Vol.54
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法務部は、法務課と知的財産課を有する。写真は法務課のメンバー

法務部は、法務課と知的財産課を有する。写真は法務課のメンバー

THE LEGAL DEPARTMENT

#68

楽天株式会社 法務部

ユニークかつ多彩なプロジェクトが続々。“自ら仕事を取りにいく”アクティブな法務であれ!

限界を定めず貪欲に。受け身では務まらない

「楽天市場」に代表されるインターネットサービス事業およびFinTech(金融事業)など、約70のサービスを提供している同社。2015年通期の売上収益は7000億円超。「インターネットで人はモノを買わない」といわれた90年代に創業した同社は、その黎明期から国内のEC市場をけん引してきた。現在、国内外に多くのグループ企業を持つ。法務部はガバナンス・リスク・コンプライアンス部と共にコンプライアンス・ディビジョンの構成部として、本社機能を担っている。西川夏子氏に法務部法務課の役割と気質を聞いた。

「我々法務課は、すべてのインターネットサービス事業と、楽天EdyなどFinTech領域の一部事業の法令遵守、および事業推進をサポートしています。現在、法務課は約15名。取引法務は全員で分担し、かつ各メンバーに担当事業領域をアサインしています。サービス規約のチェックはもちろん、新サービスの立ち上げやM&A、国際法務的な業務が生じた場合も、担当者が中心となって動きます。当社事業は多様で、関係する法律は、インターネット関連の法令はもちろん、資金決済、通信、食品、エンタメ、エネルギーなど多岐にわたります。事業ごとに、その事業に通じた担当者をアサインすることで、法的側面からの支援もスピードを緩めることなくできるようにしています。事業・サービスの数が多いため、一人あたりの業務量は相当なものですが、20〜30代が多いせいか、みな貪欲に取り組んでいます。『事業と一体になって役に立ちたい』と、現場へ仕事を取りにいくタイプが多いです」とはいえ、各々勝手に動くのではない。知識やノウハウの共有、業界動向などに関する情報交換は、まめに行う部内文化だ、と西川氏。

「月並みですが、上下関係なく意見が言い合える、極めて風通しのよい職場だと思います」

  • 執務スペースはデスク間の仕切りがなく、コミュニケーションがスムーズ。電動式の昇降デスクが採用されていて、車いす利用者はもちろん、各自の体格に合わせて自由に高さを調節して使用できる。高い位置にセットし、立った姿勢で作業や簡単なミーティングをすることもよくあるそうだ
  • 全社で最新のビデオ会議システムが導入されていて、自席や会議室で各国の社員とアイデアを交わし合える。写真は取材当日行われたシンガポールオフィスにいる法務メンバーとのビデオ会議。「海外のリーガルメンバーとのやりとりの機会は多く、気軽に会話できる関係です」(西川氏)

新事業・サービスの創造を共に楽しめる人材を求む

「新サービス立ち上げなどのプロジェクトは、常にユニークで多彩です。思わず頭を抱えてしまう相談もありますが、アイデアを実現するために事業と一緒に知恵を絞る毎日は、法務として飽きがくることはありません」と、西川氏。法務部創設時からのメンバーで、法務部長を務めている渡邊真氏は、それを体現してきた人物だ。渡邊氏は、同社のコアとなるサービスの立ち上げ、M&A、球団設立、JASDAQから東証一部への市場変更など、数多くのダイナミックなプロジェクトに関与してきた。渡邊氏が手がけてきたような仕事は、若手でも望めば得られる機会があると、西川氏は語る。

「日々、様々な規模で新規サービス・機能がリリースされています。それらの法務チェックは、〝ありえないスピード感〞で対応を求められることがほとんど(笑)。本音をいえば、スキームの検討から、提案にも時間をかけたい。だからこそうちのメンバーは先んじて、現場に〝仕事を取りにいく〞。日常業務をこなす一方、既存の法律が想定していない新ビジネスを事業部と共に考える――そんなクリエイティブな取り組みを楽しめる人なら、必ずやりがいある仕事ができる環境です」

さて、周知のとおり同社の社内公用語は英語だ。実際、業務でどれほど必要なのか。西川氏は「開発部門など外国籍社員が多い部門からの相談は英語になることがありますが、日本人からの相談には日本語で対応します。相手に伝えるための手段の一つに英語があるわけですが、うまく話せなければ書く、ほかのメンバーに助けてもらうなど、〝伝える方法〞を工夫する、その労力を惜しまない人なら、英語が流暢でなくても問題ありません」と言う。では、どんな人ならフィットするのか? 渡邊氏と西川氏は語る。

「シンプルですが、何事も前向きに楽しめる人。そして、高い母国語の力と論理的思考力を有すること。法務に求められるのは、事業部のニーズを理解し、法的な観点から多様な解決策を提案することなので、伝える力と納得してもらえる力が必要。そうした力を元に、事業部や経営をうなずかせるアイデアが次々出せるような方と一緒に働きたいですね」

  • 全世界のリーガルメンバーが一堂に会する、「グローバル リーガル カンファレンス」を年1回開催している。今年は、新社屋である楽天クリムゾンハウス(2015年8月に本社を現在の場所に移転)の披露を兼ねて、海外のメンバーが集結した。過去の開催地は、サンフランシスコやルクセンブルクなど
  • 楽天株式会社 法務部
    法務課メンバーの多くは20~30代。同世代で切磋琢磨する。忘年会や歓送迎会などで、親睦を深める機会も多いという。写真は、今年の花見の様子