦略などの法的支援を行う。代表弁護士を務めるのは、西村あさひ法律事務所やTMI総合法律事務所で、約30年にわたり、M&A・アライアンス(事業提携)、国際取引、知的財産戦略などに携わってきた淵邊善彦弁護士である。淵邊弁護士に、事務所立ち上げの背景を聞いた。

「私は若手経営者の知人が多く、前事務所にいた頃から、よく彼らの相談に乗っていました。ただ、ベンチャー企業のフェーズやリソースを踏まえると、大手法律事務所の案件として正式に受任するのは難しかった。加えて、東京大学大学院で教鞭を執ったことがキャリアの一区切りとなり、『マネジメントに携わるのではなく、“現場”で仕事を続けたい。これから伸びていくベンチャー企業と、若い経営者のサポートに注力していきたい』と考えて設立しました」

「大手法律事務所での業務は専門性が高く、やりがいがあった」と、淵邊弁護士。「ただ、私はどちらかといえば経営者と直接向き合って、本音で議論できる関係を築きながらビジネスを俯瞰してサポートしていく仕事が好きでした。自分たちのアドバイスがすぐに事業に反映され、企業とともに私たち自身も成長を実感できる――それが、ベンチャー支援の醍醐味です」

弁護士の枠にとらわれず、幅広いネットワークを駆使し、クライアントの“経営戦略、法務戦略、財務戦略”を総合的にサポートする。2024年にはアリシア銀座法律事務所と提携し、経営者個人が抱える諸問題への対応力も強化

求められるのは、スピードと柔軟性

クライアントへの基本的なアプローチは、「まずは、ビジネスモデルのリーガルチェックです」と、淵邊弁護士は語る。

「例えば、個人情報保護法や資金決済法、知的財産権関連法などの観点から問題がないかを確認するなど、ビジネスモデルの構想段階で適用法令や規制との関連・リスクを丁寧に検討します。ベンチャー企業は、既存の法制度が想定していないニッチな領域――いわゆるグレーゾーンに挑むことが多いため、あらゆる側面から法的課題を洗い出し、より強いビジネスモデルを構築できるようサポートします。さらに事業が成長すれば、資金調達、VCや大企業との契約交渉、経営者間の紛争、労務対応など、様々な課題が生じます。そうした局面も含め、企業の成長フェーズ全体に伴走しながら支援を続けることが、私たちの役割です」

同事務所では、IT・AI関連の開発・サービスを提供する企業や、これと他分野を掛け合わせた新規ビジネスを推進する企業を数多く支援している。

「例えば、飲食店向けにモバイルオーダー、POS系サービス、キャッシュレス決済などのソリューションを提供する企業を、事業立ち上げ当初からサポートしています。ここは、同社設立から6年後の24年、海外VCを中心に70億円超の資金調達を実施するまでに成長しました。また、自動車部品メーカーの技術者が、自社工場のIT化で培ったノウハウを生かして、保育園児の見守りシステムを開発。この“保育DXベンチャー”で、自動車部品メーカーからのスピンオフとして立ち上がった企業についても、当事務所設立当初から支援しています」

ほかにも、測量会社の計測技術を応用し、スポーツ選手の動きや心拍数、コンディションなどをデータ化して、トレーニングや健康管理に活用する大手企業発のベンチャーなどもクライアントだ。「技術やデータの応用によって新たな社会的価値を生み出し、社会課題を解決するクライアントをサポートできることに、わくわくしますし、今の仕事が心から楽しいのです」と、淵邊弁護士は笑顔を見せる。

こうした企業を支援する際、“スピードと柔軟性”が重要となる。「経営者にご相談いただいた際は、その場である程度の方向性を示すことを心がけています。なおかつ、グレーな領域であっても“NО”とは言わず、必ず代替案を提示します。ですからベンチャー・スタートアップ支援の場合は、特定の法分野の知識よりも、“広い視野(浅くてもよいので幅広い知識)”を持ち、“ビジネスがわかる弁護士”が適していると思っています」

専門的知見や踏み込んだアドバイスが必要な場合は、所内外の弁護士仲間や、事務所と連携する経営コンサルタント、税理士や弁理士などの“知恵と手”も借りる。「ベンチャー・スタートアップや中小企業が、わくわくする未来を描き、その未来に向かってビジネスをつくり上げていく挑戦を、質の高いリーガルサービスの提供によって応援していきたい。そのために、弁護士だけでなく多様なスペシャリストが集まって、どうしたら企業が成長できるかを考え、みんなで挑戦していく――そうやって、かかわる人たち全員が切磋琢磨するトライアルの場(ラボラトリー)になっていきたいという思いを事務所名に込めています」

  • 企業法務部出身の佐橋弁護士はIT・DX関連に、栗山弁護士は学校法人や公益法人の法律問題に強みを持つ。事務所の魅力の一つ“自由度の高さ”は、仕事の進め方だけでなく、働き方も含む。自身の裁量で業務を調整でき、個人案件の受任も自由。勤務時間も、基本的に各自で調整しているそうだ

〝可能性の最大化〟を支援するハブとなる

設立当初はベンチャー・スタートアップ経営者からの紹介案件が多かったが、近年は、大手企業による新規事業の立ち上げやスタートアップとの協業・アライアンスに関する相談、VCからの依頼も増えている。淵邊弁護士の指導を受ける佐橋文平弁護士と栗山明久弁護士は、「ベンチャーに限らず、大手企業や特殊法人など多様な案件に携われることと、様々な事業にかかわり、視野を広げながら実務を積めることが、本当にありがたい」と語る。また、「特に勉強になるのは、淵邊弁護士の対応や判断の速さ」と、両弁護士は話す。

「私たち若手は“細部”に目が行きがちですが、淵邊弁護士はクライアント対応でも事案整理でも、大観しながら本質を瞬時に見抜き、的確な方向性を示してくれます。そうした視野の広さや判断の速さは経験豊富な弁護士だからこそできることですし、その仕事を間近で学べるのは本当に刺激的です。案件も次々とスピード感をもって進んでいくので、常に充実していますし、クライアントもそのスピード感に満足されていると感じます」(佐橋弁護士・栗山弁護士)

一方で、「全体観を持った指摘や指導はされるものの、細部は裁量を与えて任せてくれる。“自由度の高い事務所”です」と、両弁護士。「クライアントに対してはもちろんですが、所内の信頼関係も重視しています。当事務所には、設立時から所属してくれているパラリーガルがいます。国内外の金融機関の第一線でビジネスを経験した人物で、金融やビジネスへの理解が深く、皆が頼りにしています。仲間うちでの信頼関係が強いから、各自の裁量に任せられるし、良い仕事ができると思っています。また、イラストレーターや漫画家でもある木村容子弁護士も所属していて、多様な才能が集まっています」(淵邊弁護士)

目指すのは、日本の全企業数の約99%を占める中小企業を含む、ベンチャー・スタートアップの最適なパートナーとなることだ。

「私は幼少期から高校生まで、広島、愛知、鹿児島を転々としながら育ちました。だからか、地方企業への思いも人一倍強い。日弁連の『中小企業の国際業務の法的支援に関するワーキンググループ』の座長やスタートアップ支援プロジェクトのメンターなどとして、全国で弁護士や地方企業を応援する研修やセミナーを開催するなかで、高い技術力や優れた農産物・工芸品を有しながらも、自社の可能性に気がついていない企業が多いことを実感しています」

例えば、歴史あるホテルの料理長が生成AIを活用し、過去の膨大な手書きのレシピを読み込んで新たなレシピを開発・発信しようとする例もある。AIなど最先端技術がかかわるビジネスは全国に無数にあり、そこから新たなベンチャーが生まれる可能性も高い。「私は、そうした地域発の挑戦や、未来の日本を支える企業の“可能性の最大化”をサポートし続けていきたい。そして、経営者と同じ視座で議論し、コミュニケーションを深めながら、ベンチャー・スタートアップのビジネスにわくわくできる仲間が、当事務所を起点に広がり、増えていくことを、心から願っています」

Editor's Focus!

淵邊弁護士は「一般社団法人鹿児島イノベーションベース」監事、「一般社団法人日本CLO協会」理事など様々な団体において啓蒙活動や人材育成に携わる。「経営者とつながり、情報交換できることが刺激的」と話す際の終始楽しそうな笑顔が印象的だった。写真は、事務所開設5周年のパーティの様子。多くの士業の仲間やクライアントが集まってくれた