琵琶湖の西岸に面し、比良山系を望む、滋賀県大津市のJR堅田駅徒歩数分の場所に本拠を構える湖都経営法律事務所。大津出身の山口智之弁護士が「リーガルサービスをベースに、地元発展に貢献したい」という思いを抱き、2015年に設立した。顧客は大津市内および近接する高島市・守山市・近江八幡市と、滋賀県内の個人顧客・法人顧客が大半を占める。山口弁護士に、事務所で取り扱う案件などについてうかがった。
「一般民事・家事事件、刑事事件、および企業法務など、“守備範囲”は幅広いですね。国選や裁判員裁判の弁護も相当数行ってきました。事務所名に“経営”と冠しているとおり、法人、経営者顧客の拡大、特に事業承継・事業再生により一層注力していこうと考えています」
滋賀県は過去に、経営者の高齢化・後継者不在などの要因から廃業率が全国トップとなった苦い経験がある(現在は対策を講じ最下位を脱している)。事業承継支援、廃業率抑制は、県を挙げての重点課題だ。山口弁護士は「滋賀県の中小企業を元気にして、地域経済に貢献したい」と考え、中小企業診断士の資格も取得。法律面はもちろん、経営面からも専門的なサービスを提供する。
「滋賀県事業引き継ぎ支援センターや、滋賀県中小企業再生支援協議会との連携を強めるほか、経営革新等支援機関の認定も受けています。また、仲間の税理士、中小企業診断士とともに、滋賀県初となるМ&A仲介企業も立ち上げていて、そこを窓口とした相談案件も増えてきました」
顧客規模は、おおむね従業員数10名前後の中小企業だという。
「そうした企業の経営者にとっては、経営全体を見てくれる税理士や中小企業診断士が相談しやすいようです。事業承継・再生については民法・税法・会社法など様々な法律が絡むものの、具体的に『このように進めなさい』という方法を定めた法律はありませんから、弁護士の立場でもまずは“経営のアドバイス”“経営者の悩み相談”からとなります。様々な角度から経営者にリーチできるよう手を伸ばし、間口を広げておくことで、より多くの滋賀県下の経営者の役に立てればと思っています」
事業承継では先の仲介企業を通じ、株式集約化によるМ&Aなどを行っている。
「ある老舗企業の事業承継では、スクイーズアウトの方法やМ&Aの契約書作成など、様々なことを学びながら、クロージングまで持っていきました。従業員を解雇することなく完遂できたことが、うれしかったですね。そのようにデューデリジェンスからМ&Aまでこなせる〝県内の法律事務所〟というのも私たちの強みです」