同事務所が特化するトライアルは、大概が難局であり、相当な集中力や明敏さが要求される。
「陪審トライアルと裁判官トライアルでは、弁護士としての戦略は異なりますが、特に前者では心理学をベースに、陪審員の関心をこちら側に引き寄せるためのスピーチ構成、理解されやすい言葉の選び方に配慮します。下準備の一つとして模擬裁判を実施し、その中でクライアントに有利な議論の進め方やポイントを探り出します」
同事務所の新人弁護士は、トレーニングの一環として必ず、模擬裁判を経験する。その様子を映像で記録し、スピーチ、目の配り方、挙措など、自身を客観的に見るための訓練を行うという。民事・刑事の違いはあれ、裁判員裁判に直面する日本の弁護士にとっても、こうした同事務所の裁判への臨み方は、「勝てる弁護士になるためのヒント」となるのではないか。
同事務所が関与する案件は、一人で立ち向かえる規模ではない。ゆえに国内外の拠点をまたいだチームワークが醸成されていると、ライアン氏。また二人は、「当事務所では『マイ・クライアント』という表現は厳禁です。個人的に仕事をするのではなく、チームで仕事をする点が素晴らしい。目的を共有し、その達成のためにまい進できる優秀な仲間と一緒に働ける幸せを感じています」と語る。
勝訴にこだわり抜くための精神的・肉体的なタフネスを備えた弁護士たち。その支えの一つが強いフレンドシップなのだ。