そんなオフィスの魅力を、河野理子弁護士にうかがった。
「私は不動産分野を中心にM&Aや事業再生などを取り扱っています。グローバルに事業を展開するPEファンドの案件に関わる機会が多々あり、その際は各国の不動産チームと協働し、彼らから最新の知見や新たな視点を得ています。多様性にあふれた同僚との協働、幅広いクライアント層へのサービス提供ができることは、ワンチームだからこその利点であり、この仕事の醍醐味です。また、彼らは強いアントレプレナーシップ(起業家精神)を有し、かつチームスピリットも高い。その両方のバランスがいい弁護士が多いのです」
宇佐神弁護士は、「それは、“パイオニア精神”“ユナイテッド”“ヒューマン”という3つの基本価値(理念)が、組織全体に浸透しているからだろう」と語る。
「米国の小さな法律事務所がグローバルファームに成長し、常に先進的な案件に取り組めているのはパイオニア精神があるから。仲間やクライアントと長く深い関係性を構築できているのは、ユナイテッドに価値を置くから。そうしてつながった仲間の多様性と包摂を受容できているのは、ヒューマニティを重視するから。この3つの基本価値が、日々の活動のベースとなっています」(宇佐神弁護士)
若手弁護士の教育や働き方は、ヒューマンを重視する。
「我々は、年齢や経験にかかわらず、実力に応じて各自に裁量を持たせ、チームに最大限貢献することを求めます。新型コロナ禍で、ほとんどの弁護士が在宅勤務になるなか、パートナーは、アソシエイトやチームメンバーとのコミュニケーションを重視。孤立していないか、業務過多になっていないか、今何をすべきで、それを行う際に周りはサポートできているか、などの声かけや目配りを徹底します。定期的なチーム会議やコアプラクティスグループごとのアンカーデー(必ず出勤する日)で、対面コミュニケーションの機会も確保。柔軟な働き方の選択肢を提示しつつ、サービスの品質を保つための環境づくりにも尽力しています」(ハリソン外国法事務弁護士)
また、「アジャイルワーキングポリシー」の導入も同様だ。
「働き方・場所を問わず、その人に合った仕事の進め方を選べるように定めたポリシーです。我々はこのポリシーにより、仕事か家庭か二択を迫られることなくキャリアを設計できます。ヒューマンには、本来の自分に正直であることで持てる能力を発揮できるように、という意味もある。私は、ここがその実現の場であると確信しています」(シロタ外国法事務弁護士)
プロボノに注力する弁護士が多いのも特徴の一つ。
「私も様々なプロボノ案件に対応しています。先日は難民支援案件(難民認定申請)で、アソシエイトと東京入管に口頭意見陳述に行きました。国連の報告書なども用いて証拠を提出していく際、フランス語ネイティブによる検討が必要に。アソシエイトが自発的にパリオフィスのアソシエイトに連絡し、フランス語の観点による検討・分析を進めてくれました。プロボノ案件もクライアント案件同様に全力でベストプラクティスを求め、各国の仲間たちも快く協力する風土です」(河野弁護士)