エンターテインメント界に確固たる地位を築く同社だが、「仕事を進めるうえで、業界ならではの〝お作法〞のようなもの」もあるそうだ。
「監督や出演者によっては、法的に正しいか否かとは別に、その都度意向をうかがったり、といった個別の対応が必要になることがあります。契約書には書かれない、独特の慣習もある。法務としてもそこをしっかり理解しながら、現場に対するように心がけています」
エンターテインメント企業の法務として最も神経を使うことの一つが、著作権など知的財産権の扱いだ。
「侵害行為の結果、作品が差し止めになったりしたら、目も当てられません。現場は、どうしても〝イケイケ、ゴーゴー〞になりがちなので(笑)、法務としては常に原則論に立ち返って、対応するようにしています」
全社的な問題意識の高揚に向けて、定期的に法務発のニュースなどをメール配信するほか、年に2回、室員が講師を務める社内セミナーを開催している。
講師をすることは、その人の成長にもつながる。「メンバーには、『ぜひこの人に相談したい』と頼られる存在になってほしい」と山内氏は話す。
「そのためには、法務の専門家である前に、現場を知るビジネスパーソンでなくてはいけない。契約書を読みながらビジネスを想像できるからこそ、『これが足りない』という的確なアドバイスも可能になるのです」
同時に、「室員全員に〝知的ミーハー〞になれ」とハッパをかけているそうだ。
「法律に凝り固まった頭でっかちではなく、何事にも興味を持って、視野を広げてもらいたいのです。それは、必ず仕事に生きてくるはず」
「扱う案件が、確実に増えている」こともあり、一緒に働ける仲間を増やしていきたい思いもあるそうだ。
「『ゼネラルに担当するので、いろんな体験ができる』『かかわった作品が劇場公開されるなどして、多くの人に見てもらえることに、やりがいを感じる』というのが、メンバーの〝職場評〞です。頭が柔軟で前向きな、できれば即戦力となる方に興味を持ってもらいたいですね」