「法的不確実性が大きなオープンイノベーションの推進に関しては、先を読んでリスクコントロールし、チャンスに変えていくためのインテリジェンス向上が重要」と、原田氏。そのカギを握るのが、リスクマネジメント・経済安保戦略部の新領域リスクグループだ。大山浩子氏に、仕事について聞いた。
「AIガバナンスとサステナビリティリスク対応が主領域です。昨今、AIの利活用が活発化していますが、日本では事業会社への義務を規定するハードローが実質的にない状況であるため、既存法への対応だけでは企業として十分とは言えません。そこで、各国の規制・政策動向、社会情勢を読み解き、当社の経営戦略と照らし合わせながら、AIをどうやって当社事業に実装し、社会にどう説明していくかなどを検討し、経営の意思決定につなげています」
重要なのは、「現場をしっかり巻き込むこと」と大山氏。
「当社は製造業なので、営業はもちろんのこと、開発や製造の部門など様々な現場でAIを用いた事業を検討及び展開しています。AIにはポジティブ・ネガティブ両面のリスクがありますので、AI提供事業者は適切なリスク管理が求められ、なかでも、AIは倫理リスク(公平性、プライバシー等)のコントロールが非常に重要です。そこで、各現場と密にコミュニケーションをとりながら、AI倫理を現場の皆さんの具体的行動に落とし込んでもらうべく、リスク対応策について検討を重ね、言語化・仕組み化して、ガバナンス体制を構築しようとしています」
同社では、オープンイノベーションによる他企業とのアライアンス案件に加え、事業ポートフォリオの再編に伴って、事業売却を含むM&A案件も増えている。そうした会社法関係全般を取り扱うのが、法務・知的財産渉外部の会社法務グループだ。即戦力として入社し、同グループで活躍する相馬壱成氏に仕事のやりがいを聞いた。「入社直後から大型案件のプロジェクトメンバーにアサインされ、財務・税務、交渉戦略、社内調整など、入社前に抱いていた法務の役割のイメージを超えて案件に取り組みました。ほかの案件でも、自分が中心メンバーであるという意識で案件に入り込んでおり、インハウスローヤーの醍醐味を存分に味わっています。海外M&A案件に携わることも多く、現地交渉にも行きますし、案件の最初から最後まで、プロジェクトチームの一員として取り組んでいます」
大型案件では、社内各部門で利害対立が起きることもあり、その調整役となる。外部法律事務所の手を借りる際は、弁護士・事業部門間の〝通訳〟も必要だ。
「中立的な立場で関係各者の調整や〝橋渡し〟を行うことも、我々法務部門がプロジェクトに関与する付加価値といえます」(相馬氏)
大山氏は、法務・知的財産渉外部ビジネス法務グループで、長く経験を積んできた。
「当社の事業領域は、〝家庭から宇宙まで〟と言われるほど幅広いことが特徴です。私は、防衛・宇宙領域や、交通など社会インフラ系の領域も担当しました。ビジネス法務の仕事に、同じ内容のものなどありません。加えて、取引金額の規模が大きな案件、ニュース性がある案件、〝日本初〟の案件なども多く、法務担当者として、多様かつ魅力的な仕事ができる環境だと思います」(大山氏)