Vol.14
HOME法務最前線ドイツ証券株式会社 法務部
  • ご意見・ご感想はこちら
  • 無料 転職支援サービスに今すぐ申し込む
  • 無料メンバー登録 将来のために情報収集をスタート
  • 弁護士や法務の転職・求人情報なら弁護士転職.jp

コンプライアンス部長も務めたブレット・ダンドイ副社長(写真左から2人目)と談笑しながら撮影の場に集合した法務部メンバー

コンプライアンス部長も務めたブレット・ダンドイ副社長(写真左から2人目)と談笑しながら撮影の場に集合した法務部メンバー

THE LEGAL DEPARTMENT

#9

ドイツ証券株式会社 法務部

金融4法人を横断して行われるハイレベルな法務業務は、メンバーの高いスキルが支えている

グローバル金融グループの、日本4法人をサポートする法務

ドイツ銀行グループは1872年、日本にドイツ銀行初の海外拠点として進出し、現在ではドイツ銀行、ドイツ証券、ドイチェ・アセット・マネジメント、DB信託の4法人で幅広い金融サービスを提供している。中でも証券・投資銀行業務を担うドイツ証券が中核として機能し、法務業務も横断的に担当する。4法人の法務部長を務める木村友彦氏に、広範な業務への取り組みを取材した。

「ドイツ銀行グループでは、LRC(リーガル・リスク・キャピタル)というリスク管理部門(※1)のなかに法務部があります。全世界約800人の法務メンバーのうち、カウンセルと呼ばれる有資格者は500人以上。その比率の高さが一つの特徴です。ドイツ銀行全体の法務部の主要5拠点(※2)のなかでも日本の体制は小規模で、アシスタントを含めて総勢16人。うち海外を含めた有資格者は9名在籍しています。法務メンバーには、リスクマネージャーとして高度な法的知識とさまざまな角度からの的確な判断が求められるため、プロフェッショナルによる少数精鋭の集団を形成しています」

4法人を横断する幅広い業務で、メンバーは、それぞれどういう役割を果たすのだろうか。

「グループのビジネスでは、デリバティブや債券、株式取引を中心としたグローバル・マーケッツ業務が最も大きく、次に続くのが引き受けやM&Aアドバイザリーなどグローバル・バンキング業務です。法務部ではカウンセルの専門分野を考慮しながら、債券、株式、バンキングなど部門ごとに担当を決めており、そのほかデリバティブ・ドキュメンテーション担当2名、コーポレート・ガバナンス担当1名を配置し、適材適所で各自が能力を発揮しています。それでも4法人の膨大な業務をすべて処理するのは難しい。一部を法律事務所へアウトソースしますが、外部弁護士との連携、ハンドリングも私たちの大きなミッション。法律事務所の法的判断を踏まえた上で『ドイツ銀行グループのスタンダードに合っているか』『レピュテーションリスクは考慮されているか』など総合的に判断します。またマネジメント関係ポリシーの策定をはじめ、経営陣への働きかけも広い意味で法務部業務の一環。ビジネスの観点を踏まえた上で、経営陣などに実務的なリーガル・アドバイスを行うので、まさにビジネスパーソンとしての素養が問われる毎日です」

金融サービスは「人が宝」充実した教育制度を整備

前述の高度な業務を担うため、人材育成には特に注力しているという。

「LRCでは『ツーステップトレーニング』『リーダーシッププログラム』『LRCカレッジ』などの研修を用意し、新人レベルからディレクターにまで常にスキル向上の場を与えます。研修では法務にとどまらず、他部門の業務、会社の方向性、広義のリスク管理までを広範かつ段階的に学び、幅広い視野と見識を身に付けるのです。『人が宝』という視点は外にも向けられており、企業法務に必要なバランス感覚、英語力、金融の経験を持つ人材には絶えず門戸が開かれています。現在バンキング業務を中心に重要な責務を担う高畑弁護士も、こうした視点で外部から迎え入れた人材です」

はぐくんだ人材がうまく定着しているという法務部の「働きやすさ」とは?

「よい意味でローカライゼーションが進んでいることが大きなポイントでしょうか。外資系企業でありながら『日本のことはできるだけ日本に任せる』風土があり、本店や他拠点からのコントロールが適度。クロスボーダー案件の処理における判断も基本的には現地のメンバーに任されるなど、日本が本国の強力な管理下におかれる仕組みではありません。適切な権限委譲と責務を全うできる業務プロセスが魅力であり、大きなやりがいにつながっています。また法務の意見が尊重される社内風土もメンバーの士気を向上させています」

組織が向かう方向に、法務部長はどんな展望を持っているのだろうか。

「メンバー一人一人のスキル向上を図りながら、グローバルにおける日本の法務部のプレゼンスを上げることが目標。日本には独特な規制や法律があり、『わかりにくい国』と言われることがありますが、その多くは知られていないために起こる誤解。海外から見えにくい点を明確にし、こちらから積極的に情報発信をする必要性もグローバル企業の一員として実感しています。私は昨年、日本はもちろんアジア人としてただ一人、グローバル・エグゼクティブコミッティのメンバーに選ばれました。これを機に日本のメンバーがさらなる活躍をするための土壌を整備していきたいと考えています」

ドイツ証券株式会社 法務部
木村法務部長(左)と高畑正子弁護士(ディレクターアンドシニアカウンセル)。木村部長「高畑さんの的確なジャッジメントや交渉手腕に部全体が助けられています」高畑氏「ロンドンとフランクフルトに各1週間滞在する研修に参加して、法務部以外に目を向ける良い経験をしました」

高畑正子・法務部ディレクターアンドシニアカウンセル/弁護士(52期)

法律事務所のほかに、日本の銀行と外資系証券会社に勤務しました。インハウスカウンセルとして大切なことは、「ストラテジーとエグゼキューションのバランス」です。これは自分自身でも心がけていますが、たとえ立派な意見をもったとしても、キーパーソンを押さえて効果的に伝えることができなければ、プロジェクトは遂行できないということ。私は社内外で各種ネットワークに参加していますが、こうした交流が、どのような方がどこにいて、何に関心を持っているかを知る手掛かりとなり、日々の業務にも役立っています。

 

※1 LRC(ドイツ銀行グループのリスク管理部門)には、法務部をはじめコンプライアンス部、審査部、財務部などが属している
※2 ドイツ銀行法務部の主要な拠点は世界的に五つあり、フランクフルト・ロンドン・ニューヨーク・日本およびオーストラリア・シンガポール(日本およびオーストラリア以外のアジア地域をカバーする拠点)が置かれている