Vol.66
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中央:福間則博弁護士(41期)、後列左端:川合秋子弁護士(65期)、
後列左から3人目:尾崎悠吾弁護士(63期)、および事務スタッフの皆さん

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後列左から3人目:尾崎悠吾弁護士(63期)、および事務スタッフの皆さん

STYLE OF WORK

#121

福間法律事務所

設立23年――相続案件などを中心に、宝塚市のリーガルアクセス向上に寄与

相続、離婚、不動産関連、損害賠償など、兵庫県宝塚市のリーガルアクセス向上に貢献

福間法律事務所
「独立するなら、お金を目的としてはいけない。目の前の依頼者に満足していただけるよう、まず精一杯努力すること。そうすれば自ずと売り上げもついてくるのではないでしょうか」(福間弁護士)

1995年、兵庫県宝塚市で産声を上げた福間法律事務所。95年といえば、阪神・淡路大震災が起きた年だ。代表の福間則博弁護士に、設立経緯を聞いた。

「弁護士としての出発点は、神戸で長い歴史を誇る大白法律事務所(現東町法律事務所)です。代表の大白勝弁護士の最高裁判事任官にあたり、〝大白弁護士のお留守を守る〞ことを使命とし、それまで関与していた大型案件を引き続き担当しました。ところが震災で事務所が全壊、移転を余儀なくされました。時を同じくして、大白弁護士が弁護士活動を再開することになり、それを機会に独立したのです。弁護士になって7年目になろうとしていた時でした」

大白法律事務所で扱った案件は、自分の信用で獲得したものではない――実力を試してみたいと考えたのが独立の動機だ。しかしなぜ宝塚だったのか。

「住まいが宝塚なので、職住近接で都合がよかったんですよ。ただ当時、法律事務所は裁判所近くに置くのが通例でしたから、弁護士仲間は『変わった場所に事務所を』と思っていたようです。設立から23年経ち、〝先見の明〞があったわけではありませんが、付近のリーガルアクセスの向上に多少貢献できているのか、今では宝塚に法律事務所の数が増えてきました」

しかし、福間弁護士は「〝徒手空拳〞の独立でした」と語る。

「依頼者も資金もゼロからのスタートで、設立費用は銀行からの借金。独立とは〝自分に決まったお金を払ってくれる人〞がいない世界に飛び込むことでした。前事務所の顧客が声をかけてくれましたが、それはお断りしました。ですので最初は、兵庫県弁護士会でお付き合いのあった先生から紹介を受けたり、事件の相手方だったほかの弁護士会の先生が実力を評価してくれて、その後に振ってくれた仕事を受任したり。そうやって少しずつ、実績と信頼を獲得していったのです」

独立後数年間は、専門分野を特化せず、多様な案件に関与していた。「間接事実から主要事実を推認する難しい案件を多く受任し、1万数千平方メートルの土地の所有権確認訴訟(原告側)を、この方法で処理したこともあります」という。

「これまでに破産管財人として230件以上に関与し、大型の破産事件も経験しています。たとえば、2009年に工事現場で使用する専用管のレンタル会社の破産事件を受任した際、当該工事現場が全国100カ所以上、売掛先は250社を超えていました。しかも、破産申立の数日前に営業譲渡済み、破産手続開始決定時に財産はなく、従業員もすでに営業譲渡先で雇用され、協力者もいない状況。そこから営業譲渡否認の交渉、動産譲渡担保の被担保債権範囲の検討など、アソシエイトとたった2人で丸3年をかけて終結させた案件でした。本当にきつかったけれど、弁護士としてのすべての知識、経験、ノウハウを投入し、一定の成果を収めることができました。この時の達成感はとても大きかったですね」

そうした大型事件のほか、競売された土地に関する妨害排除請求、遺産分割事件、国選での刑事無罪事件、離婚、相続など、実に様々な案件を扱ってきた。そして、福間弁護士が、事務所の方針転換を図ろうと決意したのが、設立17年目のこと。

「それまで、ほぼ孤軍奮闘してきた無理が心身にたたってきていましたしね。アソシエイトや事務スタッフにもずいぶん無理を課していたと思います。そこで事務所経営や組織体制構築のワンランクアップを目指し、改革への着手を決断。得意分野のPR、後進の弁護士育成、そのためのコンサルティングや、デジタルマーケティングの導入などを進めていきました」

現在、同事務所が得意としているのは、相続、離婚、不動産関連、損害賠償など。富裕層が多く住む宝塚市での相続関連案件を多数手がけた結果、兵庫県外からも「福間先生に頼みたい」と依頼が寄せられるように。

「複雑な相続案件を扱った際、依頼者に大変喜んでいただき、私自身やりがいを覚えたので、相続に注力しようと決めました。その取り組みと実績を認めていただき、今では弁護士向けのセミナーに呼んでいただく機会もあり、大変光栄に思っています」

福間法律事務所
日々の相談、合議もしやすい環境

そんな福間弁護士の人柄にひかれ、尾崎悠吾弁護士と川合秋子弁護士が勤務している。同事務所で働く意義を、尾崎弁護士に聞いた。

「福間弁護士は言葉の使い方など、人と接する際の基本を非常に重視される方。仕事面はもちろん、弁護士としての基礎力を鍛えられる場だと思います」

また川合弁護士は事務所風土について、「事務スタッフも含めて事務所の風通しがよく、相談もしやすい雰囲気です」と教えてくれた。同事務所では、両弁護士のような若手を含めて、弁護士7名ほどの規模に拡大していく予定。最後に事務所の展望について、福間弁護士に聞いた。

「私自身は向こう5年で、プレイヤーからマネージャー、職人から経営者への転換を図りたいと考えています。永続性ある事務所運営を目指し、20年をめどに法人化も検討中です。宝塚で多少皆さまに知っていただけるようになりましたので、今後さらに安定的かつ堅固な組織を構築していきたいですね」

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    相続案件受任段階で意見書などを揃え、全体の見通しを依頼者に提示するのが“福間流”(写真は相続案件で用意した資料の例)
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    所員全員で毎週火曜にランチ会、3カ月に一度レストランで食事会を開催。「仕事の報告会のはずが、世間話に花が咲いてしまう」と笑う福間弁護士