キャリアアップの〝縦糸〞がジョブローテーションならば、〝横糸〞は木下氏の発案・命名による「専門性向上プロジェクト」だ。
「例えば、事業ラインから『新興国に販路を開きたいが法律はどうなっているか』と聞かれて、『さっそく情報を収集して調べます』では、情けないでしょう。会社が事業を展開するうえで必要になりそうな課題について、法務部は組織として、要望に即応できる力を持っていなければいけない」
そうした考えを背景に3年ほど前からスタートしたプロジェクトでは、会社法、独禁法、倒産法、知財法、M&Aなどのテーマを設定し、5〜8名のグループに分かれて定期的な勉強会を継続して行っている。
「メンバーに求めるのは、まず与えられた課題に対してプロになること」。半年に1回程度、成果発表を行い、部内でその知見を共有する。
「倒産法関連を勉強したチームが、多種多様な倒産案件をまとめた事例集をつくったり、とてもいい成果が出ています。私自身、プロジェクトから教えられることが少なくありません。50人の法務部隊が〝分業〞で事業部門をサポートし、部内ローテーションで、部全体の力を高める。そして、会社のビジネスを知り、法的専門性を高める。この2つの軸をうまく回してかみ合わせていけば、相当な力を持った組織になれるはず。どこまで進化できるか楽しみです」