豊田通商は、トヨタグループの総合商社である。自動車関連事業を主軸に成長してきたが、東南アジア貿易に強い輸入商社の加商、総合商社のトーメンを合併し、インフラ分野、化学品分野、食料分野などへ事業領域を拡大した。近年は、クロマグロの完全養殖や海外での病院運営といったユニークな事業領域への投資も行う。グループ企業約1000社、120カ国以上におよぶネットワークを有する同社の法的支援の統括的役割を担う法務部部長の近藤祐子氏に、体制や業務についてうかがった。
「法務部は、①名古屋本社法務部、②東京法務第一グループ、③東京法務第二グループ、④法務統括グループの4グループ構成です。担当事業ユニット(商品ごと)に分け、①が自動車生産関連事業を中心に本社事業に関する法務全般、②が海外法務を中心にエネルギー、インフラ・プロジェクト、自動車、アフリカ事業など、③が海外法務と国内法務半々で、化学品・エレクトロニクス、食料・生活産業など、④が予防法務のための施策構築や研修検討、人材育成などにあたっています」
メンバーの約半数が日本法、米国法、英国法の弁護士資格を持つ。
「商社、メーカー、金融などで企業法務を経験してきた人、法律事務所で渉外案件や企業法務、一般民事事件などを経験してきた人、企業の法務部と法律事務所の両方を経験してきた人など、前職にこだわらず採用してきたので、中途入社者のバックグラウンドは多種多様です。その理由は、当社が〝総合商社〞だから。商社の事業領域は多岐にわたるため、構成メンバーの多様なスキル・経験が、法務部の力に直結します」
同社の基本理念は、「人・社会・地球との共存共栄を図り、豊かな社会づくりに貢献する価値創造企業を目指す」だ。
「価値創造のためには、思考を固定化させない新しい視点が必要。そのために現在も多様なバックグラウンドをもつ人材を積極的に採用しています。メーカーや金融でのビジネスの考え方、法務の仕事の進め方、あるいは法律事務所の考え方など、持てる知識や経験をオープンにして共有し合うことで、各自が日々新たな発見や学びを得ることができ、組織力がますます強固になってきています」