社会環境が変化するなか、DX/ITなど新領域での事業立ち上げを含め、様々な”変革”を試み、事業を前進させている同社。「私たち法務に大切なのは、なによりも事業理解(ビジネス理解)です。事業部のメンバーと議論して意図をくみ取り、なおかつ法的に健全な状態でともにプロジェクトを進めていく――難しいけれどここにやりがいがある。事業と法的側面のバランスをしっかり取っていくために、私たちには”事業ごとのリスク”を抽出できる能力が求められている」と話す、手塚氏。
法務チームでは、メンバーの人事異動などの発生に合わせて、年1、2回のペースで担当部署をローテーションする。各自の業務量などに偏りを生じさせないために行っているものだ。
「特定の事業に特化して対応できるメンバーを育成する必要はあるものの、そこで培われたナレッジが属人化してはいけないと考えます。その対策として、長﨑を中心に”法務相談システム”を構築しているところです」(加藤氏)
法務相談システムは、法務相談を一元化して効率的に管理するための新システムだ。法務チームや他部署が、過去の相談内容や決定事項にアクセスできる”知識リポジトリ”としての機能も持つ。
「これまでは法務相談をメールでやりとりしていましたが、コミュニケーションロスや全体の進捗管理が見えないといった課題もありました。法務ナレッジをデータベース化することで、チーム内はもちろんですが、全社のリーガルリテラシー向上につながればと考えています」(長﨑氏)
現チームメンバーの出社は週1、2回でリモートワークが主体。そのため法務相談のDX化に加え、デジタルライブラリーなどのリーガルテック導入も検討中。法務チームも、まさに業務の進め方や運営面の”変革”に挑戦している。
中村氏は法務チームの”目指すべき姿”について、こう話す。
「当社は創業100年を超え、次の100年に向けた新たな価値創出のために”挑戦し続けること”を掲げています。これまでは鉄道と不動産を軸に、付加価値となる生活サービスやリテールを組み合わせて利益を創出する”リアル接点”中心のビジネスモデルでしたが、今後はそこにデジタルプラットフォームを組み合わせ、人々の潜在的なニーズを可視化しながら、お客さまとの”新たな接点”を拡大していくことになります。リアルとデジタルを融合させた、従来の法的知見では対応できない新規事業も多く立ち上がると思います。繰り返しになりますが、そうした当社のあらゆる挑戦について、”攻めと守り”の両面で伴走していくことを強く意識できるメンバー、それら事業の実現を推進していけるメンバーで構成されたチームでありたいと考えます」