日々の業務で多いのは、やはり事業部門からの相談だ。
「『ちょっと法務に聞いてみよう』と、直接相談に来てくれる人は多いですね。私たちも、積極的に話を聞きにいっています。そもそも当社はみんなフレンドリーで、コミュニケーションがとりやすいんです」
そうした日々のやりとりを通じ、「当社事業部門の頼もしさを感じています」と語る川﨑氏。
「私たち管理系・法務系の頭では思いつかない独創的なアイデアで、『ビジネスがしたい』という相談がかなりあります。例えば、ある事業部門の担当者が、社内で使用している販売管理システムをお客さま用に商品化したいと相談に来ました。『お客さまご自身でバーチャル口座を開設してもらうのが大変なので、当社のバーチャル口座をお貸ししたい。これを絶対実現したい!』と。『え? 銀行口座を貸す?』と驚きましたが、そのアイデアの面白さに惹かれ、私も『なんとか商品化したい!』と手を尽くし、実現しました。そのサービスがローンチされた時、担当者と一緒に喜べたことが嬉しかったです」
同社では、社員一人ひとりの仕事に経営者視点を求めている。
「事業の売り上げ、利益、コストに照らし、契約書一つ書くにしても、どんな書き方をすればムダなコストが発生しないで済むかと試行錯誤しています」と川﨑氏。経営マインドも重要だが、法務にとって最も大事なスタンスは「事業にブレーキをかけないこと」だ。
「事業開発や商品開発、売りたいという思いを正しい形で実現するためのサポートが私たちの役目。法令の観点に立ちながらも、どうしたら仲間がやりたいと思うことを実現できるかに腐心することが喜びでもあります。まさにビジネスの上流(企画段階)から入り、下流(ローンチ)までかかわれる面白い仕事です」
とはいえ、法務部ならではのインシデントやトラブル対応など、ネガティブな局面にも対応していかねばならない。
「どんな時であっても、笑顔を見せることを忘れないという気風があります。ネガティブを引きずるといろいろとうまく進まなくなります。勢いがある時も行き詰まった時も前向きに。論理的思考性があり、法律のプロとしての知識・技術を持っていることも大切ですが、常に前を向いて仕事や仲間に向き合える方と働いていきたいですね」