法務部は、新卒・中途採用と社内公募システムで人員を補強している。社内公募は、法務部で働きたい本人の希望とスキルを考慮し転属を決める。現在までに、中堅部員1名がこのシステムで転属している。また、中堅層が手薄なため、ここ3年で3名を中途採用した。昨年、2名中途採用したうちの1名は弁護士資格取得者だった。採用にはどういう意図があったのだろうか。
「中途採用に当たっては、短答式試験の合格または実務経験5年程度を目安に、コミュニケーション能力を条件にしていました。多数の応募がありましたが、特に注目した2名の優秀な応募者がいたのです。そのうちの1名が、弁護士資格を有していました。もちろん社内弁護士の存在には注目していましたが、当社での採用は少し先かなと思っていたのが正直なところでした。しかし『企業内弁護士として活躍したい』という彼女の熱意と素養に大きな可能性を感じ、採用に至りました。もう一人の採用者も知識・スキルに高い素地を持っています」
資格取得者に特に期待することは、一体どんなことだろうか。また今後、資格取得者の採用は増えていくのだろうか。
「基本的な法律知識・分析力は保証されています。その強みを十分に発揮してほしい。確かな社会倫理にも期待しています。企業法務はどうしても自社の立場に偏りがちなので、もしそういう場面に出合ったら客観的な指摘をしてほしいと思います。弁護士資格を持つインハウスロイヤーを初めて雇用しましたので、まだ手探り状態です。今後の採用に関しては様子を見ながら決めることになると思いますが、その意味でも先駆者が担う役割は大きい。弁護士会などの知脈・人脈から彼女が得た情報を共有させてもらって、一緒に方針を考えていきたいと思っています。ですから、国選弁護人としての活動も認めています。彼女の弁護士活動を応援することで、会社にもさまざまな情報をフィードバックしてもらえることに大いに期待をしています」