「どの案件も、一人ではなく仲間と一緒に挑戦できること、また達成感を共有できることがうれしい」と、香村氏は語る。
「私自身の課題としては、スピード感を重視しがちで、対応が後手に回るケースが多いということ。法務も法務以外の分野も、最新情報を日頃からキャッチアップし、フロントからの相談に先手で対応していくことが理想です。案件が生じてから調べているのでは遅いくらい。ですから休日も、積極的に自己研鑽しています」
法務という枠にとらわれず、法務以外の知識や人脈を駆使しながら事業を組み立てつつ、フロントをサポートする作業は実にクリエイティブだ。香村氏は、経営管理グループのマネジャーとして、どのようなチームを理想としているのか、うかがった。
「法務担当としての専門性を深めながら、ジェネラルに広く知識・経験を蓄え、一人ひとりが部門の枠も会社の枠も、さらには自分自身の枠も超えて活躍する――そんなメンバーの集まりでありたいと思います」
上村氏には、同社法務への期待をうかがった。
「私は、香村のようなメンバーがCFOを目指してくれたらと考えています。つまり法務からCFOが出てもいい、と。本来はCLOかもしれませんが、名称にこだわる必要もないと思っています。CFOもCLOも、人事、IR、広報なども含めてコーポレート部門全体を所管するわけですから。経営管理グループのメンバー全員が、そのような人材に育っていく環境とチャンスをつくっていくのが私の使命だと思っています」
そう語る上村氏自身、公認会計士の資格を持ち、監査法人や会計事務所でコンサルタントとして勤務したのち、同社に転職したそうだ。いわばフロントからバックオフィスへの転身だ。21年4月からは執行役員に就任し、経営管理グループのトップを兼任している。
「当社に転職したばかりの頃、あるプロジェクトにおいて、フロントから『それなら会計基準を変えたらいいのでは』と言われ、『そんな発想があるのか!』と驚いた経験があります。しかし当社が手掛けるビジネスプロデュースとはまさに、官と連携してそうした提案を行ったりするものなので、彼らにとっては当たり前の発想。“自分の考え方を変えてくれる、新しい視座をくれる場所だ”と実感しました。ある意味、自分の人生におけるパラダイムチェンジですよね(笑)。そうした柔軟な発想を持つ仲間がいて、幅広い分野で自分の可能性を無限に広げていけるのが、当社法務の仕事の魅力だろうと思います」(上村氏)
※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。