中小・ベンチャー企業を中心とする企業法務、離婚・相続などの家事事件、刑事事件など幅広く取り扱う

2014年に設立された弁護士法人Nextは、65期の弁護士3名が立ち上げた事務所だ。中小・ベンチャー企業を中心とする企業法務や、離婚・相続などの家事事件、刑事事件などを幅広く取り扱う。
中でもベンチャー支援は同事務所の得意とするところ。一定条件のもと、最大30分程度までの無料相談、月額1万円からの顧問契約など、各弁護士のそれまでの経験を生かし、ベンチャー支援に特化したリーガルサービスメニューを充実させている。
「経営者にとって頼りがいのあるコンサルタント(相談役)であり、気軽に話せる弁護士でありたいと思っています。それは企業に限らず、個人のお客さまに対しても同じです。法律事務所の敷居をもっと低く、弁護士をもっと身近な存在に、ということを心がけています」と語る、多田猛代表弁護士。

同事務所は、福岡市と東京圏の国家戦略特区事業に参画し、その一事業である「雇用労働相談センター」で、創業間もない企業や日本進出を考えるグローバル企業の法律の無償相談にもあたっている。設立者の一人、倉持麟太郎弁護士は言う。
「ベンチャー支援は、事後の駆け込み寺的対応ではなく、船でいえば“どんなエンジンを載せるか、どんなマストをつけるか、定めた進路に向かってどれだけいいスピードで走らせるか”といったような、船の建設から操舵に至るまで、法的側面から共にかかわることができる面白い仕事。私たち自身も法律事務所としては“ベンチャーマインド”が高いと思うので、その支援に熱が入るのです」
ベンチャーマインドが高いとは、どういうことだろうか。
「事務所の取り組みの一つとしてベンチャー支援を掲げてはいますが、各々好き勝手に(笑)やりたいと思う分野にまい進しています。報酬が高いとか仕事につながるからといった理由ではなく、究めたい、貫きたい、正義を通したいと思う分野を持って、それを磨いている感じです。そもそも事務所をつくったのも、支店をどんどん出そうとか大きくしようといった思いではなく、『ダメならあっさり解散して各自で食っていけばいい。でも相乗効果があるならばやってみよう』という点で3人の気が合ったから」と、倉持弁護士。多田弁護士も、「同じ理念を持ち、幅広い案件にバランスよく対応することを旨に事務所を運営しながらも、各々が独立性を尊重し合う。そこが強みとなっています」と同意する。

三弁護士が究めようとしている分野は、それぞれ異なる。多田弁護士は教育分野に10年以上かかわってきたことから、いじめ問題など子供・教育に関する法律分野に意欲的に取り組んでいる。塾の経営に近い業務も経験したことから、中小企業のコンプライアンス・ガバナンスについても注力する。倉持弁護士は憲法学者を志向していたが、権利実践の場を求め、また仕事のクリエイティビティにひかれ、弁護士の道を選んだ。市民との勉強会を「憲法カフェ」という形式で開催したり、衆議院平和安全法制特別委員会公聴会の参考人として意見陳述を行ったりもした。その際、政策秘書の不足やロビイングの必要性を痛感。そうした経験を踏まえ、“日本をよくする”ための行動を弁護士の立場から起こそうとしている。
川邉賢一郎弁護士は慶應義塾大学で、医療安全分野(iPS細胞の研究に係る法務調査)の研究に取り組む。そんな川邉弁護士は「多田・倉持という個性の強い弁護士が対外活動や新規性ある事業に果敢に挑戦しているので、私は経理面や事務手続面を含め、そのバックアップ役を担っている」と、事務所の土台固めを買って出ている。
それぞれの“好き勝手なこと”は、究めれば若手であってもパイオニアになれる分野だ。いわばエポックを画する多田、倉持両弁護士は、「弁護士の職域は無限です。そう思える人、行動できる人ならいくらでも、弁護士としてすべきことを様々な場で見つけられるはず」と、力強く語ってくれた。
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東京オフィスの執務スペース。月1回のパートナー会議は、東京・横浜オフィスで交互に行っている -
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昨年フランスで開催された「World Forum for Democracy」に参加。書籍の出版など活動範囲が広い倉持弁護士は“移動オフィス”と称する大きなスーツケースが必需品 -
東京オフィスは、住宅街にある倉持弁護士の実家1階を利用。同氏の親が経営するアパレル企画会社があったスペースを改装した。「弁護士の仕事は、身一つあればどこででも始められる」と多田弁護士は言う。近隣の不動産会社社長が「若い先生たちが出入りしているのをよく見かけるので、顧問になってくれないかと思って頼みに来た」と、ふらりと訪れたこともあるそうだ。まさに“隣の法律事務所”という佇まい -
新年会、忘年会など所員全員参加の催しも多い。65期前後の意欲に満ちた若手弁護士が集う