アクセンチュア株式会社は、経営コンサルティング、テクノロジー・サービス、アウトソーシング・サービス(※1)の三つの分野を主軸に、世界50カ国、200都市以上に拠点を置き、事業を展開。1962年には日本へ進出し、国内最大規模を誇るコンサルティング・ファームとして事業を展開している。国際的な企業を多数クライアントに持つ同社の法務業務について、法務部長のアンジェラ・クランツ氏にお話を伺った。
「アクセンチュアの社内体制は、クライアントの業態別に『通信・ハイテク』『製造・流通』…(※2)など五つのグループに分かれ、それぞれの専門分野に特化したコンサルタントが企業の課題解決をサポートしています。法務部もこれに準じ、法規制や専門知識など業界に精通したメンバーがそれぞれのグループに対応。契約から案件遂行に際して発生するさまざまな法的支援にあたります。アクセンチュア法務部の特徴は、国を超えた連携が日常的に行われる点で、アクセンチュアグループに在籍する400名以上のリーガルプロフェッショナルが、それぞれ所属するグループ内で、各国の法規制やノウハウを共有し、クロスボーダーの案件に対応する体制を構築しています。例えば、日本の大規模案件や国際的な事案は、アジア太平洋エリアの同じグループと協力して案件処理にあたります。アクセンチュアでは、シニアエグゼクティブ、シニアマネージャー、マネージャー、スペシャリスト、アナリストと職制が分かれていますが、日本の法務部は、全員がスペシャリスト以上のメンバーです」
各分野の高い専門性やノウハウを持ったメンバーの中には、オーストラリアの弁護士資格を持つクランツ氏のほか、アメリカ・ニューヨーク州、カリフォルニア州の弁護士資格者がそれぞれ1名ずつ、そして国際的な大手法律事務所から出向している日本の弁護士資格者1名の計4名の弁護士も含まれるという。
また、専門性の高い案件を取り扱う同社においては、法務部の役割に対する社内認知も高いという。
「幸いなことにアクセンチュアでは、全社員が法務部の必要性を十分認識しており、リスクや懸案事項が発生する前から、案件に対して積極的に法務部の参加が求められます。法務部では新規プロジェクトが始動する際には必ず初期段階から参加し、法的アドバイスや契約サポートのほか、案件全体を把握し常にリスクコントロールが行き届くように配慮します。また現場との信頼感、スピード感を崩さないよう、専任の担当者が相談に対応しています。アクセンチュアは日本進出以降、いずれの事業分野においても着実に成長を遂げ、それに伴って案件数も増加、複雑化してきています。今年の年初から、新たに2名をマネージャーとして迎え、組織強化にも取り組んでいます」