Vol.80
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前列左より、岩本 朗弁護士(47期)、池田直樹弁護士(39期)、原 正和弁護士(55期)。後列左より、池田健人弁護士(69期)、齊藤優摩弁護士(65期)、中江友紀弁護士(72期)、石飛優子弁護士(61期)、杉田峻介弁護士(66期)、黒田祐史弁護士(65期)。加えて、共同創設者の津田浩克弁護士(39期)と4名の弁護士が所属する

前列左より、岩本 朗弁護士(47期)、池田直樹弁護士(39期)、原 正和弁護士(55期)。後列左より、池田健人弁護士(69期)、齊藤優摩弁護士(65期)、中江友紀弁護士(72期)、石飛優子弁護士(61期)、杉田峻介弁護士(66期)、黒田祐史弁護士(65期)。加えて、共同創設者の津田浩克弁護士(39期)と4名の弁護士が所属する

STYLE OF WORK

#157

弁護士法人あすなろ
あすなろ法律事務所

ワンストップ型の中小企業支援と公益活動を柱に、時代の変化に挑む

事務所理念は「結ぶ、創る、育む」

2003年5月に津田浩克弁護士と池田直樹弁護士が設立した、あすなろ法律事務所。大阪・船場、中小企業の多い堺筋本町に本店を構え、奄美大島にも支所を持つ、事業再生・事業承継・M&Aを強みとする事務所だ。設立背景を、池田弁護士にうかがった。

「当時、司法制度改革が進行し、業務環境の変化が予想されました。そこで津田と私は、司法制度改革時代に適合した便宜性と解決力が高いワンストップサービスを提供し、なおかつ被災者支援や自然環境保護活動など、公益活動の拠点にもなる場をつくろうと考え、この事務所を設立したのです」

ワンストップサービスは、両弁護士と同じ思いを持つ税理士、公認会計士、司法書士、行政書士、社会保険労務士、中小企業診断士が集結して実現。

「各分野で経験を積んだ専門家が、完全に対等な関係で、心理的にも物理的にも近くありたいと、ビルのワンフロアで一緒に仕事を始めたわけです。大阪では、いわば“士業ネットワーク”の先駆でした」

この士業連携は「トータルサポートブレインズ(TSB)」の名称で開始された。現在は組織としての活動は休止しているものの、所属メンバーとは適宜連携を図っている。メンバーが増え、同じビル内の複数フロアにオフィスは分かれたものの、中小企業経営者にとっては、必要なアドバイスや手続きが1カ所で完結するかたちだ。そんな同事務所が掲げる理念は、「結ぶ、創る、育む」。岩本朗弁護士は、こう説明する。

「“結ぶ”は、士業ネットワークをはじめ、我々を介してお客さま同士もつなげる。“創る”は、法的解決における創造性と、お客さまの経営課題に向き合い、紛争予防や人財育成の仕組みづくりといった付加価値も提供する。そして“育む”は、留学を含めた弁護士の育成もしかり、中高生を含めた未来を担う人財の法教育に貢献するという思いを込めています」

自由な環境で主体的、自律的に働ける

理念の、“結ぶ”“創る”を象徴する事件がある。

「設立間もない頃、投機で失敗して50億円もの負債を抱えたオーナー企業経営者からの依頼を受けました。当時は中小企業再生支援協議会もなく、法的倒産手続を選択。しかし、民事再生の申立をした直後、依頼者の手元資金がなくなりかける事態に。窮地を脱するため、当事務所のお客さまにDIP融資を打診。その緊急融資を受け(結ぶ)、最終的にリースバック+債権譲渡型という解決の工夫(創る)で民事再生手続を通しました。所内の仲間の力、お客さまの力、TSBの力、すべてを結集したからこそやり遂げた、まさに当事務所の理念がかたちとなった事件でした」(池田弁護士)

中小企業の事業再生を多く扱っていると、なかには「弁護士費用がほとんどない」という依頼者もいる。しかしそれでも引き受けるのが、同事務所の矜持だ。

「我々は、企業であれ個人であれ、相談に来られた方をお断りすることはまずありません。資金を含めて依頼者がギリギリの状況にあるとしても、知恵を振り絞れば“手の打ちよう”は必ずある。依頼者にとってよりよい着地点を何とかして見つける、それが我々の存在意義だからです」(岩本弁護士)

原正和弁護士は、これを「間口が広い」と表現する。

「当事務所の弁護士は皆、『自分たちがやらねば』という思いが強く、どんな困難な案件も引き受けて協力し合ってきたため、高い紛争解決力が身についている。弁護士十数名規模ですが、再生案件を扱える弁護士が複数名いることも強みの一つだと思います」

そうした事業再生関連をはじめ、渉外案件、不動産関連、相続事件、奄美大島の多種多様な事件、環境事件など様々な分野を取り扱う。各弁護士とも、自身の興味ある分野・活動に自由に取り組むため、自ずと事務所としての取り扱い分野に多様性や厚みが生まれる。たとえば杉田峻介弁護士(66期)は、環境事件(紛争)や再生可能エネルギー・開発・廃棄物・土壌汚染・防災といった環境法務に主体的に取り組んでいる。

「池田弁護士は環境法を大学院で教え、原弁護士は米国の環境系に強い法律事務所で経験を積むなど、設立早期から市民側・企業側両方で環境問題に取り組んできました。私は、中小企業事業者の再生可能エネルギーや脱炭素への取り組みをどう支援していくかをテーマにしていますが、それが弁護士として成すべき課題ならビジネスになる・ならないは問わず、自由に取り組ませてもらえます。本人がやりたいと考えることを許容し、多様性を受け入れてくれる風土です」

また、入所3年目の中江友紀弁護士(72期)も、事務所の魅力を次のように語る。

「修習同期と話すと、『交通事故事件が多い』など、何かしらの分野に特化して仕事をしている弁護士が多いように感じます。私の場合、これが一番多い、これが得意と言えない代わりに、広く多様な事件にかかわっています。今後、自分が何を得意分野としていくか、その選択の材料や機会をもらえている。しかも杉田弁護士が言うとおり『これをやってみたい』といえば、自由に取り組めます。たとえば私は事務所以外の活動で自死遺族向けの法律相談などを扱う団体に所属し、弁護団関係の事件にも関与しています。そうした活動への参加も自由。主体的に、自律的に動くことをよしとする、包容力ある事務所です」

弁護士法人あすなろ あすなろ法律事務所
執務はワンフロアで。物理的にも心理的にも“フラット”を標榜。「所員同士はもちろん依頼者とも目線を合わせ、一人の人間として接する姿勢は全員共通」と杉田弁護士

変化への耐性と先を見る力で進む

「不確実性の時代の中で、弁護士を取り巻く環境も一層変化していく。そろそろ世代交代の時期」と語る、池田弁護士。同事務所をこれから支えていく岩本弁護士と原弁護士は、事務所の未来について、次のように語る。

「フラットであること、多様性を認め合うこと、主体性と自律をもって自由に働くことなど、津田・池田両弁護士が築いてきた風土を大切にしながら、永続的な組織運営を大切にしたい。長年やってきた環境法務もSDGsの浸透などで、今後、新しい事業の柱となると思います。士業連携や事業再生、環境法務など、当事務所が常に先んじて取り組んできたことに時代が追いついてきた感もあるので、“先を見る感度”を維持し、一方で地に足をつけて、依頼者に寄り添いながら事件解決にまい進する。全員が個性を生かし、居心地よく働きやすい環境で、やりたいことを拡大していける、そんな事務所にしていきたいですね」(岩本・原両弁護士)

最後に、池田弁護士から法曹界を目指す方や若手弁護士へのメッセージをいただいた。

「これからの時代は特に、“変わるものと変わらないもの”を見極める力が非常に大事になると思っています。知識やスキルが陳腐化する速度は上がっています。どんなに契約書に通じた弁護士でも、情報量はもちろん提案力でもAIに追い抜かれるでしょう。ゆえにまず、急激な変化に耐える力、変化を予測する力が必須となる。たとえAI化が進んでも、“価値判断”と人への“ケア”では、専門家の働きが重要視されるはず。変化の中で何が必要となるかをマクロに捉え、ミクロに予測する。予測しながら同時に、構築した多様な引き出しの中から最適解を準備する。経験の承継、人脈、学び続ける姿勢、説得の技法を含む解決の方法論が入った様々な引き出しを、若いうちからしっかり増やしておけば、変化への耐性は必ず高まります。一方で、どれだけ変化が進んでも“変わらないもの”もある。その軸は正義や倫理。その答えは一つではないですが、弁護士は、人間社会が築いてきた歴史的な価値観に基づく『これが正しいのではないか?』という自分の直感と信念を捨ててはいけない。人権や環境の保護など、法律家ならば損得以外の価値を大切にしなければならない局面に対峙することもあるでしょう。どんな局面であっても、倫理と正義を導きの星として、意見し、説得する努力を怠らない。心に支えられた士、“弁護志”は、時代の変化に決して負けないと私は考えます」

※取材に際しては撮影時のみマスクを外していただきました。

Editor's Focus!

事務所のロゴマークは、樹木を風が吹き抜けているデザイン。「弁護士間で上下関係をつくらず、対等な立場で議論や協力をし合う。所内スタッフや士業仲間、依頼者や関係者ともフラットな関係でありたい。そんな風通しの良い事務所にしていこう!という思いを表したものです」と、池田弁護士

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