Vol.63
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法務部の陣容は、法務部長を筆頭に、法務グループ5名、内部統制・情報セキュリティグループ6名の計12名(写真は法務グループのメンバー)

法務部の陣容は、法務部長を筆頭に、法務グループ5名、内部統制・情報セキュリティグループ6名の計12名(写真は法務グループのメンバー)

THE LEGAL DEPARTMENT

#84

さくらインターネット株式会社 管理本部 法務部 法務グループ

ITインフラ事業から派生する新規事業、経営案件にもプロアクティブにアプローチ

新規事業の推進に寄与する法務

大規模データセンターを保有し、日本のITインフラを牽引してきたといっても過言ではない、さくらインターネット。ITインフラだけでなく、各種インターネットサービスの開発提供も行い、研究、開発、営業、運用各部の密接な連携により、質の高いサービスをローコストで提供できることが強みだ。

さくらインターネット株式会社 管理本部 法務部 法務グループ

2017年8月に、法務機能強化のため、総務部門から法務部が独立した。法務部長の松本将司氏に、法務グループの業務内容を伺った。

「契約法務、法務相談、新規事業・M&Aといったプロジェクト対応、機関法務などが主な仕事です。当社は15年に東証一部上場し、事業領域を拡大しながら着実に成長を続けています。新規事業への取り組みも積極的に行っていて、17年4月から、IoTビジネスをインフラとして支える通信環境と、データ保存・処理システムを一体化させた『sakura.io』というサービスの提供を開始しました。当該サービスを提供する事業者として従前の業法対応(電気通信事業法)に加えて、PL法や景品表示法など、これまで当社事業では中心としてこなかった法令もカバーしています。今後も、新たな業法対応や法律領域への挑戦が続いていくでしょう」

このIoT事業の法務を一手に担った塚田麻美子氏が、仕事のやりがいを教えてくれた。

「苦労したのは、参考となる過去の事例がなかったこと、新規事業特有のスピード感を求められたこと。新たな機能やサービスができるたびに、約款や申込書面を一から作成しなくてはなりませんでした。しかし、多様な業法の知識を習得し、難易度の高い法務業務に携われたことに大きなやりがいを感じました。メンバーと協働しながら、新規事業のスタートに貢献できたことは得難い経験となりました」

同社では今後、海外進出やグループ経営を背景としたM&Aなどが加速する可能性が高い。そうした新たなプロジェクト成功に貢献するため、法務グループも助走を始めている。

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    勤務時間の10分単位でのスライドや、業務が終われば定時の30分前に帰宅できる、などの制度がある。
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    カフェや家などどこでも勤務可能で、働きやすい環境を社員各自で選べる。フレックス制度をよく利用する塚田氏は、「グループ内で私が一番活用しています」と笑う

堅実かつ果敢にチャレンジ

新規事業に積極的に挑戦する同社だが、一方で法務グループの性質を一言で表すなら、〝堅実〞だと塚田氏は言う。

「私も含めて、法務業務を志向する人は慎重派が多いのではないでしょうか。そんな私が安心感を持って挑戦できているのは、当社がインターネット・インフラを持ち、それを維持・管理しているという〝堅実〞な土台があるからだと感じます。IT事業というより、インフラ事業であるということです。私が担当するIoT事業は、先端領域ではありますが、そうした土台があるからこそ、果敢にチャレンジできるのだと思います」

挑戦する気風と堅実性――それをもって、法務のメンバーは日々どのように職務と向き合っているのだろうか。

「法律の専門知識はもちろん、社内アドバイザリーの機能を併せ持たなければこの仕事は務まりません。メンバー全員、法律とは関係ない相談でも、単なるアドバイスに留まらず、問題の核心に躊躇なく踏み込んでいます。相手が迷っている時は『やろうとしていることは何か、決まっていないことは何か、ゴールは何か』など論理的に整理し、リスクヘッジしながら、事業が円滑に進むようサポートしていきます」

最後に、プロアクティブな法務グループを率いる松本氏に未来の展望を語ってもらった。

「管理本部の中で一番先に〝現場の情報〞が届くのが法務部で、大切な最初のジャッジを下すのが我々の使命。社員からの信頼はもとより、経営側から『法務に任せる』と言わしめる存在感を増していきたいと思います」

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    東京オフィスには、休憩ができる「リフレッシュルーム」、一人で集中して作業したい時に使える「サイレントルーム」など、様々なスタイルのスペースが用意されている
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