我が国最大手の建設コンサルタントとして、グローバルな事業展開を図る同社の法務・広報部は、総勢9名の体制だ。深作克弥部長は「私を除き、法務グループは5名。IRに携わる広報グループと同じ組織になっており、株主総会関連の仕事を協働するなど、お互い溝を感じることなく仕事をしています」と話す。実は「建設コンサルタント」といっても、従来、海外と日本ではその捉え方に大きな違いがあった。
「我々のクライアントは、政府機関や民間企業など、建設プロジェクトの実施主体です。欧米では、そうしたクライアントの代理人として建設業者との間に立ち、プロジェクトの川上から川下まで工事の品質をチェック、管理するというのがコンサルの仕事。他方日本では、官公庁が自らプロジェクトを立案し、設計、施工を外注するパターンがほとんどだったため、我々が関与するのは主として調査・設計に限られていたのです」
しかし、市場環境の変化などを背景に、「クライアントから我々に対するアウトソーシングの幅は広がっているし、今後さらに加速するでしょう。バックオフィスである法務も、さらなる機能強化が不可欠だと認識しています」と深作氏は言う。
「海外事業も含めて、これまではおしなべて、〝公共の世界〞なのだから法的リスクもそうは高くないだろう、といった考え方があったのは事実です。でも、新しいマーケットに出ていけば、当然、従来なかった課題が出てくるはず。事後対応だけでなく、例えばこうしたかたちのプロジェクトであれば、こんな考えをベースに約款を作成すべきだ、というメニューをあらかじめ用意するような機能も、ますます必要になってくるでしょう」