Vol.96
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前列左から、古谷 誠弁護士(57期)、藤村揚洋弁護士(72期)、堀口拓也弁護士(70期)、橋詰水音弁護士(61期)、爲近幸恵弁護士(58期)、大宮 立弁護士。後列左から、白坂 守弁護士(61期)、岡田奉典弁護士(65期)、大塚啓寛弁護士(72期)、植松泰子弁護士(57期)、宿利有紀子弁護士(58期)、高井伸太郎弁護士、増田薫則弁護士(59期)

前列左から、古谷 誠弁護士(57期)、藤村揚洋弁護士(72期)、堀口拓也弁護士(70期)、橋詰水音弁護士(61期)、爲近幸恵弁護士(58期)、大宮 立弁護士。後列左から、白坂 守弁護士(61期)、岡田奉典弁護士(65期)、大塚啓寛弁護士(72期)、植松泰子弁護士(57期)、宿利有紀子弁護士(58期)、高井伸太郎弁護士、増田薫則弁護士(59期)

STYLE OF WORK

#200

TXL法律事務所

異なる2つのカルチャーを融合させて、“持続可能な組織”を創造していく

サステナブルな組織体制を目指す

2024年7月に、高井&パートナーズ法律事務所とレックス法律事務所が経営統合して誕生したTXL法律事務所。双方の強みを融合させ、企業法務を主軸に、M&A、クロスボーダー取引、事業再生、スタートアップ支援、複雑な訴訟・紛争解決などで強みを発揮する。前身である両事務所の代表、高井伸太郎弁護士と大宮立弁護士は、中学・高校・大学の先輩後輩という間柄。高井弁護士は長島・大野・常松法律事務所、大宮弁護士は森・濱田松本法律事務所と、出身事務所は異なるが、共通の友人の紹介で十数年前から交流を深めてきた。そして二人は独立した後、いくつかの案件で協働するうちに、「互いの得意分野を持ち寄ることで、新たなシナジーを創出できる」と考えるようになり、経営統合に至ったという。

統合にあたり、「事務所が尊重すべき共通の価値観」を全メンバーで議論し、「Always On Your Side」というキーワードを定めた。その意味を、大宮弁護士は次のように説明する。

「創業から上場、事業が不振に陥った場合の再生や清算ステージなど、クライアントである企業が直面する様々なライフステージに寄り添い、長期的な経営のパートナーとして頼られる存在であり続けたいという思いを込めました」

統合によって、どのようなステージにある企業も、より力強くサポートできる体制が整ってきた。「これを10年20年と長期的かつ安定的に提供し得る〝サステナブルな組織づくり〟に注力しています。トップ弁護士と弟子のような〝ピラミッド型〟の組織構造ではなく、あらゆる世代の弁護士がバランスよく所属し、なおかつ経験ある弁護士の技術やノウハウが全員に共有・伝承されていく、そんな〝円柱型〟の組織構造が望ましいと考えます。全世代の弁護士がクオリティ高く次々と成長していける仕組みを確立し、お客さまに寄り添い続けるだけでなく、弁護士自身が〝自己研鑽しながら長く活躍し続けられる場〟を提供していきたいと思います」

赤坂と紀尾井町の2拠点体制。大宮弁護士の発案で設置した卓球&ビリヤード台。年1回、所内卓球大会を実施。訴訟記録をつくる際には、作業スペースに早変わり

案件対応力の向上と経営的視点の醸成

同事務所は、取引金額1000億円を超える大型M&Aや、上場企業のTOB案件も取り扱う。また、私的整理の経験・実績を豊富に有し、事業再生の〝守備範囲〟は全国規模だ。高井・大宮両弁護士がかつて勤めた大手法律事務所からの紹介案件も多く、案件規模および種類は多種多様。最近は「特に〝統合効果〟が顕著」と、両弁護士。高井弁護士に、その一例を聞いた。

「大規模案件も基本的に所内の弁護士だけで対応可能です。得意分野が異なる弁護士の〝混成チーム〟を編成できるおかげで、多角的な視点で案件に取り組むことができます。統合によるスケールメリットは大きいですね。例えば、ある企業の会社法関連の事案で、当初はご相談案件で紛争化するかどうかは分からなかった案件が、その後複雑な訴訟に発展したことがありました。この時も、当初の段階から〝混成チーム〟を立ち上げており、会社法の解釈のみならず、紛争化した後の訴訟についても的確に対応。案件の規模や性質が途中で変化することは珍しくありませんが、そうした変化にも柔軟に対応できたことは、統合による実質的効果だったと思います」

大宮弁護士も、次のように話す。

「私は主に中堅・中小企業を中心とした事業再生と訴訟・紛争解決を取り扱ってきましたが、近年は海外取引の増加に伴い、海外が絡む案件が増えています。統合前は『ここから先は別の事務所に』と、知り合いの事務所に依頼せざるを得ないケースもありました。しかし現在は、高井&パートナーズで海外案件の経験を豊富に積んだ弁護士と〝混成チーム〟を組み、所内で案件を完結できています。お客さまにとってはもちろん、私自身も非常に安心感があります」

アソシエイトの堀口拓也弁護士、大塚啓寛弁護士、藤村揚洋弁護士に、それぞれの仕事のやりがいを聞いた。

「私はレックス出身で、企業の特定のフェーズに限定されず、スタートアップから事業再生まで〝企業の一生〟ともいうべき多様な案件に関与してきました。統合後は、高井&パートナーズが得意としてきたM&Aにも関与しています。案件の規模、クライアントの属性、検討の視点が異なるため、弁護士としての経験の幅が広がったと思います」(堀口弁護士)

「もともと関心があった人事労務分野の専門弁護士がいる、高井&パートナーズが出発点です。小規模な事務所ながら規模の大きな案件に携われ、案件の中核で実務経験を積めることが最大の魅力でした。その魅力は、統合して組織が大きくなっても変わっていません。訴訟・紛争解決を最大の強みとする弁護士との協働が増えて、多様な意見や視点を学ぶ機会が増えました。弁護士としての経験値を、着実に高められる環境だと感じています」(大塚弁護士)

「私も高井&パートナーズ出身です。案件の規模や種類が多様で、非常にバランスの取れた実務経験を積める事務所でしたが、統合後は大塚弁護士同様で、これまで関与の機会が少なかった事業再生や訴訟・紛争解決なども経験でき、実務対応分野の広がりを実感する毎日です」(藤村弁護士)

同事務所では、アソシエイトにも事務所経営への参画を促している。それも、若手弁護士にとっては仕事のやりがいとなる。堀口弁護士は言う。

「アソシエイトも、事務所の組織設計や運営にかかわる議論に参加しています。例えば私は、アソシエイトのキャリアプランや、留学・出向に関する制度設計を検討するタスクフォースに参加しています。早い段階から経営的な視点を持つことで、事務所経営を〝自分事〟として捉え、学ぶことができるのは、当事務所ならではの魅力だと思います」

「Always On Your Side」は、事務スタッフを含む全員の働き方・生き方に寄り添う意味もある。リモートワークやリーガルテックは早期に導入済み。ライフステージに合った働き方ができる(写真はフリーアドレスの執務エリア)

透明性で築く強い組織運営

同事務所は、大手法律事務所をはじめとして、人事労務系のブティック法律事務所出身者や元裁判官、海外法律事務所や事業会社のインハウスローヤー、銀行や預金保険機構での業務経験者など、多様なバックグラウンドを有する弁護士で構成される。とはいえ、まだ弁護士13名と比較的小規模なので、「ほかの弁護士の業務状況や専門分野・関心のある領域にも目配りがしやすい。互いの顔がよく見えてコミュニケーションがしっかりとれる、働きやすい環境。こうした環境があるから、全員がよいパフォーマンスを出せているのだと思う」と、高井弁護士。

「この環境を維持しながら、事務所を長く継続していくためには、〝透明性〟が大切なポイントになると思います。例えば、報酬などの制度設計・運用など。所属メンバー全員にとってフェアで納得感のある仕組みをつくること、事務所の成長フェーズに応じて随時見直しを図ること、役割や貢献に応じて誰もが正当に評価され、報いられること――その当たり前を徹底することが、組織としての健全性を保つうえでは欠かせません。こうした透明性とフェアネスを積み重ねていくことこそが、事務所の持続可能性につながると考えています」(高井弁護士)

最後に、大宮弁護士に理想とする〝組織と人〟の在り方を聞いた。「私のイメージは、組織とメンバーがそれぞれ固有の〝引力〟を持ち、互いに引き合いながらも一定の距離を保って存在している状態――例えるなら〝月と地球〟のイメージでしょうか。組織としての力が弱まれば、メンバーは離れていくかもしれません。ただそれは、その人が独立してやっていけるだけの力を持てるようになった証しなのかもしれません。一方で、個人の力が弱くなれば組織に吸収されてしまい、没個性になる。そのどちらも、望ましくはないと思っています。個性や考えをしっかり持った弁護士、野心ある弁護士が集まり、その人たちが『この組織でなら挑戦できる』『ここに身を置く意味がある』と思ってもらえる事務所であることが理想です。そのように、ジョインしてくれたすべての弁護士から支持される組織づくりをこれからも続けていきたいと考えます」

Editor's Focus!

大宮弁護士がこだわってデザインした紀尾井町オフィス。「風林火山」をテーマにフロアを4つにゾーニングし、各ゾーンのテーマカラーも決めた。静かに作業する起案用ブース「林」、卓球台もあるフリースペース「山」、フリーアドレスで活発な議論を促すエリア「火」、会議室と応接室「風」――と、働く環境づくり、人が集まる組織づくりの“思想”が見えるオフィスだ