氏はインハウスロイヤーのやりがいを、どこに感じているのだろうか。
「企業における法務業務は、いわば、経営陣が運転する車に同乗するようなもの。会社という車にルール違反を起こさせないため、最悪のケースではブレーキを踏ませなければなりませんが、急ブレーキを踏むと競合会社に追い抜かれ、同乗メンバーがけがをします。日ごろから法務がルールを把握し、運転手にリアルタイムで理解させておくことが重要です。そのためにOne on Oneミーティングと呼ぶ各セグメントトップとの個別ミーティングや、スタッフ会議で車がどこに向かうかビジネスの状況を把握し、初期の段階から方向性を示します。デルには社員のチャレンジを奨励する環境があり、その環境が成長の礎です。社員を委縮(いしゅく)させることなくリスクの大小を正確に説明して、賢明なチャレンジを後押しすることが役割だとも意識しています。このように法的アドバイスにとどまらず、トップからメンバーまでに影響力を持ち、組織を動かせる点にやりがいを感じます」
法務チームが目指す、これからの方向性について伺った。
「さらなる効率化の必要性を感じると同時に、インバウンドで問題に対処するだけでなく『社員のリーガルマインドを育て自ら問題解決・リスクヘッジを図る組織』をつくることが法務本来のミッションと思うので、そのための施策を進めています。一例は過去事案を資料にまとめナレッジの蓄積をすること。これにより各担当レベルで解決できることが増えました。広告も以前は法務の承認がないと出せない少し硬直的なフローでしたが、イントラ整備とトレーニングの結果、広告部門でまず判断できるようになっています。各部門にオーナーシップを持たせ、アウトソーシングできることは積極的に外に出して、法務は業務プロセスの見直しやハイリスク分野への取り組みなど一歩進んだ業務に注力したいと考えています」
宮崎氏自身の5年・10年後の展望はいかがだろうか。
「面接で言われた『会社と共に成長できる』ことを日々実感しています。法律事務所では大勢の前で話す機会はありませんでしたが、デルに入り100人の営業社員を前に朝礼で話すことにも慣れました。5年後、10年後も会社が成長を続けて、自分にも成長の機会がある限り、デルと共にステップアップしたいと思っています。一方で、常に時代の先を読んで、どこにいても活躍できるリーガルを目指します」
※1/PC などの製品を消費者に直販するスタイルと同時に、顧客志向を理念とするデルのビジネスモデルを指す
※2/マイケル・デル 1984 年、米国テキサス州に後のデル・コンピュータ・コーポレーションを設立した創業者